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第2話 二つ目の顔、学生としての日常

 俺のスキルである「箱庭世界」は、その名の通り自分だけの世界を創造できるユニークスキルだ。地形や気候を思いのままに設定し、必要な材料さえあれば、建物も簡単に建てられる。スキルレベルに応じて箱庭世界の規模は大きくなり、機能も多彩になる。現在、俺の箱庭世界はレベル5に達しており、縦横高さがそれぞれ500メートルほどの立方体となっている。


 俺がその箱庭世界に入り、城の前に姿を現すと、丁度その時、赤い長髪に赤い瞳を持ち、鎧を着た少女が城から出てきた。


「ハルナ、訓練か?」


「そう、これから訓練。マスターはこれから戻るの?」


「ああ、準備を整えたらすぐに戻るところだ。」


 この少女は剣聖の榛名(ハルナ)。彼女は、365年前に俺が箱庭世界の機能を使って作り出したホムンクルスだ。彼女の他にも、182年前に作った錬金術師のステラがいる。


「そういえば、姫様がハルナに会いたがっていたぞ。」


「マスターがそう言うのなら、今度会いに行きます。」


「ステラは?どこにいる?」


「書庫にいると思いますよ。」


 俺はその話を聞いて城の書庫へと向かった。


「ステラ、いるか?」


 書庫に入ると、俺はステラを呼んだ。


「ん……」「いる……ここに。」


 そう答えたのは、緑髪のショートヘアに緑の瞳を持つ幼い見た目の少女、ステラだった。


「仕入れのリストと売却品の準備はできてるか?」


「これ……」


 ステラはそう言いながら、仕入れのリストを渡してきた。俺はそのリストを受け取り、内容を確認した。


「いつも通り、大量の食料と本か。」「随分とマニアックな本ばかりだな。本屋にあるかな?」


 俺はそう呟きながら、リストと200グラムの金のインゴットをアイテムボックスにしまった。その時、ステラが話しかけてきた。


「マスター、書庫の本棚の整理を手伝って。」「本が多すぎて一人じゃ整理できない。」


 ステラの頼みに、俺はやれやれと思いながらも本の整理を始めた。そして本の整理が終わる頃には、すでに日が暮れていた。


「夕食は何にする?」


 ステラが尋ねた。俺は少し考えて答えた。


「刺身にしよう。」


 俺と榛名(ハルナ)、ステラの三人は夕食を済ませると、城の謁見の間へ向かった。歩きながら、俺は過去のことを思い返していた。


「しかし、この箱庭は随分と発展したな。」


「ですね。」「初めは何も無かったのに。」


「うん……」「今では農場、湖、鉱山、鍛冶場、研究所、書庫、食料庫、武器庫がある。」


「あとは、訓練場があれば文句なしですけど。」


「箱庭世界のレベルアップに期待だな。」


 俺たちはそんな会話をしながら謁見の間へ向かい、大きなドアを両手で開けて中に入った。そこには異世界と地球をつなぐ扉があり、その上には残り時間が表示されていた。


 この扉を使って、俺は異世界と地球を行き来している。この扉が開くのは異世界の時間で一年に一度であり、地球の時間は変わらない。逆に、地球にいる時は一日しか過ごせず、異世界の時間は変わらない、時間が経つと再び異世界に戻される。


 俺は2つの世界を行き来し、2つの人生を生きている。今日は異世界の時間で365年、地球の時間でちょうど一年だ。


「365年、長かったな。」


「マスター……」「年寄りみたい……」


「365年も生きていたら、もうジジイだろ。」


「マスターは人間じゃないから……」


「人間だよ!!」「 一応。」


 そんなツッコミをしていると、扉の上の時間が0になり、扉の鍵が開いた。


「お、時間だ。」


 俺は扉を開いて中に入ると、後ろからハルナとステラの声が聞こえた。


「「いってらっしゃい、マスター。」」


 扉をくぐると、そこは日本の普通の高校生の部屋だった。部屋にはベッド、机の上にはパソコンが置いてあり、隣の本棚にはラノベが並んでいた。時計は前回異世界に行った時と同じ、0時00分を示していた。


「やべ、土足のままだ。それに着替えないと。」


 今の俺の姿は、白髪に黒髪が混じった黒目のタキシード姿。俺は急いで靴を脱ぎ、部屋着に着替え、変身スキルで高校生の姿に戻した。


「明日も早いし、寝るか。」


 俺はそう呟いてベッドにダイブし、そのまま眠りについた。


 翌朝、異世界での習慣が抜けず早起きした俺は制服に着替えて一階へ降りた。母が家族の朝食とお弁当を作っていた。


「おはよう、ここ数日早起きね。」


「おはよう、目がすぐ覚めるんだ。」「手伝うよ、母さん。」


「あら、ありがとう。」


 母は微笑みながら答え、俺は母の手伝いをした。朝食とお弁当ができあがると、父と妹の香苗(かなえ)が二階から降りてきた。


「おはよう、真司。」


 俺の地球での姿、それは高校2年生の上谷 真司(かみや しんじ)だ。


「おはよう、兄さん。最近早起きだね。」


 そんな会話を交わしながら、家族全員で朝食を取った。久々に家族と過ごす時間に感動しつつ、朝食を終えて学校へ行く準備を済ませた俺は、家を出た。そこで幼馴染の(くすのき)皐月(さつき)が待っていた。


