第8話 冒険者ギルドで一悶着
俺は弓とフロストアイスドラゴンの死体をアイテムボックスに入れると、ミスリア達の元へ向かった。
「お疲れ様」
俺も含めてミスリア達全員、ものすごく疲れていた。俺とミスリア達はすぐに地面に座り込んでいた、しばらく沈黙が続くとミスリアが真剣な顔で話し始めた。
「今回、この層出でた魔物の数といい、あの上位個体といい」「これ以上潜るのは危険だ、帰還しよう」
「そうだな」
俺とミスリア達は少し休むと、ダンジョンから出た。ダンジョンの外は晴れた朝だった。俺はダンジョンから出ると手に入れた弓の事を思い出し、弓の事を皆に詳しく話した。すると当たり前だが、皆弓の性能に驚いた。
「すごい性能の弓がドロップしたものだな」
ミスリアが驚きつつも、そう言いながら永久凍氷バリアブルフロストを見ていた。
「たしかにすごい」「聞くかぎりだと、刻み込まれた魔導回路も多いい」
イシスも驚きなからそう言った。
イシスの話で出た魔導回路とは、物や武器に魔力で回路と魔法言語を刻み込むことで、様々な効果をもたらす事が出来る物だ。ミスリアが持っている懐中時計や俺の持っている野営用の魔道具、作品番号1231(ステラが付けた正式な名前)、などに使われている。魔導回路は刻む物の素材に応じて、刻み込める回路の数が増え、回路の数が増えると作成難易度も変わるのだ、そもそも魔道具を作れる人はあまりいなかったりする。
「この弓どうする?」
俺はみんなに聞くと、ミスリアが少し悩み口を開いた。
「所有者を選ぶ武器か……」「使えるのがこの中でシンだけとなると、使うのはシンがいいと私は思う」
「私も下手に売るよりもいいと思う」
「私も賛成です」
イシスとユエリアもそう言った。そしてこの弓は俺の物になった。
(弓なんて使ったこと無いけどな……)
俺はそう思いながら弓をアイテムボックスにしまい、俺は馬のゴーレムに乗り、ミスリア達はそれぞれ馬に乗ると、馬を走らせ皇都の冒険者ギルドに戻った。冒険者ギルドに入るといつもと変わらず賑やかだった。俺とミスリア達はギルドカウンターへ向かうとアンナさんは俺とミスリア達に気づき話しかてきた。
「シンさん、星の雫の皆さんお帰りなさい」「早いですね、ダンジョンはどうでした?」
受付嬢のアンナさんは俺達の早い帰りに、不思議に思いそう聞いてきた。
「一層のボス部屋に本来は出ないはずの上位個体が出てきた。」「討伐したが、これ以上潜るのは危険と判断し、戻って来た」
「その話は本当ですか!」
受付嬢のアンナさんは驚いて席をたった。
「討伐した魔物を見せてもらえますか」「ここで出すと騒ぎになるので解体場で」
俺とミスリア達はアンナさんに連れられて解体場へ向かった。
「親方いますか」
アンナさんが大きな声で呼ぶと、ガタイの良い親方が出てきた。
「おう、嬢ちゃんかどうした?」
「奥の大きな魔物を解体する部屋を使わせてもらえますか?」
アンナは少し焦りながらそう言うと、親方は焦ったアンナを見て、なにか察したのか冷静に答えた。
「その様子だと急ぎの用だな」
親方はそう言って俺達を奥の解体部屋に案内した。解体部屋に入るとそこは物凄く大きい石畳の部屋だった。
「そこに出しな」
親方は扉を締めながらそう言うと、俺は部屋の真ん中で大きなフロストアイスドラゴンの死体を、アイテムボックスから取り出した。親方は俺が出した、フロストアイスドラゴンの死体に驚いた。
「すごい大きさだな」「フロストアイスドラゴンか初めて見たぞ」
「フロストドラゴンの上位個体で間違いないのですか」
「間違いない」
親方はアンナにはっきり言うと、アンナはミスリアにダンジョンで他に変わったことはないか訪ねた。
「ミスリアさんダンジョンで他に変わった事はありましたか」
「伝え忘れていたが、魔物の数が多かった。」「一層の魔物はあらかた倒したが」「二層がどうなっているかまでは」
「すみません、上に報告してきます」
ミスリアの話を聞いた、アンナは急いでどこかに行ってしまった。
「親方、他の魔物はどこに出せばいい?」
俺はアンナが居なくなると、俺は親方にダンジョンで討伐した他の魔物の置き場所について聞いた。
「部屋の端に置いといてくれ」
俺はアイテムボックスから魔物の死体をすべて出した。ミスリア達もマジックバッグから魔物の死体を取り出すとかなりの数になった。親方は俺とミスリア達が出した量に驚いていた。
