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第❶論 高二病と電気銃少女

どうも珠扇キリンです。今回の作品は初心に帰ったつもりで楽しんで書かせていただきました。皆さんにも楽しんでいただけたら幸いです!

 俺、南屋みなみや律斗りつとは考える。大気中に存在する、それとは別の『空気』について…──。


 人間は基本的に群れを好む…そして同時に孤独というものを嫌う生き物だ。


 群れを作る生物にとって他者に合わせる…つまり『空気を読む。』というのはとても重要な事だ。


 どんな世界でも空気を読めない人間は嫌われ、集団から孤立してしまう。


 そして人間は孤独を恐れ、仲間外れにされない様にと、我が身可愛さで誰かを蹴落とす…なんて醜いんだろう。


 個性だ何だと言い張る癖に、いざ自分達と異なる人間を目にすれば、異端者としてしいたげ、爪弾つまはじきにする。


 俺は、そんな愚かな人間共が大嫌いだ。そもそも空気なんて目に見えないものは、どう読めば良い?


 何故、人は孤独を恐れるのか?…──誰かに合わせて自分を殺して生きるくらいなら、俺は独りで良いし、空気なんて読めなくて良い。


 放課後の教室。開いた小説ので1ページから意識を周りに向ける…


 教室彼等は別の席の友人の元に馴れ合いに向かったり、同じ部活の仲間達と笑い合っている。


 まったく、ご苦労な事だ。高校ここで仲良くなった連中の殆どとは、卒業すれば疎遠になるだろうに…


 …そんな((友達ごっこ))に時間を使うなんて本当に愚かだ。


「…──南屋くん、お疲れ様!また明日ねー!」


 何て考えてたら、教室の入口から出て行く女子の声が俺の名前を呼んだ。


 そういや…学年が変わって、クラスに一人だけ声を掛けてくる物好きが居たんだっけ…


 返事をしようと考えはしたけど、その女子はもう居なかった。…教室では、残った連中が楽し気に会話していた。


「…そろそろ部活行くか」


 …と言っても、真面マトモに活動なんてしてないし、部員も俺しか居ない部活なんだけどな…


 自分の席を立ち、何も持たずに教室を後にする。


 階段を登った3階右端にある図書室の手前、そこに俺の所属する((文芸部))の部室がある。


 正直、今日も外から聞こえてくる陸上部の声をBGMに、部室で読書に勤しむだけの活動なんだが…


 そんな、いつもの活動内容を思い浮かべ、飽き飽きしつつ部室の扉を開いた…──。


「…は?」


 思わず、そう声が漏れた。何故か、俺しか部員の居ない筈の部室に、着替え中の女子が居た。


 肌蹴はだけたカッターシャツの間から覗く水色の布地に視線が引き寄せられそうになる…


「…随分と大胆な覗きもいましたね」


 当然、相手からは覗き魔と認識された。…が、てっきり「きゃぁぁぁ!?」的な感じで叫ばれて、先生が飛んで来る…なんて人生終焉シナリオが浮かんでいたが、目の前の彼女は意外に冷静だった。


「…ごめん、間違った」


 俺は内心パニックで、否定もせず一言謝ってから返事を待たずに部室の扉を閉めた。


 それから直ぐに室名札を見る…当たり前だが文芸部だ。えっ?…だったら何故、彼女は此処で着替えてるんだ?


 …──なんて考えてる間に、直ぐに扉が開く…と同時に何かバチバチバチッという音がした。


「うわっ!危なっ…!」


 咄嗟に視界の端に映った光から身を躱す…そこには制服に着替え終わった先程の彼女。胸元のピンクのリボンは今年入学した一年生だと主張していた。


 しかし、何故かその右手には…


「えっ、スタンガン!?」


 そう、何故か電気銃スタンガンが握られていた。しかも何か水玉模様の可愛らしい水色スタンガン…


「チッ…」と俺に舌打ちして、彼女は再びスタンガンを「バチバチッ…」とうならせる。


「ちょっ待った!?不可抗力!…覗いてない!」


 俺は咄嗟に両手を頭の上に挙げて抗議する。


「それが遺言ゆいごんですか?…貴方の最期の言葉は、ちゃんとメモしておきますね」


「待て、お前はアレか!?…ターゲットの最期の言葉をコレクションするタイプの殺人鬼か何かか!?」


「面白い事をのたまう死人ですね、肉塊は喋らないんですよ?」


「まだ死んでねぇし!…マジで不幸な事故なんだ!それでお前は人を殺すのか!?」


「私は未来から来たんです」


「急なカミングアウト!?…えっ、もう俺の死は確定してるの!?」


 …と命乞いをしてみてたが、取り付く暇も無い。


「…──お前ら騒がしいなぁ…何をしてるんだ?」


 俺が謎のスタンガン少女と攻防を繰り広げていると…呆れた様な声が聞こえた。


 この声は我らが…ていうか部員、俺一人しかいないけど…文芸部の顧問で現国の担当教師である松井まつい理歩りほだ。


「松井先生!それ没収して下さい!学校に関係ない物持って来てますよ!?」


 俺は後輩女子の手に握られたスタンガンを指差し、必死に松井先生に訴える。


「いや、最近は何かと物騒だからなぁ…別にに良いんじゃないか〜?」


「アンタはそれでも教師かよ!?」


 思わず、適当過ぎる顧問にツッコミ入れた。実際、死にはしないだろうが…と思えば彼女はスタンガンを止めていた。…あれ、助かった?


