第6話 ダンジョンへ②
俺とミスリア達は、危険度Sのダンジョンに来ていた、そして今4メートルくらいあるミッドナイトブルーオーガとワインレッドオーガと交戦中だった。
「くそっ」「こいつ強いな」
俺は、ミッドナイトブルーオーガの氷柱攻撃を避けた。俺はミッドナイトブルーオーガに黒い炎を纏わせた刀で切りかかった。しかし、ミッドナイトブルーオーガはその攻撃を棍棒で受けた。俺は地面に叩きつけられた。
「くっ」
俺は大勢を立て直し、ミッドナイトブルーオーガの振り下ろされた棍棒と、つばぜり合いをした。
「雷魔法 ライトニングストライク」
シンの後ろにいたイシスは雷魔法でミッドナイトブルーオーガに雷を落とした。ミッドナイトブルーオーガは雄叫びを上げた。
「グォォォォ」
ミッドナイトブルーオーガは身体強化をして、棍棒を振り下ろした。俺はその攻撃を受け流すと、ミッドナイトブルーオーガの目を斬った。
「ゴァァァ」
視界を失ったミッドナイトブルーオーガは苦痛な雄叫びを上げ、棍棒をところ構わず振るった。
イシスは再び魔法の詠唱を始めた。オーガの棍棒が地面を砕くたびに、土煙が舞い上がる。
「今だ、イシス!」
「雷魔法 サンダーボルト!」
イシスの雷が一直線に放たれるとミッドナイトオーガに直撃した、オーガは一瞬動きを止めた。その隙を逃さず、俺は全力で刀を振り下ろした。
「火力全開だー」
俺はありったけの魔力を刀に注いだ、大き黒い炎が刀身を包み、ミッドナイトオーガの胸を貫いた。
「グァァァァ!」
オーガは苦痛の叫びを上げ、膝をつき倒れた。
一方でミスリアはワインレッドオーガの気を引き付けてミッドナイトブルーオーガの後ろで戦っていた。
ミスリアはワインレッドオーガの炎を纏った拳を避け、風を纏った剣で左足を切りつけた。
「グァァァ」
風を纏った剣でワインレッドオーガの左足は傷だらけになった。
「闇魔法 シャドウスラッシュ」
その後ろに気配を消していたユエリアは闇を纏った斬撃でワインレッドオーガの背中を切りつけた。
「ガァァァ」
ワインレッドオーガは雄叫びを上げ、拳を振るい、その拳はユエリアに直撃した。
「やばい、避けられない」
「結界魔法 フィジカルシールド」
シンの後ろにいたイシスは、拳の直撃の瞬間に物理攻撃を防ぐ結界をユエリアに張った。ユエリアにワインレッドオーガの拳が当たる寸前だった。
「助かった、イシス」
ワインレッドオーガが背中を向けた瞬間にミスリアは左足に攻撃した。ワインレッドオーガはバランスを崩し、後ろにひっくり返った。ミスリアはその隙を見のがさなかった。
「これで、最後だ」
「闇魔法 シャドウスラッシュ」
すかさずワインレッドオーガの首を風を纏った剣で切りつけ、ユエリアも闇を纏った斬撃を繰り出した。ワインレッドオーガは静かに倒れた。
「向こうも丁度終わったようだな」
ミスリアはそう言った、一方で俺はその場に座り込み回復魔法で回復をしていた。
「いてぇ」
するとイシスが俺に近づいてきて、申し訳なさそうに言った。
「援護遅れてごめん」
「いや、雷魔法の援護助かった。」
俺は笑顔で言うとイシスは恥ずかしそうにした。
「ふん」
イシスはそう言って小走りで、ミスリア達の方へ行った、俺はミッドナイトブルーオーガの死体をアイテムボックスに入れると、ミスリア達の方へ向かった。
「そっちどうする」
俺はワインレッドオーガを見てそう言うと、ミスリアは困った顔で言った。
「ここに来るまでで、マジックバッグがいっぱいだから、シンのアイテムボックス入るようだったら入れてもらえるか?」
「わかった」
俺はそう返事をするとワインレッドオーガをアイテムボックスに入れた。俺とミスリア達は回収が終わると歩き始めた。少し歩くと、そこには大きな扉があった。