「真司、おはよう。」


「おはよう、皐月。」


「そういえば、この一年で真司、随分と大人びたね。」


「そうか?」


 俺と皐月はそんな会話をしながら学校へ向かった。皐月は容姿が整っていて学校でモテるので、彼女と一緒に登校する俺は割と目立つ。教室に着くと、友人の井上(いのうえ) 光輝(こうき)がいた。


「おはよう、光輝。」


「おう、おはよう真司。」


 俺が席に着くと、光輝が新しいゲームの話を始めた。


「なあ、知ってるか?」「 新しく出るこのゲーム。」「俺がβテストをやっていて面白いと思ったゲームなんだが。」


 光輝はそう言いながら、スマホの画面に映ったゲームのパッケージを見せてきた。タイトルは「異世界学園の勇者と少女達の大冒険」だった。俺はあまり興味がなかった。


「へえー、どんなストーリーなんだ?」

 

 俺は興味なさそうに聞いたものの、光輝は熱心に話し始めた。


「物語は異世界に召喚された主人公の勇者と、その召喚に巻き込まれた一般人と、その他の学園の学生キャラクターたちと学園生活を楽しみながら冒険をするというものだ。」


「さらに、学園内で様々なキャラクターとの好感度を上げたり、複数のルートが用意されているゲームだ。登場キャラはこんな感じだ。」


 光輝はそう言いながら、スマホの画面に映ったキャラクター一覧を見せてきた。俺は順番に見ていき、ある名前と立ち絵に目が留まった。そこには「アナスタシア・エルメス・ベルファルス」と書かれていた。


「ファー」


 驚きのあまり、ついおかしな声が出てしまった。周りの視線が一斉にこちらに向けられる。俺は冷静を装いながらもすぐに察して、光輝のスマホを取り上げ、そのキャラクター一覧をスキル「脳内記録」で覚えた。キャラクター一覧には剣聖の息子と娘が登場していた。そこに書かれていた剣聖の娘はあのステラだった。しかし、剣聖の息子を見て俺は不思議に思った。


(こんな黒髪青目でメガネをかけた奴いたか?誰だ?)


「さっき驚いてたけど、どうしたんだ?」「俺のスマホをずっと見てるけど、何か一目惚れするキャラでもいたのか?」


 俺が考え込んでいると、光輝が、俺が驚いた理由を尋ねてきた。俺は咄嗟に答えた。


「そんなとこかな。」


 そして食い気味に、光輝に詳細を聞いた。


「どういうストーリーなんだ?」「詳しく教えてくれ。」


「そんなに気に入ったのか。」「でもネタバレはしないぞ。」「発売日は明日だから、自分で買ってプレイした方が面白いぞ。」


 光輝はそう答え、俺は頭を抱えた。


(発売日は明日、つまり異世界の時間で1年後。姫様が学園に入学するのは今年の春だよな……)


(遅いよ〜〜〜〜〜)


 俺は心の中で悲鳴を上げた。

ステータス

名前:夜櫻<ヨザクラ> 榛名<ハルナ> ハルナ・ヨザクラ

性別:女性型

年齢:365歳

種族:ホムンクルス

スキル

剣聖LvMax

体術LvMax

身体強化EX LvMax

思考加速LvMax

光魔法LvMax

称号:剣聖 ベルファルス帝国 ラタトス王国 名誉侯爵


名前:ステラ

性別:女性型

年齢:182歳

種族:ホムンクルス

スキル

薬品作成Lv6

魔道具作成LvMax

言語理解LvMax

速読LvMax

算術LvMax

脳内記録Lv5

脳内記録転写Lv3

料理Lv5

水魔法Lv2

称号:????


名前:シン  上谷 真司<かみや しんじ>

性別:男

年齢:381歳

種族:??人間????

ユニークスキル:箱庭世界Lv5 ???

スキル

鑑定LvMax

アイテムボックスLvMax

変身LvMax

脳内記録LvMax

脳内記録転写LvMax

????

????

????

????

????

????

????

????

????

????

????

????

????

称号:????


スキルLvについて


スキル


Lv1 - 初心者: スキルを習得したばかり。


Lv2 - 初級者: スキルをある程度使いこなせる。


Lv3 - 中級者: 一部のスキルを効果的に使用でき

る。


Lv4 - 上級者: スキルを使いこなせる。


Lv5 - 熟練者: スキルの応用ができる。


Lv6 - 専門家: スキルにおいて高い専門性を持つ。


Lv7 - 達人: スキルを自在に操ることができる。


Lv8 - 名手: スキルの使用が非常に洗練されている。


Lv9 - 大師: スキルの極意を理解し、他者に教えることができる。


Lv10=LvMax - 超一流: この領域に到れるのはごく一部の者のみ。スキルを極めた使い手


スキルEX

スキルLvMaxを極めた者の中でも、さらに一握りが到達できる


Lv1、複数の戦いに影響を与える事が出来る


Lv2、一つの戦争に影響を与える事が出来る


Lv3、国一つに影響を与える事が出来る


Lv4、大陸一つに影響を与える事が出来る


Lv5=LvMax、世界に影響を与える事が出来る

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