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裏話 勇者召喚①

 これは放課後、真司、皐月、光輝の三人が本屋からの帰り道での話。三人の家はそれぞれ異なる場所にあり、光輝の家は学校のある最寄り駅から数駅離れたところにあり、皐月の家は、真司の家と学校のある最寄り駅の中間に位置している。このため、三人は真司、皐月、光輝という順番で家に着くのである。


「皐月、光輝じゃあな」


 真司はそう言って家の中に入って行き、光輝は最寄り駅に向かう為、皐月と光輝の二人となった。二人は中が悪い訳ではないがしばらくの間、二人は沈黙して歩いていると、光輝は真司の昔の話が気になったのか、真司の幼馴染である皐月に真司の事を聞いた。


「皐月さんは真司の幼馴染何だろ真司は小さい時どんな感じだったんだ?」


「そうだね〜〜」「性格が変わったのは去年の今くらいの時期かな」「昔も今も優しい所は変わらないけど、少し乱暴になった感じがするかな」


「俺はそんな感じしないけどな」


 二人がそんな会話をしながら歩いていると、地面が突然光り出し二人の足下に魔方陣が現れ、二人は動けなくなった。


「何この光!!」


 皐月は突然の光に驚いた。


「体が動かない」


 光輝も驚いて、急いで魔方陣から離れようとしたが、体が動かなくなった。そうして二人は魔法陣の光に包まれ、地球とは異なる世界に召喚されたのだった。



 そして、光輝と皐月が召喚されたのは、シンが地球から戻って来て翌日の夕方頃、ラタトス王国の王城での事。光輝と皐月は帰宅途中で地球とは異なる世界に召喚され、ラタトス王国の王城に召喚された。


「どこだここは」

 

「ここは?」


 光輝と皐月は恐る恐る目を開けると召喚陣の周りには十二人の魔法使いと、その奥に数人の人がいた。すると、召喚が終わった魔法陣は端の方からパラパラと消えていった。


「信じられない、本当に成功するとは」


「では、あの神託は、本当の話か……」


 十二人の魔法使いは口々(くちぐち)にそう話し始めると、その奥から教会のシスターが出て来て、光輝と皐月の元まで近づいて来ると、シスターは突然、頭を下げて謝った。


「突然、この世界に呼び出してしまい、申し訳ありません」


 シスターは深くお辞儀をして、顔を上げると詳しい説明をし始めた。それは、数日前の事、創世の神システイムから神託が下りた。


 「この世界に大きな災いが迫っている、それに対処する為、異なる世界から勇者を1名召喚せよと」「そして神から一度だけ使える勇者召喚の魔法陣を授かりました」「そのシステイム様からの信託を私とラタトス王国王様が受け、直ぐに行動に移した次第です」


「私、元いた世界に帰れないんですか……」


 皐月は地球に帰れなくなることが不安になりシスターに訪ねた。シスターは申し訳なさそうに答えた。


「災いを退けた暁には、元の世界に帰還できると神託を授かっております。」


 皐月はシスターのその話を聞いて、すこし安心したが不安と恐怖で表情が暗かった。

 

「なるほど、先ほどの説明では勇者は1名ですよね」「どちらが勇者なんですか?」


 光輝は冷静に対応しているように見えるが、内心少し驚いていた。まさか自分がプレイしていたゲームの世界に召喚されるとは、思ってもみなかったからだ。光輝はシスターを見るなり、ここがゲームの世界だと、すぐに分かりゲームのセリフ通りに話した。


「すみません、本来は1名のはずなのですが……」「勇者様かどうかを判断する為には、ステータスオープンと念じて下さい」「スキル欄に勇者のスキルがあるはずです」


 シスターに言われた通りに光輝と皐月はステータスオープンと念じると、目の前にそれぞれのステータスが表示された。



井上(いのうえ) 光輝(こうき) 