「ここで、一回野営をしよう」
ミスリアがそう言うと、俺はアイテムボックスからとある物を取り出した。
「じゃあこれを使おう」
俺はそう言って、台形円柱の形で上には宝石らしき物が付いていて、ダイヤルがついた道具を取り出した。そうステラ特製の野営用の魔道具だった。
「これは?」
ミスリアが俺に聞いた。
「これは野営用の魔道具だ、これを使うと周りに、防御結界と背景に溶け込む結界を張る事が出来る魔道具だ」
俺がそう説明すると、イシスが目を輝かせて言った。
「これほどの物をどこで」
「とある筋から」
俺が頬をかきながらそう言うと、イシスがジト目で俺の方をみた、とある筋とはどこだと、言いたげだった。
「じゃあ設置するか」
俺はそう言って、野営しやすそうな場所に魔道具を置いて、ダイヤルをオンにすると、魔道具の宝石から光が上に伸びると円形状に結界が俺達を包んだ。
「ここから出なければ大丈夫」
「さすがだなこれは」
ミスリアは結界の外に、顔を出し効果を確認すると、魔道具の効果に驚いていた。
しばらくが立ち俺とミスリア達は野営のテントを張り終えると、ミスリアは魔道具の懐中時計を出し時間を確認した。
「そろそろ夕御飯にしよう」
「じゃあ準備するね」
ユエリアがそう言って準備を始めようとした。
「いや、せっかくだから俺が作るよ」
「シンは作れるのか?」
ミスリアがそう聞くと俺は自信満々に答えた。
「こう見えても料理の腕は、いい方だぞ」
「では、まかせよう」
ミスリアがそう言うと俺はアイテムボックスから、まな板、包丁、食材を取り出した。
まずは味噌汁を作る、こっちではロッドギネと呼ばれる食材、ネギを輪切りにして、食べると魔力が少し回復するシルムキノコを水を張った鍋に入れ、鍋を焚き火の上に乗せる。
次は串焼きだ、牛の様な見た目のCランク魔物の、バフォルブルの肉とネギを一口大に切り、それを交互に串へ通す。そこに醤油、酒、砂糖を混ぜて作ったタレを塗る。
そして、その串を焚き火の周りに刺しておく。
「美味しそうだな」
「美味しそう」
「美味しそうですね」
ミスリア、イシス、ユエリアの三人は焚き火の周りの串焼きを見てそう言った。しばらくがたち、鍋がひと煮立ちすると焚き火から鍋をあげて、そこに味噌を加える。
「その茶色いのは何だ……」
ミスリアは不安そうに、俺に尋ねた。
「こいつは味噌と言って、東の大和公国の食材だ」「こんな感じでお湯に溶いて入れるんだ」
俺は味噌を溶きながら実演した。
「適切に保存すれば長持ちだから携帯するには便利だぞ」
「どこで手に入るのですか?」
ユエリアは興味を持ったのか、俺に聞いて来た。
「さっき串焼きのタレに使った醤油と、今使ってる味噌も、全部皇都の商会で手に入るぞ」「まあ、後で教えるよ」
俺はそう言うと、丁度串焼きの肉とタレが焼けるいい匂いが漂い、肉汁が火に落ちるいい音が聞こえて来た。
「そろそろだな」
俺はそう言って味噌汁を木皿に盛り付けると、三人に手渡した。俺も味噌汁を盛り付けると、席に着いた。
「では、いただこう」
ミスリアはそう言って串焼きに手を付けた。
「おいしい!」
(この肉の柔らかさ、そしてロッドギネの歯ごたえ、それを引き立たせる甘辛い濃厚なタレ、おいしい!)
ミスリアは目を輝かせながら、串焼きの肉にかぶりついた。
イシスとユエリアも同じように、嬉しそうに串を頬張っている。俺は自分の味噌汁を一口すすり、その温かさと深い味にほっと息をついた。
「この味噌汁というもの、本当に美味しいですね」
ユエリアは味噌汁をすするたびに笑顔を見せた。彼女のその笑顔を見ていると、作った俺も自然と笑みがこぼれる。
「味噌は体を温めてくれるし、疲れた体にちょうどいいんだ」
焚き火の明かりが、俺たちの顔を暖かく照らしている。