裏話 勇者召喚②
光輝と皐月はエリウス王の執務室へと案内された。部屋は高級感溢れる装飾に彩られ、ひしめく書類や装飾品が威厳を漂わせる中、やや緊張感のある空気が流れている。二人は高そうなソファに腰を下ろした。
「まずは、謝らせてほしい」 「勝手にこちらの世界に呼び出してしまい、申し訳なかった」
エリウス王は普段の厳しい顔立ちから一転、深々と頭を下げた。あの威圧感満載の王が、頭を下げる姿に、皐月は驚きを隠せず、動揺が走る。
一方、光輝はまるで前もってこの展開を予見していたかのように、冷静沈着に答える。
「大丈夫ですよ、王様。どうか、頭をお上げください」 「あなたの謝罪の気持ちは、確かに伝わっています」
光輝の落ち着いた口調に、皐月も少しずつ心を落ち着け、静かに口を開いた。
「私も……」「謝罪の気持ちは十分理解しました」
王は顔を上げ、先ほどの硬い表情を一転、柔らかい微笑みとともに話し始める。
「さて、これからのことについてだが」「謁見でも申し上げた通り、本格的な災いが5年後に訪れる」「二人には、その時までに学園都市の学園で知識と力を磨いてほしい」
その時、皐月は遠慮がちに手を上げ、王に問いかける。
「えっと……」「二人とおっしゃいましたが、私も含まれているのですか? 」「私はただ巻き込まれただけなのですが…」
エリウス王は一瞬、厳かな眼差しを皐月に向けながら、ゆっくりと答える。
「確かに皐月殿は、ただ巻き込まれたに過ぎないかもしれぬ」「しかし、神からの託宣には『召喚された者はトウリス学園で学べ』と」「勇者を学園に通わせるというのではなくだ、神の言葉には何か意味があるのだろう」
王の言葉に、皐月は内心の戸惑いを隠しきれず、思案の色が濃くなる。
「光輝殿、皐月殿、どうかこの世界を救ってくれぬか」「私にできる支援は出来る限りしよう」「どうか、頼む」
エリウス王はそう言い頭を下げて、光輝と皐月に願いをした。
「任せてください」
光輝は直ぐに承諾したが、皐月は少し悩みながらも覚悟を決めたようで、はっきりと返事をした。
「わかりました」
「そうか、光輝殿、皐月殿、ありがとう」
エリウス王は少し安心してそう言った。
「では、トウリス学園の入学は4週間後だ」「その前にクラス分け試験もある」「時間は限られているが、講師を付けよう」「部屋も用意するから今夜はしっかりと休み、明日からは勉学に励んでくれ」
光輝と皐月は、エリウス王の丁寧な配慮にそれぞれ礼を述べる。
「ご配慮、誠にありがとうございます」
「お世話になります」
すぐさま、エリウス王は控えのメイドを呼び出し、二人をそれぞれの部屋へと案内するよう指示した。
メイドに従いながら、光輝と皐月は隣同士の部屋へと案内される。二人が部屋に足を踏み入れた瞬間、その豪華さに二人は声を上げた。
「「すごい……!」」
床から天井まで広がる広々とした空間。贅沢に装飾された家具、繊細な彫刻が施されたテーブル。皐月はゆっくりとベッドに腰掛けた。
「今日だけで、いろいろあったな……」
皐月はそう呟き天井を見上げた。
しばらく静寂に包まれたその時、扉をノックする音が室内に響いた。
扉の外から、光輝の声が聞こえる。
「皐月さん、いる?」
皐月はすぐに立ち上がり、扉を開けると、そこには光輝が深刻な表情で立っていた。
「光輝くん、どうしたの?」
彼は辺りを見回しながら、低い声で語りはじめる。
「この場で話すのは難しいから、中に入ってもいい?」
「うん、いいけど……」
皐月は光輝のその様子に何かあったのかと思い、光輝を部屋の中に入れた。皐月がベッドに腰掛けると、光輝はベッドの近くの椅子に座った。
「それで、光輝くん話って何?」
「皐月さん落ち着いて聞いて欲しい……」「この世界は俺がプレイしていたゲームの世界の中なんだ……」
光輝の突然の言葉に驚き、少しの間沈黙が訪れた。それもそのはず、唐突に、この世界かゲームの世界とか言われたら正気を疑うだろう。
「えっと………」「光輝くん大丈夫?」
皐月は心配そうにそう言うと、光輝はその言葉に心にダメージを受けた。
