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第30話 ゲーム開始

 俺達は廃部寸前のレギオンフラッグボードエンジョイ部に訪れていた。


 「ごめんね、ここにいるみんなにレギオンフラッグボード体験してもらいたいけど、今他の二人が勧誘にでていて部室にいなくて、グレイが呼びに行くから待っていてくれない?」


 メイルに呼びに行くよう言われたグレイは不服そうにして、読んでいた本を閉じるとメイルの方を見て言った。

 

 「なんで、俺が行かなきゃいけないんだ」


 「あなたは、サボっていたでしょ」

 

 メイルに言われ渋々立ち上がったグレイは、扉の近くにいた俺たちに目を向け、少し驚いたようすで言った。


 「アナスタシア皇女殿下!クラス分け試験の時、魔法修練場を凍りつかせたと噂の」


 グレイに大声で堂々と言われて、アナは恥ずかしいのか顔を赤くして俯いた。

 

 「今回の新人は面白そうだな」


 そう言って楽しげに笑うと、グレイは部屋を出て、残りの二人を呼びに行った。


「待っている間に紅茶でも飲みましょう。待っていて、今用意するから席に座ってて」


 メイルは部室の戸棚から紅茶の茶葉を取り出し、手際よく紅茶を淹れ始める。俺達が席に着き、しばらくするとメイルが紅茶の入ったティーカップを俺達の前に差し出した。俺は差し出された香り高い紅茶をを飲む。


 「あ、美味しい」


 俺は美味しい紅茶で一息ついて待っていると、他のメンバー二人を連れてグレイが戻ってきた。

 グレイの隣りにいた少女は灰色のポニーテールに、うさぎの耳のような黒いリボンをつけ、黒と赤の混じった瞳をしていた。彼女は俺たちを見るなり、元気よく声をかけてきた。


 「あら、今回は可愛い新人さんが大勢いるわね。元気でるわ~」


 彼女の隣には、同じく灰色のロングヘアで、同じ色の瞳を持つ小柄な少女が立っていた。

 

 「はじめましてですね。隣が姉のイリス、私は妹のイリエです。よろしくね」


 イリエとイリスの自己紹介が終わると、グレイはレギオンフラッグボードを早くやりたいのか待ちきれなさそうな様子で口を開く。

 

 「そろそろ始めるぞ、この中でルールを知ってる奴は?」


 「俺とステラは知ってるけど、他の人は?」


 俺はルールを知っているか皆に尋ねた。ちなみに俺とステラはレギオンフラッグボードをプレイしたことがある。何を隠そう俺とステラとエルセリアの三人共同で作ったボードゲームなのだから。制作者がルールを知っているのは当然のことだ。


 光輝はやりたそうにワクワクとしたようすで話す。


 「俺はルール知ってるから出来るぞ」


 アナも右手を小さく上げて答える。


 「私も皇都で見たことあるのでルールは知っています」


 そう、レギオンフラッグボードは皇都でも人気の高いボードゲームなのだ。五メートルほどの巨大なボードを使ってプレイし、その様子を光の三原色を利用したスクリーンのように映像として空中に投影する。大勢の市民が観戦できるため、皇都では代表的な娯楽のひとつとなっている。

 ちなみに、このゲームは携帯型でもかなりの値段のする高価な魔道具なので、据え置き型で大規模なレギオンフラッグボードを設置しているのはベルファルス帝国の皇都とラタトス王国の王都の二か所だけだ。それに設置には莫大な費用がかかるうえ、設置できるのはエルセリアとステラの二人しかいないため、数多く設置が出来ないため二つしかないのだ。

 

 「ルール知っている奴は丁度四人だから俺達と対戦で、知らない奴は対戦しながら説明するよ」


 「まったく……勝手に取り仕切らないでよ……ごめんね皆それでいいかな?」

 

 メイルはグレイ呆れたようにため息をつき、俺達に申し訳無さそうに謝った。


 グレイは戸棚から六角形のマス目で構成された六角形のボードと、小さな箱を取り出して机の上に置いた。イリスとイリエは俺達の目の前の席に座り、今にも始めたそうにしているグレイをメイルが静止していた。

