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第15話 動き出す物語

「なるほど、湖の光は妖精の世界と現世が繋がる事で湖が光っていたのが理由か……」


「それ以上詳しい事は言えないぞ」


「分かった、詳しくは聞かないでおこう」「それに、街が見えてきたぞ」


 俺は森を歩きながらフェリスに説明していると、森を抜けて街の城門が見えてきた。


 「光の方はどうでしたか」


 門番は城壁の上から俺に聞こえるような声でそう言った。


 「光の方は特に問題なかった」「門を開けてくれ」


 「はっ、すぐに」


 俺は大きな声で門番にそう言うと、それを聞いた門番は俺に敬礼すると、すぐに門を開けるように他の兵士に命令した。門が開き俺が門をくぐると、そこには門番がいた。門番は俺に近寄ると、後ろに居たフェリスが気になったようで、フェリスに目をやった。


 「その方は?」


 「すまんが詳しく話せない」


 「失礼しました」


 そう言って敬礼する門番の横を俺は通り過ぎ、フェリスとともに領主館へ向かった。そして俺とフェリスが領主館に着き、俺が領主館の入口の扉を開けると、そこには丁度セラがいた。セラはなにやら兵士に指示を出しているようすだったが、セラは俺に気づくと俺の方に近づいてきた。


 「それで謎の「光の方はどうでしたか」「あ……あなたは」

 

 セラはシンの後ろにいるフェリスを見てとても驚いた様子だった。


 「お久しぶりです」「覚えておりますか?」「私がまだ小さかった頃森で迷子になった時、あなたに助けてもらった時のことを」


 フェリスはセラのその言葉に、セラの顔をじっと見つめた。


 「あ……」「お主、あの時の泣き虫の子供か」

 

 「はい……」「そうです……」


 セラはシンがいるためか顔を赤くしながら物凄く恥ずかしそうにそう言った。

 

 「あの時の子供が随分と大きくなったな」


 「おかげさまで……」


 セラはそう言って恥ずかしそうにしながら、咳払いをした。


 「話がそれましたね」「それで、光の方はどうでしたか」


 「あの光は彼女が起こした魔法によるものでした」「それと、彼女に話があるので部屋を用意してもらえますか」


 俺はセラにそう話すと、セラは何かを察した様子だった。


 「わかりました」「そう処理しましょう」


 どうやらセラには俺が何か隠している事がバレている様子だった。セラはそれ以上何も聞かずにフェリスの泊まる部屋へと案内した。その間もセラはフェリスが抱えている赤子については何も聞かなかった。そして俺はフェリスが部屋に入るのを見届けると、その後一人でアナスタシア様の部屋におもむくと、事の顛末をアナスタシア様にすべて話した。


「なるほど、そのようなことが……」「確かにお父様に報告しないほうが良いですね」


「はい」「ですが念の為学園都市の学園長には報告した方が良いでしょう」「あの方なら話しても問題ないでしょうから、私が部屋へ戻ったら彼女に手紙を出しましょう」


「ではそのようにお願いします」「それで、フェリスさんを鳥車に乗せたいということでしたね」「ですが問題はエルザですね」


 アナスタシア様は少し嫌そうな顔をした。それもそのはず悪意はなくても監視されているのは、良い気分ではない。


(姫様にエルザのことを伝えるのは失敗だったかな)

 

 エルザがアナスタシア様を監視して、陛下に報告していることを、俺は本人に伝えてしまいその事を少しだけ後悔した。


 「シン、エルザには私が説明しますので、その間席を外して下さい」


 俺はアナスタシア様に言われた通り、部屋を後にした。そして、俺はフェリスの事が気になりフェリスがいる部屋へ向かった。

 

 「シンだ、入るぞ」

 

 俺が部屋をノックして入ろうとすると、部屋の中から赤子の泣き声がした。俺が部屋に入ると、フェリスに抱きかかえられた赤子が泣いていた。


 「どうしたんだ?」


 俺はなぜ赤子が泣いているのか不思議に思いフェリスに聞いた。


 「赤子が泣き止まなくて」


 慌てているフェリスに、俺は冷静に答えた。


 「ミルクの時間だと思うよ」「その子、生後何ヶ月?」


 「確か……」「生後一ヶ月と聞いていたぞ」


 俺はアイテムボックスから哺乳瓶、粉ミルク、お湯を取り出し、ミルクを作り始めた。俺がミルクを作る横で、フェリスは俺の作業を見ていた。


 「生後一ヶ月の赤子は、ミルクを2~3時間おきにあげるのが目安だから」「ミルクの量はこの線からこの線の間」

 

 俺はミルクを作りながら哺乳瓶のめもりを指さし、フェリスに説明した。


 「ミルクの温度は人肌くらいが目安だから」「それと、個人差があるからミルクは赤子の様子を見ながら与えてくれよ」


 俺はフェリスに説明しながらミルクを作った。


 「ミルクを与えるから赤子をこちらに……」


 「うむ」


 フェリスは俺の手慣れている行動に驚きながら、俺にすんなり赤子を渡した。俺は渡された赤子を抱き上げると、ミルクを与え始めた。


 「お主、随分と手慣れておるな」


 「まあな、親戚の人にいろいろと教えてもらい赤子の面倒を見たりしていたからな」


 俺は赤子にミルクを与えながら、そんな会話をフェリスとかわした。俺はその後フェリスに赤子について様々な説明をした。


 「俺が知っているのはざっとこんなもんだな」


 「覚えることが多いな……」


 フェリスは覚える事の多さに少し困っていた、俺はその様子をやれやれと見ていた。俺は知っていることをフェリスに説明し終えると、部屋に戻ろうとした。


 「それじゃ俺はそろそろ部屋に戻るから」


 「すまぬな、助かった」


 「いいって」「困った時はお互い様」

 

 そう言って部屋から出ると、俺はセラが用意した自分の部屋に戻った。


 「さてと、報告書と学園長への手紙を書くか……」


 俺は椅子に座り、机に向かいながらそう独り言を呟いた。


(先に学園長へ送った手紙はどうなったかな)(そろそろついた頃だと思うけど)


 俺は暗い窓の外を見ながらそう思った。この時、様々な事が動き出していた。




 一方で学園都市の学園長の部屋では、シンが放った鳥ゴーレムが学園長の部屋に到着した。


 「なんじゃ」


 学園長は窓の外に止まる鳥ゴーレムに気づき、鳥ゴーレムから手紙を受け取った。そして、部屋の椅子に座ると手紙の封を開けて手紙の中身を見た。学園長はその手紙の内容にふっと笑った。


 「あやつがのう」「これは面白くなりそうじゃな」「それにしてもラタトス王国では勇者が召喚されたと聞くし、話題にことかかんな」「それにもうじきか……」「今度は……」




 もう一方で、ベルファルス帝国皇城、アルフォンスの書斎では、アルフォンスは報告を聞いている最中だった。アルフォンスは報告の内容に耳を疑った。


 「なに……」「その話は本当か……」


 「はい、間違いありません」「2週間前にラタトス王国で勇者が召喚されたとのことです」


 「勇者が……」「そうか、伝承が正しければ……」


 


 そう、物語はすでに動き出していた。


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