「いや……」「冗談とかじゃなくて、本当の話しなんだ」「王様の顔も会話も、謁見の間の風景とかもゲームそのままだ」「それに、俺と、王様の会話も自然に会話出来ていただろ」
ふと、皐月は自分の記憶と照らし合わせる。確かに、これまでの光輝の会話、不自然さを感じず、動じる様子もなく違和感なく会話していたのは事実だった。
「言われて見ればそうかも……」
「信じてくれるか」
光輝は必死な表情で答えた。
「うん、信じるよ」
光輝はその言葉にホッとした。そしてその後、光輝はこの世界について皐月に淡々と説明した。
「つまり私はゲームの召喚に巻き込まれたキャラポジションてこと?」
「そうなんだ……」
光輝は申し訳無さそうに言うと、皐月は天井を見上げてしばらくの間、二人の間に沈黙がながれた。皐月は天井を見上げて何か考えている様子だった。それを察した光輝は皐月が話し始めるのを待っていた。
「そっか~」「話はだいたい理解できたよ」「その他にもステータスについて聞いていい?」
「あ、うん」「ステータスに付いてだけど、皐月さん自分のステータス開いてくれる?」
光輝は皐月の切り替えの速さに少しおどろ来つつも答えた。光輝はステータスを開くよう皐月に言うと、皐月は言われた通りに、ステータスを開いた。
「まずこの世界の人のステータスと俺達のステータスには違いがあるんだけど」「俺達のステータスには、レベルとかHPとかのパラメータが存在する、だがこの世界の人にはそれがない」
「なるほど、うっかりでレベルとかのことを話さないようにしないとね」
「確かにな、人前でうっかり口走りそう……」
光輝は苦笑しつつ答え、皐月はクスッと笑った。
「それで、光輝くん」「ステータスのパラメータについて聞いてもいい?」「普段あんまりゲームとかやらなくて」「HPとかMPとかは、分かるんだけどSPてのは何?」
皐月はステータスを見ながら光輝に問いかけた。
「SPはスタミナポイント、走ったりすると減るやつだね」
「SPは分かったけど、精神力、魅力、幸運、この三つは何?」
「精神力は精神攻撃系に耐性ができて、魅力はゲームだとキャラとの会話に補正がかかる、幸運に関係があるのはギャンブルとかくらいかな」「HPとか筋力とか、これらのパラメータはステータスポイントを割り振ることで上げられるよ」
「なるほど、他にもいくつか聞いてもいい?」
皐月は光輝の方を見て言うと、光輝は嬉しそうに自信満々に答えた。
「おう、俺に答えられる事なら何でも答えるよ!」
「それじゃあ、このステータスOSスキルについて聞いていい?」
「それは」
その後、光輝はステータスOSスキルについて説明を始めた。彼は人物や物を鑑定できる能力や、物を個数で収納可能なアイテムストレージを実演を交えながら紹介し、皐月も楽しそうに自身のステータスOSスキルを試していた。説明が一段落した後も、光輝と皐月はステータスについて会話を続けた。その結果、皐月は魔法使いの方向性でステータスポイントを割り振ることを決めた。そんな中、話がちょうど終わるころ、扉をノックする音が聞こえ、皐月が扉を開くとメイドが夕食の時間を知らせに来た。
「皐月様、夕食のお時間です」
メイドは皐月に夕食の時間である事を告げに来ると、部屋の中で椅子に座るに光輝の存在に気がついた。
「光輝様、こちらにいらっしゃったのですね」「ちょうど光輝様のお部屋に伺うところでした」「光輝様お食事のお時間です」
光輝と皐月はメイドに言われた通り、メイドの跡をついて行った。
井上 光輝
Lv:1
HP:20
MP:20
SP:20
筋力:18
防御力:18
俊敏力:15
知力:5
器用力:3
精神力:6
魅力:23
幸運:8
ステータスポイント:70P
ユニークスキル:ステータスOS 勇者Lv1
スキル:言語理解LvMax
称号:勇者
楠 皐月
Lv:1
HP:10
MP:30
SP:20
筋力:4
防御力:3
俊敏力:7
知力:25
器用力:20
精神力:10
魅力:17
幸運:5
ステータスポイント:93P
ユニークスキル:ステータスOS
スキル:
称号:勇者召喚に巻き込まれた者
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