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第72話

おまたせしました〜






「ルイスおかえりー、探したよ」


ルイスとソフィアが振り向くと水色の髪をした細身の美丈夫な男性が立っていた。その男性はニコニコ笑いながら二人に近づいてくると突然ルイスに抱きついてきた。


「ルイスに会いたかったからやっぱり来ちゃった」


「クラウディオ抱きつくな、離れろ」


ルイスは無理やり後ろ襟を掴み引っ剥がした。


「ちぇっ、久しぶりにあったのに冷たいなルイスは」


「今年は恋人にグラシア領地を案内するから、お前の相手をすることが出来ないから来るなと手紙を出しただろう。読まなかったのか?」


クラウディオは子供の様に拗ねた顔をするが、ルイスはかまうことなくクラウディオに説教をし始めた。


「読んだよ。でもさ、ルイスとは1年に一度しか会えないじゃん、それにあのルイスが恋人を連れて帰って来るだなんて知ったらさ、どうしても会いたくなっちゃって〜というわけて来ちゃった!」


「お前というやつは…いつもいつも人の話を聞かないで」


「まあまあ、怒らないのー、ルイスはいつも怒ってばかりなんだから。それより恋人ちゃん連れてきてるんでしょ、紹介してよ〜」


ルイスは心の中で自由過ぎるクラウディオに苛つくが、来たからにはしかたがないとソフィアにクラウディオを紹介した。


「ソフィア、これがさっき馬車で言ってた幼馴染みのクラウディオ。隣の領地、バスケス伯爵の長子クラウディオ・バスケスだ」


「初めましてクラウディオ様、ルイスさんとお付き合いさせて頂いていますソフィアと申します」


「初めまして〜クラウディオでーす。へぇ~ソフィアちゃんて言うんだぁ、ねぇねぇソフィアちゃんて平民?」


「ええ、そうですが」


「ソフィアちゃんて平民にしては綺麗だよね〜貴族でもなかなかいない位美しいよ。ねぇソフィアちゃんルイスなんかとじゃなくて俺と付き合わない?俺が案内してあげるよ、何でも買ってあげるし、俺といたほうが楽しいよ〜」


そう言いながらクラウディオがソフィアの手を取ろうとするがルイスが一歩手前でクラウディオの手首を掴み捻り上げた。


「いててててっ」


「いい加減にしろクラウディオ!俺のソフィアになにを言うんだ」


「え〜本当のことじゃん、強面で筋骨隆々なルイスなんかより美丈夫な俺の方が良いに決まってるし〜」


クラウディオの言葉にソフィアは言い返そうとするが、ルイスがそれを止める。


「黙れクラウディオ!幼馴染みといえ許すことは出来ない、しばらくお前の顔を見たくない、さっさと領地へ帰れ」


「あっ…」


「行こうソフィア」


ルイスはソフィアの肩を抱き寄せるとクラウディオを無視して歩き出した。ルイスは怒りのあまり黙って歩き、ソフィアの肩に乗せた手は強張っている。


「…ルイスさん」


ソフィアの呼ぶ声でルイスは我に返る。ルイスは、ソフィアと楽しく観光していた時間を自分と幼馴染みのせいで台無しにしてしまったことを後悔し反省した。


「ソフィア、嫌な思いをさせてしまいすまなかった。せっかくソフィアと楽しく過ごしていたのに邪魔が入った。クラウディオには来るなと手紙を出したのだが無駄だった様だ」


「少し驚きましたが、ルイスさんが言って下さったので大丈夫です」


「元々明るい人間なんだが、今日はやけにチャラい感じだったな…。まあ、しばらくあいつは出禁にしよう」


「私は気にしませんよ」


「俺が嫌だ。あれだけ言えば明日は会うことはないだろう」


「ふふ」


「そろそろ風が冷たくなってきたから帰ろうか。残りの買い物は明日にしよう」


「はい」


二人は馬車に乗り屋敷に戻った。

ソフィアは部屋へ戻り着替えたあと、ルイスに夕食前のお茶に誘われたのでルイスの部屋へと向かった。


「ルイスさん」


「あぁ、ソフィア。待っていたよ」


ソフィアが扉をノックするとルイスが出迎えて部屋の中へと通される。

茶系で統一された部屋は、ルイスの香りがほのかに香り、ソフィアの胸がドキッと高鳴った。


(ここがルイスさんのお部屋…レイお兄様のお部屋と違って落ち着いた雰囲気だわ。

レイお兄様を除けば男性のお部屋に入ったのは初めてよね…何だか胸がドキドキするわ)


ルイスに手を引かれながらソフィアは部屋の中を見渡していると。


「ソフィア、目を瞑って」


「は、はい」


ルイスに言われるがままソフィアは目を瞑る。

瞼が閉じられているのを確認したルイスはソフィアが歩きやすいように、そっと腰を抱き寄せバルコニーへ続く扉を開けた。


「今日は天気が良くて良かった、雲一つない。

ソフィア、これが君に見せたかった最後の景色だ。目を開けて見て欲しい」


ソフィアはルイスに言われ目を開けると、そこには空と海と街が海へと沈みゆく夕陽に照らされ、見るもの全てが赤く光り輝いている景色だった。


「わぁ!!凄く綺麗…こんなにも大きくて綺麗な夕陽は生まれて初めて見ました」


「小さい頃からこの夕陽を見るのが大好きだったんだ。いつかソフィアにも見せたいと思っていたんだ」


「ルイスさんの大切な思い出の場所を一緒に見れて嬉しいです」


ルイスが先程とは違い、優しくソフィアの肩を抱き寄せると、ソフィアはルイスにもたれかかるように体を寄せた。


ソフィアはルイスの腕の中でうっとりと夕陽を眺めている。 


「ルイスさん、また来年も一緒に見たいです」


「ああ、俺もだ」


ルイスはソフィアに向き直ると、ポケットから昼間に購入したネックレスの入った箱を渡す。


「ソフィア、誕生日おめでとう」


「ありがとうございます、嬉しいです」


ソフィアは受け取ると箱を開けてネックレスを取り出した。


「素敵なネックレス。ルイスさん、今着けてみても良いですか?」


「ああ、俺が着けよう」


ルイスがネックレスを後ろから着けてあげるとソフィアは幸せそうにそっとネックレスを指でなぞる。


「良く似合ってる」


「ルイスさん、ありがとうございます」


「ソフィアに喜んでもらえて良かった」


「ルイスさん、あの…これ、誕生日プレゼントです。遅くなってすみません、なかなか渡すタイミングがみつからなくて」


ソフィアはポケットから箱を取り出し、申し訳無さそうにルイスに渡した。


「ありがとう、開けてもいいか?」


「はい、気に入って頂けたら良いんですけど…」


ルイスはソフィアから箱を受け取ると、リボンを解き嬉しそうに開けはじめた。

蓋を開けるとそこには銀色の懐中時計が入っていた。


「懐中時計!ありがとうソフィア、大切に使うよ」


「すみません、本当はもっと早く渡す予定だったんですけど」


「俺の誕生日の時はいろいろあって会えなかったからな、ソフィアから誕生日プレゼントを貰えるなら何時貰えても嬉しく思う」


「やっと渡せて良かったです。

あの時はルイスさんが竜騎士になられて、団長としてのお仕事と竜騎士の訓練とで本当にお忙しいかったから、身体を壊さないか心配でした」


「心配してくれてありがとう。帰ったら忙しく無い事を祈るよ」


「ふふっ、そうですね」


ルイスは帰ったら絶対忙しいとわかってても祈らずにはいられなかったのだった。












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