 そして、イリスがレギオンフラッグボードについて簡単な説明し始める。


「まずこのレギオンフラッグボードはボード内に様々な地形が用意されていて、そこに入り込み、自身の擬似的な肉体を用いて戦う遊びなの」


「ボード内に入り込むとはどのようなものなのだろうか?」


 響が質問をすると、それにイリスが答える。


「詳しいことは分からないけど、このボードは魔道具になっていて、擬似的に作られた空間内で擬似的に作り出された肉体を操作して生身で戦うような感覚を体験できるらしい。説明しずらいから見た方が早いね」


「なるほど」


 響はイリスから質問の返答を聞いたもののイメージが出来ないのか何かモヤモヤとしているようだった。

 

「VRゲームみたいなものかな?」


 皐月は小声で光輝にこっそり聞くと。光輝はそれに反応して小声で答えた。 


「大体そんな感じ」


 そして、イリスは説明を続け小さな箱から剣を持った騎士風のコマを取り出した。


「これがコマ」


 イリスは次々にコマを取り出し、机に六つの人形のコマを並べた。コマ種類はそれぞれ、剣、槍、弓、杖、短剣、大盾と何も武器を持っていないコマがあった。


 「コマにはそれぞれ特徴があって、えいちぴーの量と使用できる武器が設定されているの」


 「えいちぴーというのは?」


 響は聞き慣れない単語のためかイリスに聞く、一方で聞き慣れている光輝と皐月はかすかな苦笑いを浮かべた。

 

 「えいちぴーは生命力を表す言葉よ」

 

 「まだか~~」


 グレイは待ちきれなかったようで、早く始めるよう催促するとイリス達先輩は皆一斉にため息を付いた。俺はその様子を見て面白くてクスッと笑ってしまった。


 「そろそろ始めましょうか」


 メイルがそう言ってボード横についているボタンを押すとマス目がかすかに光り始めた。


 「いつも通り私がリーダーでやるからそれでいい?」


 メイルがリーダー役のようだった。グレイは待ちきれなさそうに返事をする。

 

 「いいぞ早くやろう」


 グレイの態度はここまくると少し、しつこい様に感じた。もっとも、それだけこのゲーム好きで、早くプレイしたいたいという気持ちが伝わってくるのだが。


 このゲームにおけるリーダーの役割は重要だ。リスポーンに必要な砦の設置、勝負の鍵となる旗の配置や奪われた旗の奪還時の再設置、さらに念話による指示で仲間を勝利に導く、まさに戦略担当の立ち位置である。


 「こっちは誰がやる?」


 俺はリーダーを誰が務めるか尋ねた。もちろんゲーム制作者なので強いということはない。俺はルールには詳しいが戦略を練るのは苦手なのだ。


 「じゃあ……私がやる……」


 「え……ステラが……」

 

 俺は以外すぎて驚きを隠せなかった。ステラは根っからの研究者で自室に籠もってずっと研究をしているような奴なので、そんなステラがチームを指揮できるのか不安だった。


 「よし決まりだな」


 「そうですね」


 光輝とアナはあっさりと承諾した。結局、不安を抱えているのは俺だけで、リーダーは何事もなくステラに決まった。


 ステラとメイルはゲームの準備を始め、砦と旗のミニチュアをボードに配置していく。俺たちはそれぞれ使用するコマを選んでいた。アナは弓を持つ弓使いのコマを選択。弓使いはHPが50パーセントに設定されており、HPの総量としては下から二番目なのだ。


 そして、コマの中で一番HP低いのが俺が選んだ何も武器を持っていない、このカスタム型のコマだ。カスタム型の特徴は使用できる武器にある。このコマは自身がイメージして具現化した武器が使えるのだ。その為、HPが20パーセントしかなく、普通なら誰も選ばない。


 そのはずだが、俺の隣で光輝が嬉々として同じカスタム型を選んでいた。俺は何故か無性にやな予感がした。気の所為だといいのだが、その予感は、ゲーム開始直後に的中することになる。


 やがて両チームの準備が整い、各自が選んだコマを砦が置いてあるマスに配置する。そしてリーダー以外のプレイヤーがコマに触れ、一斉に言う。


 「「「「「「コマリンクスタート」」」」」」

投稿期間が空いてしまい申し訳ありません。次回は来週に投稿します。


よろしければ、ブックマークに追加の上、「☆☆☆☆☆」で評価して続きをお読みいただけますと幸いです。



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