第10話 サプライズプレゼント
ドラゴンの素材で防具を作った日の翌日の朝、俺は城の寝室で寝ていた。俺が起きようとすると、なぜか体が重かった。
「何か体が重い」
俺が隣を見ると、両隣にステラと榛名が寝ていた。
「ん……」
「マスター」
俺はそんな二人の可愛い寝顔と寝言に微笑んだ。
「仕事があるからごめんよ」
俺は腕をつかんでいる二人を払い除けて、ベッドから離れると、丁度榛名が起きた。
「マスター机の上に頼まれていた物があるよ」「あと、手紙も……」
そう言い終えると、榛名は再び眠ってしまった。俺が寝室の机の上を見ると、そこには装飾が施された箱が置いてあった。その箱の中を見ると、水色の丸い魔石がはまった腕輪の魔道具と、首飾りが入っていた。しかもその首飾りは、俺が作った防具が首飾りの状態になったものだった。首飾りの装着者は、一瞬で防具を着た状態になれる優れものだった。その他にも箱の隣に手紙が置いてあった。その手紙は、皇帝陛下への手紙、学園都市の学園長への手紙、学園の推薦状の三通だった。俺は箱と手紙をアイテムボックスにしまうと、執事服に着替えると、皇城の自室に転移した。
「帰還、皇城」
俺は皇城に着くと、そこからアナスタシア様の朝食を作り、アナスタシア様を起こしたりなど、いつも通りの朝の仕事をこなした。そしてアナスタシア様が朝食を取り終えて椅子に座っていると、俺は今日の予定に付いて話始めた。
「今日一日何をされますか?」
俺はアナスタシア様に今日一日何をするか尋ねると、アナスタシア様は少し考えた。
「午前中、刺繍をした後で、午後から剣術の稽古がしたです」
「ではそのように」
俺がそう言ってお辞儀をした。アナスタシア様はすぐに中庭のテラスに移動し、テラスに着くとテラスの椅子に腰を掛けた。
「シンとエルザも一緒に刺繍をやりましょう」
俺はアナスタシア様のいつも通りのその言葉にクスッと笑うと、俺とエルザはテラスの椅子に座り、持ってきた刺繍の道具で刺繍をやり始めた。しばらくして俺が花を編んでいると、アナスタシア様は花を編んでいる俺を不思議そうに見ていた。俺はアナスタシア様に聞いた。
「どうかされましたか?」
「なんでもありません、ただ何をしているのかなと、思って」
不思議そうに聞いて来たアナスタシア様に俺は笑顔で答えた。
「これは髪飾りに使うお花を編んでいます」
「上手ですね」
アナスタシアはシンの花を編むその上手さを褒めた。
俺はアナスタシア様に褒められ、少し嬉しくなった。
「裁縫スキルは持ってませんが、鍛冶スキルを持ってますから、ある程度の事だったらできますよ」
俺がそう答えると、アナスタシア様は興味深そうに聞いていた。
「何と言う花なのですか、ずいぶん小さいですけど?」
アナスタシアはシンが同じ小さい花を多く編んでいることを不思議に思い聞くと、シン少し答えづらそうに話した。
「これは私の故郷にある、金木犀と言う名前の木に咲く花なんです」「これは私の好きな花で」
「シンの好きな花、私もその花を見てみたいです」
「こんど庭師に種を渡すのでこのテラスの辺りに植えてもらいましょう」
俺はそう答えると、アナスタシア様は手を合わせて嬉しそうに言った。
「それはいい考えです、そうしましょう」
すると丁度お昼の鐘がなりアナスタシア様と俺達はテラスで昼食にした。昼食を取り終え、一息付くためアナスタシア様はティータイムにしていた。
「はぁ……」「明日はいよいよ学園に向けて出発ですね……」
アナスタシアは大きなため息をつき、少し嫌そうな顔をしていた。
「クラス分け試験が心配ですか」
「それもありますけど……」
アナスタシアの心の中ではエルザの言っている事も心配していたが一番は他の事を心配していた。
俺はアナスタシア様の心配事を察すると、俺はアナスタシア様を元気付けようと今朝受け取った装飾が施された箱を、こっそりと取り出した。
