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第14話 調査と出会い

「アナスタシア様申し訳ありません」「森に行っても良いでしょうか……」


 俺は申し訳無さそうにアナスタシア様に言うと、アナスタシア様はそれを察したようで、真面目な顔で俺に言った。


「シン、あなたに命じます」「森で何があったのか、調べてきて下さい」


 俺はアナスタシア様のその言葉に、跪いて応えた。


「はっ」「了解しました」


 俺はそう言って部屋を後にして、セラに森を調べに行く旨を伝える為にセラのもとに行った。すると、セラは忙しそうに指示を出していた。


「セラ様」


「何でしょうシン殿」


「アナスタシア様より、森で何があったのか調べるようにと、仰せつかっております」「ですので屋敷と街の防備を固めて頂きたい」


 セラは俺のその言葉に少し驚きながら返した。


「まさか、あなた一人で、ですか」「それはいくら何ても危険では」


「問題ありません」「こう見えてもAランク冒険者ですから」


 俺はにこやかに応えた。

 

「そうですか……」「では、屋敷と街の防備は任せて下さい」


 セラは少し心配そうな様子でシンを見ていた。


 俺は領主館から出ると、素早いスピードで街を走り、街の門の所まで来ると、門番に門を開けるように頼んだ。


「森を調べるので門を開けて下さい」


「誰だ君は」


 門番がそう言うと、俺は懐から手のひらサイズのメダルを取り出し門番に見せた。


「私は現在領主館で滞在している」「アナスタシア様殿下の執事です」「森を確認して来るようにと任されております」


 門番は驚いて敬礼しながら言った。


「これは、大変失礼しました」「すぐに門を開門させます」


 門番はそう言ってどこかに行ってしまった。すると、すぐに門が大きな音を立てて開き俺は門をくぐった。

 

「火魔法 トーチ」


 俺は立ち止まり、火魔法で拳サイズの火の玉を出すと、その火の玉を明かりを頼りに緑色の光が出る森の中に入っていった。


(静かすぎるな)


 俺は森のあまりの静かさを不気味に思いつつも緑色の光の方に進んだ。その間、魔物と一匹も合うことはなかった。しばらく進み森から抜けると、湖でた。どうやら緑色の光の正体はこの湖のようで、湖全体から緑色の光がでていた。俺は湖に近寄ると湖のほとりに布に包まれた赤子がいた。


「捨て子か?」「耳が尖っているな、エルフか?」

 

 俺は赤子を鑑定すると、そのステータスに驚いた。


 

性別:女

年齢:0歳

種族:ハイエルフ(妖精種)

ユニークスキル:魔法の極意EX Lv2 耐性の極意EX Lv2

スキル

鑑定LvMax

アイテムボックスLvMax

テイムLvMax

真偽眼LvMax 

精霊視LvMax

精霊対話LvMax 

精霊魔法LvMax

ギフト

精霊の神ルナリアの加護




「なんだ……」「このステータスは……」


 俺はこの子のあまりの異常なステータスにとても驚いた。

 

「ヤバすぎるだろ、このステータス」「0歳と言うことは、このスキルは全部、先天的のスキルか……」「それにしても、赤子でEX持ちとかヤバすぎるだろ、暴れられたら一溜りもないな」「種族にしてもそうだ、ハイエルフは、確かエルフの上位種だろ、それに妖精種とはなんだ?」「驚く事がたくさんあるな……」「もっとも一番ヤバいのは、ギフト持ちと言う事か……」


 ギフトとは神から与えられるもの、その加護の力は特定の魔法スキルに補正が掛かり、神から神託を授かる事ができるため一部の人々から神の使徒とも呼ばれる存在。そう、大きな権力争いの元になる存在でもある。


「とりあえず」「ここに放置する訳にもいかないし、つれて帰るか……」


 俺はエルフの子を抱きかかえると、突然背後の森から銀色の毛並みを持つ大きい狼が出できた。


「何だこいつは……」


 俺はすかさず鑑定をした。


 

 シルバーフェンリル(フェリス)

 性別:メス

 種族:フェンリル

 

 

「ネームド持ちか……」(それにしてもランク測定不可の魔物が出るとか予想外だろ)


 ランク測定不可とは、冒険者ギルドが付けた魔物の格付けの中で強すぎて測定する事が出来ない、Sランク以上の魔物の事を指す。ちなみにフロストアイスドラゴンもランク測定不可の魔物だったりする。


 (鑑定阻害LvMax持ちか……)(名前だけしか見えないな……)(それに退路を断たれたな、なんとかこの子を抱えて逃げるしかないか……)


「グルルルル」


 シルバーフェンリルはこちらを見ながら唸っていた。


「闇魔法 ダークネススモーク」


 俺はすかさず闇魔法で黒い煙を作り出し、煙に紛れた。俺はシルバーフェンリルを迂回して森の中に紛れようと、森の方へ走って移動しようとしたが、シルバーフェンリルは強い風を起こし黒い煙を吹き飛ばした。


 (このフェンリル、風魔法スキル持ちか……)