「そういや、南屋には紹介がまだだったな。…新しく我らが文芸部に入る事になったあくた夜空よぞらだ」


「…えっ、そんな話は初耳なんですが…」


「あれ?言って無かったか?…すまんな南屋、私は面倒だと思う事は後回しにするタイプでな。ちなみに芥、コレは南屋律斗だ」


「反省する気無いなこの人!?本当に教師か!…って、コレって言うなよ!」


 …なるほど、つまり松井先生が報告をおこたっていて、この芥夜空って子は文芸部に入ったから部室に居たと…いや、でも…


「…じゃあ芥は、何でここで着替えてたんだ?」


「…訳あって制服がびしょ濡れになって、何処かで着替える必要があったんですよ」


 制服がって…今日は雨も降って無いのに、何があればびしょ濡れになるのやら…


「…というか先輩、この流れで先程の事を無かった事にしようとしてませんか?」


「あれは事故だ、ごめんって言っただろ…というか、お前もスタンガンはやり過ぎだろ!」


「松井先生、この人は、あの暴力事件の南屋先輩ですよね?」


「人の話を聞いて!?」


 芥は俺の必死な訴えを無視して、松井先生に声を掛ける。


「…確かに、此処に居る南屋は悪い噂が絶えない学校一の嫌われ者だ」


 嫌われるほど他人と関わったつもりは無いが、少なくとも全校生徒から避けられてるのは事実なので否定できなかった。


 …というか、芥は俺のうわさを知ってたのか。

 まあ、この学校で知らない奴の方が少ないけど…でも、もう新入生にも伝わっているのか…


「…という事です、着替えの最中に髪を茶髪に染めた、噂の不良男子が入って来たので仕方なくです。仲間を呼ばれては面倒ですからね」


「仲間なんて産まれてこの方いねぇよ!…何か言ってて悲しくなってきた…てか、この髪は地毛だ!見た目で人を判断するのは良くないぞ」


 噂を松井先生に確認した芥が再び俺に反論してくる。マジで何だこの後輩…


「先輩、危機管理能力が足りないじゃないですか?見た目は貴重な判断材料です。生き物だって、見た目の派手さで自身が有毒だとアピールしています」


「それお前、ギャルが毒を持ってるって言ってる様なもンだぞ。…後、鍵を掛けて無かったお前が危機管理能力を語るな!」


「…いやぁ、二人が既に仲良くなってくれて先生はとても嬉しいよ」


|「どこが!?」(「どこがですか!」)…思わず二人ともハモっていた。明らかに揉めているのに、どこをどう見たら仲良く見えるんだか。


「…だが芥、噂を鵜呑うのみにするのは感心しないな…まあ、それはそれとして暴力事件に関しては事実なんだが…」


 その言葉を聞いた彼女は、俺を睨み付けなが先程の可愛らしい水玉スタンガンをこちらに向けてくる。


「辞めろ、こっち向けんな!危ねぇだろ!?…てか、その物騒な物を1度仕舞ってくれない!?」


「物騒とは失礼ですね、護身用です。…といかコレ、可愛いでしょ!?…ほら、良く見て下さい!」


「ビリビリさせながら、そんな危ないモンを近付けて来んな!」


 …というか、スタンガンって法律上は合法なんだっけ?


「…まあ芥、それはともかく話してみたら南屋は悪い奴じゃなさそうだろ?」


「…こんな短時間で人のしなんて分かりません。人は仮面を被って自分をいつわる生き物ですから」


 そう言いながら後輩は、不服そうな顔をしながらスカートの中にスタンガンを…スカートの中!?…どうやって!?


「人は仮面を被るか…何かそれ詩的で良いねぇ…私は好きだよ、そういうの」


 何か話が脱線しかけてる気がするが…俺が学校内で浮いてる理由は、中学で人をぶん殴ったのが原因である。


 その後、校内で((暴力事件))として噂が広まるのは当然として、入学した七海坂高等学校でも噂の内容やが脚色されて出回ってしまった。


「…俺みたいな危険人物と居たくないなら、文芸部を辞めるんだな」


 俺は自然と嫌味事をこぼす、これは俺の悪い癖だ。これに関しては、自分でも良くないとは思ってるんだが…


「いえ、入りますよ。私にはちゃんとこの部活に入る理由がありますので」


 彼女と再び目が合う…──先程は下着の衝撃で気にならなかったが、星空の様な青い瞳をしている…思わずだけど、見惚みとれてしまいそうになる。


 しかし、それ以上に…どこか詰まらなそうな…そう、その目には見覚えがある気がした。


「じゃあ…まあ、よろしく。特に先輩らしい事はできないけど…」


「先輩に期待なんてして無いので大丈夫です」


 そうだ、俺も他人に期待なんてして無い…道理で見覚えがあると思った。俺と同じ…この目は何かを諦めしまった人間の目なんだ。


 …でも、だったら彼女は何を諦めたんだろう。他人に興味の無い俺の気持ちが、少し揺らいだ気がした。


 これが俺と芥夜空という後輩との最悪な邂逅だった。


 第①話 高二病と電気銃少女…[完]

はい、これから定期的に更新していく今作ですが…懐かしの理歩ちゃん先生が登場したりとか、今までこんなスタンガンって書いた事ないぞ!?…って感じで楽しんで書きました。割と自分の中で試行錯誤しながら書いたので、満足度も高かったです。それでは、読んでくれてありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

by.珠扇キリン

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