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初現場!付き添い?いや、介護??

入社して約1ヶ月。

ひたすら毎日12トンラフターで

タイヤを吊って練習の日々。

地面に目標となるカラーコーンを数か所に置いて

それを目印に揺れを制御しながら移動させ、

カラーコーンの上空で揺れをきちんと止める。

そしてタイヤを地面に下ろしたり、

また巻き上げたり。


最初はゆっくりやってましたけど

練習の様子を見に来た社長からは

「遅い!もっと早くや!現場の仕事が終わらんぞ!」

と発破をかけられる。


でもね、この「揺れをきちんと止める」が非常に難しい。


理論上は

クレーンの竿の先端とフックと吊ってるタイヤ

これらを垂直の一本線で繋がるように制御すれば

揺れは止まります。


横揺れはいいんだ。横揺れは。

運転席からハッキリ見えるから。

「あー、横に揺れてるねー。」って。

旋回を使って制御するんですけどね。

それは約1ヶ月毎日乗ってれば段々制御できるように

なってきますよ。


でもね、問題は縦揺れなんですよ。

自分の目から見て前後に揺れてる揺れ!

これが最初非常に難しい。

私、遠近感の把握苦手だったんですかね?

一応大型免許を持ってるから

毎回運転免許更新の際には

視力検査で深視力パスしてるんですけどね。


運転席から見て横揺れ制御した後、

やっぱり揺れてるんですよ。

前後に。

これもきちんと止めなくちゃいけない。

起伏を使って。


もちろん10分ぐらい一切動かず、動かさず

じーっとしてれば揺れは勝手に止まりますよ。


でも、それ現場で言えますか??

吊人「あ。すんません。ちょっと吊荷揺れてますけど

10分くらい待ってもらったら勝手に止まりますんでー!」

現場からしたら

「いや、お前がすぐに止めろや。」

ってなりますやん?

そもそもそれができて当たり前がクレーンオペレーターですし。


さらに旋回を速めにしちゃうと吊荷に遠心力が加わって上空でタイヤがぐるぐる回転したりするんです。


ぐるぐる回転するタイヤってどうやって止めればいいんですか??

最初の頃は諦めて

1回地面に下ろしたりして物理的に揺れを止めたりしてました。


うん。何の意味もない。(笑)


想像してみてください。

あなたが吊荷の荷受け人です。

吊り上げられたあなたの大切な吊荷が

上空でくるくる回転したまま

あなたの頭上に下がってくるんです。

こんなん、恐怖でしょう?

むしろ、事故、災害の元以外なにものでもないですよね。


でも、経験を積むうちに

これら全てが制御できるようになるんです。

人間の感覚ってすげぇ。


さて。

練習の話はここまでとして。

次は私が初めて現場へ出た話。

現場へ出た。と言っても

社長の担当する現場へ付いて行ったというのが正確な話。


ここまで書いてなかったですが、

社長は80歳を越えたおじいちゃん。

若い頃はクレーンの腕前はかなりのものだったらしいのですが

加齢に伴い感覚も鈍りつつもなんとか現役でやってるようなもの。


80歳を越えてまだ働かなければならない国

日本。

なんだか闇の深さを痛感します。


お客さんは昔からお付き合いのある園芸屋さんで

県からのお仕事で大きな川の河川敷に生えた

雑草の草刈り、撤去、搬出でした。


刈り取った草を「モッコ」という風呂敷みたいな布の上に集めてクレーンで吊り上げて

「パッカー車」(ゴミ収集車)にあつめて搬出


簡単に書けばこんな感じ。


現場でクレーンを据える際には

クレーンの足と言われるアウトリガーの下に養生材を敷く必要があります。


一番良いのは鉄板。

他には樹脂で作られた専用の養生材。

あとは角材で作られた盤木ばんぎと呼ばれる木材のブロック。


私は社長の指示された通り養生材をアウトリガーの下に設置します。

ふと気付いた私。

社長、おじいちゃんすぎて肩が上がらなくて

養生材持ててない。(結構重いです)


その瞬間に「なるほど。」と。

私を連れてきた理由が判明しました。


あ、これ、一種の介護や。と。


クレーン設置後はさすがの社長の独壇場でしたが

(片付けでまたこき使われる)


途中見てるだけの私に園芸屋さんが

「手が空いてるんやったら手伝え!!」

と言われなぜか草刈り要員に。


あれー??

これ、クレーンオペの仕事かなぁー??

と疑問を抱きながら

その日一日は無事に終了しました。

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