「姫様」「少し早いですが私からの学園の入学祝いです」
俺はそう言ってアナスタシア様に箱を差し出す。
アナスタシアは少し驚きつつも、シンから箱を受け取った。
「シンが私に……」「ありがとう」
アナスタシアは嬉しそうに言った。
「箱を開いてもいい?」
「はい」
アナスタシアは嬉しそうに箱を開いて箱の中を見た。中には腕輪と首飾りが入っており、アナスタシアは目に着いた腕輪を手に取った。
「その腕輪は姫様専用に作った、魔力回路の変わりになる魔道具です」
「私も魔法が使えるようになるの……」
「はい」
俺が笑顔で答えると、アナスタシア様は涙をこぼした。俺は泣き始めたアナスタシア様を前にあたふたしていると、エルザがアナスタシア様を抱きしめた。
「アナスタシア様良かったですね」
「うん……」「周りから魔法が使えないって言われて来たから」
涙を流しながら話すアナスタシアにシンは近づいてしゃがんだ。
「これで周りを見返せますね」
「はい……」
俺とエルザはアナスタシアを落ち着かせようとして、しばらくが経った。
「取り乱してごめんなさい」
そう言って涙を拭くとアナスタシア様の目は少し赤くなっていた。アナスタシア様はもう一つの魔道具が気になり、俺に聞いた。
「そういえばもう一つの首飾りはどういう物なのか聞いていい?」
「首飾りを付けて、装備起動、と言葉にしてみてください」
俺がそう言うと、エルザに頼んでアナスタシア様は首飾りを身につけた。
「装備起動」
アナスタシアがそう言うと、身につけていたドレスが輝くと一瞬で変身し、鎧を身につけた。鎧を身に着けたアナスタシアはいつもとは違う雰囲気を放っていた。
「良い装備ですね」「とてもよく似合ってます」
「ありがとうエルザ」「シンどうかな?」
アナスタシア様は少し恥ずかしそうにしながら、俺に聞いてきた。俺は何かが足りないと思い一瞬考えた。
「弓を持って見て下さい」
俺はそう言って、アイテムボックスから永久凍氷バリアブルフロストを取り出しアナスタシア様に渡した。
「うん、とても似合ってます」
弓を携え、鱗の模様が浮かび氷の結晶の模様が輝いてるその鎧を装備しているアナスタシア様はとても格好よかった。
「その弓は何ですか?」
俺がアナスタシア様に渡したバリアブルフロストをエルザは気になったようだ。
「昨日ダンジョンで姫様の装備の素材を集める時、手に入れた奴」
「なるほど……」
エルザはそう言って納得した。
「ねぇ」「シンこの弓使っていい?」
「構いませんが……」「所有者を武器が選ぶので姫様が使えるかどうか……」
所有者を選ぶ武器は意思を持っている場合と、意思を持っていない場合がある。武器が意思を持っている場合は、持ち上げることすらできないのだ、逆に意思を持っていない武器は、持ち上げることはできるが使うことができない。弓の場合は弦が引けないので今回は後者にあたる。
「姫様、とにかく弦を引いて見てください」
アナスタシアは言われた通りにバリアブルフロストの弦を引いた。するとアナスタシアは弦を引くことができ、バリアブルフロストの所有者となることを認められた様だった。
「さすが姫様」
「弓の所有者に選ばれるとはさすがです」
俺とエルザはそう言って拍手をすると、アナスタシア様は手に持っていたバリアブルフロストを俺に返そうと差し出した。
「良い弓ですね」「これは返しますね」
アナスタシア様そう言って俺にか返そうとした。しかし、俺は断った。
「いいえ、姫様が使ってください」「私は弓を使った事がありませんから、私が持っていても宝の持ち腐れです」
俺が断ると、アナスタシア様は一瞬考えた。
「ありがとうシン、大事使います」
アナスタシア様とても嬉しそうな笑顔で俺にそう言った。
ようやく10話目にいきました。これからもよろしくお願いします。
よろしければ、ブックマークに追加の上、「☆☆☆☆☆」で評価して続きをお読みいただけますと幸いです。