「すごい量だな」
親方は驚いた、それもそのはず魔物の死体が山盛りに積み上がっているのだから。しばらくすると、アンナとギルド長のダグレラスがきた。
「ベルファルス帝国の皇都担当、冒険者ギルドのギルド長ダグレラスだ」「アンナから説明は聞いた」「すまんが他への説明の為にこのフロストアイスドラゴンをギルドにおろしてもらえるか」
俺はその言葉に、直ぐ様断った。
「いやだよ、わざわざドラゴンの素材を取りに行ったのに」
「他のドラゴンの素材ではどうか」
「いやだ、これだけは譲れない、これは俺の大切な人への贈り物に使うの素材なんだ……」「だから……」
俺はギルド長のダグレラスの提案に、譲れない硬い心で断った。ギルド長は仕方なく諦めた。
「わかった」「そこまで言うのなら仕方ない」
「ありがとう」「説明の為と言っていたが、どこへの説明か、聞いていいか?」
「国への説明だ……」
ギルド長のダグレラスは困った顔でそう言った。
「俺のコネでなんとかする何とかする」「一応、ギルドからの説明も頼む」
「分かった」「詳しくは聞かないでおこう」
俺とダグレラスはそんな会話が終わると、フロストアイスドラゴンをアイテムボックスにしまった。そして他の魔物の死体や魔石と討伐証明部位を換金しに、ギルドホールに戻った。俺は討伐の報告を食事スペースの椅子に腰掛け待っていた。ミスリアを待っていると俺はふと思った。
「そういえばパーティー名今さっき初めて聞いたな」
俺がそう言うと、イシスがふっ、と笑った。
「今さらだね」「てっきり知ってるのだと思ってた」
「そう言うのには疎くて」
「私達もまだまだだね」
イシスがそう笑ってしばらくがすると、魔換金しに行ったミスリアが戻って来た。
「みんな、待たせたな」
「ミスリアどれくらいになったの」
イシスが戻って来たミスリアそう聞くと、ミスリアは満足そうに答えた。
「ゴブリン上位個体124体、オーク上位個体87体、オーガ種2体で全部で金貨441枚と銀貨1枚だ」「そこに国からの報酬が2割上乗せで金貨529枚と銀貨3枚に銅貨2枚だ」
俺がいるこの大陸で使われている通貨のほとんどが帝国通貨だ、日本での価値だとこんなかんじだ。
帝国通貨
皇金貨1枚 = 10,000,000円
白金貨1枚 = 1,000,000円
大金貨1枚 = 100,000円
金貨1枚 = 10,000円
銀貨1枚 = 1,000円
銅貨1枚 = 100円
鉄貨1枚 = 10円
この世界の感覚だと金貨1枚は4人家族が2ヶ月普通に暮らせる額らしい、銀貨10枚は金貨1枚分になる。そして金貨より上の貨幣があるが、この世界で流通している貨幣のほとんどが金貨よりも下の貨幣だ、だから金貨よりも上の貨幣が出ることはほとんどない。そしてミスリアが言っていた額を日本円にすると5,293,200円になる。俺はその額に少し驚いた。
「結構な額だな」
「フロストアイスドラゴンは推定で金貨500枚くらいだそうだ」「もっとするかもしれないが」
「なんか、ごめん」
俺はミスリアのその言葉に少し申し訳なくなり謝った。
「すまん、少し意地悪なことを言ったな」
ミスリアが謝ると、イシスがフォローした。
「気にする必要ない、私達はシンのおかげでいつも以上に稼げたから」
「ありがとう」「それで皆はこれからどうするんだ?」
「しばらく休みたいかな」「シンは?」
イシスは疲れた顔をしながら俺にそう聞いた。
「明日は本業がある」
イシスは俺の本業が気になるのか、俺に聞いてきた。
「本業は何してるの?」
「確かに気になるな、ギルド長に「俺のコネでなんとかする何とかする」と言っていたし」
「気になります。」
どうやらミスリアとユエリアも俺の本業が気になったようだった。
「とあるお方の執事をやっている。」
「「「え……」」」
ミスリア、イシス、ユエリアの三人は俺の言葉に以外だったのかとても驚いた。
「あれだけ戦えるのに騎士とか戦闘系じゃないのか」
ミスリアは驚きつつも俺に聞いてきた。
「執事兼、護衛だから」
「それならまだ納得できる」
イシスは少し納得したようにそう言うと、俺達は皆で朝食にした。ちなみにミスリア達に困ったら指名依頼を出してもいいか聞いたら心良く承諾してくれた。
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