Lv:1

HP:10

MP:10

SP:10


筋力:8

防御力:8

俊敏力:5

知力:5

器用力:3

精神力:6

魅力:3

幸運:8

ステータスポイント:150P 

ユニークスキル:ステータスOS 勇者Lv1

スキル:言語理解LvMax

称号:勇者

  

 

(くすのき) 皐月(さつき)

Lv:1

HP:10

MP:10

SP:10


筋力:4

防御力:3

俊敏力:7

知力:15

器用力:10

精神力:3

魅力:17

幸運:5

ステータスポイント:150P

ユニークスキル:ステータスOS

スキル:

称号:勇者召喚に巻き込まれた者



「ありました、勇者のスキルが俺の方に」


「そうですか……」「良かった」


 シスターは少し安心して、ほっと息をついた。

 

「私の方には称号、勇者召喚に巻き込まれた者と書いてあります」

 

 そして、それを聞いたシスターは皐月の方を見て頭を下げ謝った。


「すみません、あなたを巻き込んでしまって」


 一生懸命謝るシスターを見て、皐月は流石に少し申し訳ない気持ちになり頭を上げるよう言った。


「あなたの謝罪を受け入れるので頭を上げてください」

 

 皐月のその言葉を聞いてシスターは頭を上げた。

 

「ありがとうございます」「まだお二方の名前を聞いていませんでした」「お名前を伺っても?」

 

「私の名前は、(くすのき) 皐月(さつき)です」

 

「俺は、井上(いのうえ) 光輝(こうき) です」

 

「では、皐月(さつき)様、光輝(こうき)様、王様からも話があるのでどうぞこちらに」


 シスターはそう言って光輝と皐月を謁見の間へ案内した。そして、謁見の間へ着くと、扉の隣にいた兵士が扉を開けて、シスター、光輝、皐月の三人は中へと入った。中に入ると、部屋には玉座のところまでレッドカーペットが敷かれていて、玉座には王様が座り、レッドカーペット脇には大勢の官僚や貴族が立っていた。部屋の中へ進み、シスターが立ち止まると、あとから付いてきた光輝と皐月も立ち止まった。


 「エリウス王、勇者様方をお連れしました」


 「ご苦労」「勇者殿、突然呼び出してすまない」


 皐月はエリウス王の怖い顔と威圧感に、萎縮してしまった。


 「今、この世界に大きな災いが迫っている」


 エリウス王が突然そう言うと、周りの官僚と貴族がざわついた。


 「そして、勇者殿には大きな災いから世界を救って欲しい」「だが本格的な災いが起こるのは5年後だ」「それまでは学園に通い力をつけてくれ」「詳しい事はのちほど話そう」


 エリウス王のその言葉に、光輝は顔には出してはいないが、光輝は心の中でワクワクしていた。

 

 (ここまでのセリフはゲーム通り、やっぱりあのゲームの世界)


 光輝は数々のゲーム通りのセリフにワクワクしていた。


 (そろそろだな、あいつが出て来るのは)


 すると、光輝の予想通り、一人の貴族がレッドカーペット脇から出てきた。


「陛下、お言葉ですが、どこの者とも知らない者に国の命運を託すなど……」


 レッドカーペット脇から出てきた貴族は光輝と皐月を睨みながら言い放った。一方でエリウス王は毅然とした態度で言った。

 

「コルト卿、もはやこの事は我が国だけでの問題ではない」「近い内にこの大陸にある六国と学園都市とで話し会う予定だ」


 貴族と官僚達はざわつき始めた。一方で蚊帳の外にある皐月はこれから巻き込まれた自身が、どうなるか心配していた。

 

(どうしてこんなことに……)(勇者じゃない私はこれからどうなるんだろう……)


「この場にいる皆に命じる、この世界に災いが起こる事は他言無用だ」「この事を話せば民が混乱する」「良いな」 


 エリウス王の言葉に官僚と貴族は静かになり全員が黙ったまま陛下の方を見た。その一方で急な事に混乱している皐月であった。

 

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