「闇魔法 シャドウバインド」


 俺は闇魔法で地面から黒い鎖を出し、シルバーフェンリルの足止めをしょうとした。シルバーフェンリルは後ろにジャンプし回避した。


「だめか……」「アレを使うしかないのか……」


「ガゥゥーー」


 シルバーフェンリルは俺に向けて雷を一直線に放ってきた。


「あぶねー」


 俺は左に避けて回避すると、シルバーフェンリルは俺に向けて強い向かい風を出した。俺は赤子を守る様な態勢になり、風に飛ばされないよう踏ん張った。


「グォォォォォ」


 シルバーフェンリルはシンに向けて風の斬撃を飛ばした。シンは風の斬撃を避けた、しかしシンは強い向かい風で態勢を崩し背中から倒れた。


 俺が背中から倒れると、シルバーフェンリルは魔法を解除して、俺を地面に押さえつけようと、飛びかかった。俺は地面へ押さえつけられそうになったが転がって避けつつ態勢を立て直すと、シルバーフェンリルの後ろに回り、後ろから手刀で空間を切り裂くように斬撃を飛ばした。スキル空斬で作り出された斬撃はシルバーフェンリルに向けて放たれたがシルバーフェンリルはそれを難なくジャンプして避けると、俺が放った斬撃は湖に当たり大きな水しぶきが立つ。


(さっきから何だこの違和感は……)(風の斬撃も雷の攻撃も俺の足元を狙ってるし)(俺を殺したいなら一瞬で殺せる力を持っているはずなのになぜ殺さないんだ)


 シルバーフェンリルはジャンプして避けて、着地してこちらの方を見て俺に話しかけてきた。


「貴様、その赤子を返せ」

 

 俺はシルバーフェンリルが話し始めた事に少し驚いた。


「歳へた魔物は知性を宿す」「とは、聞いていたが実際に会うのは初めてだな……」


 俺が呟くと、シルバーフェンリルは凄い剣幕で怒鳴ってきた。

 

「貴様、聞いておるのか」「赤子を返せ」


 俺は少し返答の困った。それもそのはず、この赤子はエルフだどう見ても種族が違う、それに見も知らない魔物に渡す訳にはいかない。

 

「返せと、言われても……」「この赤子はどう見てもエルフだ、お前の赤子ではないだろ」


 俺はシルバーフェンリルに聞こえるように大きな声で話した。


「その赤子は我が育てるようにと、託された赤子だ」


「俺はその話を信用出来ない」「それにその話が本当だったとしても、この赤子は人類として生まれた、それなら人の世で育てて常識を学ばせるのが道理だ」「この子が大きくなった時、何も知らないで人の世に出るのは危険すぎる」


 シルバーフェンリルは俺の問に少し考え込んだ。


「貴様が言うように、我もそなた達、人類が信用できない」「人類は強い力を持つ者をすぐ利用しようとする」

 

「なら利用されなにくい所で育てればいい」「今俺は学園都市に向かっている」「そこなら国の手も届きにくいし、その学園都市はエルフの学園長が治めている」「そこならば比較的安全だ、悪い話ではないだろう」


 シルバーフェンリルは俺の言葉に少しの間、無言になり何か考えている様子だった。

 

「では我をそこへ案内しろ」


 俺はシルバーフェンリルのその言葉が少し以外だった。


「わかった案内しよう」「だかその姿では目立つのだが……」


 俺はシルバーフェンリルの大きい狼の姿を見て、街中が騒ぎになるのではないかと心配して、シルバーフェンリルにそう言った。

 

「ならばこれなら問題ないだろ」


 シルバーフェンリルはそう言って、煙に包まれると、狼の耳と尻尾を持った獣人の姿になった。


「人化した姿であれば問題ないだろう」


「あ……」「ああ問題ない」(人化出来るのか、長く生きているだけはあるな……)


 俺はシルバーフェンリルの人化した姿に少し驚いた。しかし、俺は彼女に歩いて近寄ると、彼女に赤子を渡した。

 

「無事で良かった」


 彼女は赤子を抱きしめてながらそう言うと、俺は彼女がそう言いながら抱きしめる姿を見て安心した。すると、彼女は俺の方を見て言った。


「私はフェリス、すまなかったな、突然襲って」「確かに、お主の言う通りだ人の子は人の世で育てるべきだな、この子を守る事ばかり考えていて気付く事が出来なかった」


「こちらもすまなかった」「俺はシン」「知らなかった事とは言え勘違いさせてすまなかった」「俺は元々この緑色に光ってる湖を調査しに来ていた」


「なるほどこの湖を……」「湖は時期にすぐ戻る」


「そうかもとに戻るのか……」


 俺は少し安堵した。

 

「して、学園都市とやらはどこにあるのだ」


「ここから3日間かかる距離だひとまず、俺は一旦街に戻るから説明は途中で」

 

「わかった、お主に付いていこう」


 フェリスはそう言って俺の後を付いて来た。俺は空を見上げながらため息をついた。


(面倒事が増えたな)(姫様にどう説明したものか……)


 俺はそう思いながら街へ帰るのだった。そして、この出会いが俺とアナスタシア様の運命を大きく変えることになることを俺はまだ知らなかった。


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