【第17話】 『動機』
『timers』がここまでして、昴流と奈美をくっつけたいのか。。謎は深まるばかりだ。
彼ら2人には、一体何があるのだろうか。。
━━━2023年JL西海道線電車内
「マズイ、このままでは全員お陀仏だ。」
昴流は深刻な表情を浮かべ、そう呟いた。
「ハッハッハ...。面白いな、君たち。」
そう笑っていたのは、先程いち早くドアを開けようとした乗客だった。
本当にアニメの悪役かのような笑い声だった。
「何がです?」
昴流は、真剣に挑んでいるのがバカにされたような気がして、少しイライラしながら、そう聞いた。
「いやー、もう助からないというのに、いつまでそんな事をやっているんだい?」
その男はニヤニヤしていた。
「まだそんな事分からないだろ。
デタラメばっかり言ってんじゃねぇよ。あと何がそんなにおかしいんだ。」
昴流は激怒していた。
そう怒っていてもその男は表情を一切変えず、ずっと笑っている。
「それがね、もう分かってるんだよ。」
「は?」
「まだ気づかないのかい?僕がその装置を仕掛けた犯人なんだよ。」
その男は、真っ黒の半袖に、クリーム色の半ズボンを履いた、髭を生やしたどこにでも居そうなおじさんだった。
「!?」
昴流は、怒った表情から一変、目を大きく丸め、口は少し開いたまま、固まってしまった。
その表情は、中々昴流が見せないほど、驚いていた。
「俺は、もう自殺しようと思ってるんだ。」
笑っていた男だったが、車内の天井を見上げ、何かを決心したかのような顔をしていた。
「だからってなんで一般の人達を巻き込むような事をを。。」
車内に不穏な空気が漂う。
男が今から言うことに、固唾を飲んで見守る人、見てられないとでも思ったのか顔を覆い隠す人、死を覚悟して表情を一切変えないでボーッとしている人。
いずれにしよ、やばい事態には変わりはなかった。
「俺は元JL社員なんだ。
んで、今慌てて運転しているのが、元俺の上司でね。
とにかくそいつが嫌いで仕方がなかった。今の時代に平気で人を殴るし、社内の打ち上げにも自分だけ省かれたこともあった。確かにお前の言う通り、一般の人を巻き込む事に抵抗はあった。でもこれしか俺に手段は残っていなかった。」
「話は分かりました。ですが、あなたのやった事はただでは済みません。あと、何故この第4車両なんでしょう。」
昴流は、冷静になり、男に聞いた。
「あぁ。特に理由はない。だけど、『4』って、『死』を意味するってよく言うから、死の車両にしたかっただけだよ。」
男はまだ深刻そうな顔をしていた。
話している時からずっと、、、
この時の、装置のタイマーは、残り3分を切っていた。
「何とかして止める方法はないのですか。」
「そうだな、止めるボタンは窓を閉鎖する前に捨てちまったしな。あ、でも唯一止める方法がある。」
「何ですか。時間がありません。早くしてください。」
「それは、俺の唯一の救いであった妻と交わした唯一の楽しみ... そう、『キス』だ。」
「!?」
昴流はとても驚いていた。




