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第70話





侍女達に見送られ、二人きりになった廊下でソフィアとルイスは向かい合う。


「ルイスさん、沢山の贈り物ありがとうございました。とても嬉しかったです」


「良く似合っている、喜んでもらえて良かった。

…俺はだめだな、綺麗なソフィアを前にして、もっと気の利いた言葉があるだろうに上手く言葉が出てこない」


「いいえ、ルイスさん。私はルイスさんのその言葉だけで十分嬉しいです」


「そうか、ありがとう。そう言ってもらえて俺も嬉しいよ、本当に似合ってる綺麗だ。もう少し二人きりで話していたいが、叔父夫婦が待っているからそろそろ行こうか」


「はい」


ソフィアはルイスの腕に手を回し、二人は廊下を歩き出す。


ルイスは隣で歩くソフィアのドレスを見て感無量だった。


ルイスはこのドレスを贈るためにルナ・ルースの元へと行き、相談しながらドレスを作ったのだ。

ソフィアにオーダーメイドのドレスを初めて贈るなら、最高の物を贈りたいと思った。色はソフィアが好きな色を選んだのだが、ドレスの形を決めるのをルナ・ルースだけに任せることはしたくないとルイスは一緒に考えることにした。

だがルイスがルナ・ルースへ出した最初の案は全身布で覆われたドレスだった為、まるで修道女の様だとルナ・ルースにめちゃくちゃ叱られた。

その後も大量のデザイン画から選んでいくのだが…。


「ちょっとルイス!貴方の選ぶドレスはどれも地味なのよぉ」


「しかし…」


「肌が出るのが嫌なんだろうけど、これじゃソフィアちゃんの良さが出ないじゃないのぉ」


「うっ…」


「まったくもう!今どき妻や恋人が慎ましく控えめが良いなんて古いのよぉ!愛する女性を他の異性に見られたくないなんていう束縛系男子、女性に嫌われて振られるのがオチよぉ」


「まさか…俺もそうなのか?」


「そうならないように気をつけなさい!」


「わかった、努力する」


「似合う洋服はその人を引き立たせる最高の武器よぉ!それにルイスもソフィアちゃんが綺麗なドレスを着て笑顔でいてくれたほうが良いでしょ〜!」


「そうだな、そう言ってくれ目が覚めたよ。教えてくれてありがとうゴンサロ。助かったよ」


「いや〜ん、惚れちゃった?私ってば罪な女ねぇ〜」


「いや…それはないかと…」



紆余曲折、なんとか作るドレスが決まり、ルイスは一ヶ月後ルナ・ルースに出来上がったドレスを見せてもらった。それはソフィアの美しさを際立たせるとても素晴らしい物だった。


(うん、喜んで貰えて良かった。良く似合ってる。ルナ・ルースに頼んで良かった、さすが王都一の店をやってるだけはあるな)


隣に歩くソフィアを見ていたルイスと、急にルイスに顔を向けたソフィアとの目が合った。


「ルイスさん、どうかしたんですか?」


「あっ、いや来年の建国際のソフィアのドレスを早く頼みにゴンサ…ルナ・ルースの所へ行こうと思ってな」


「まあ!でもまだずいぶん先の話ですよね」


「ルナ・ルースは人気者だから早く予約しないと作れなくなるからな、早い者は1年前から予約して作る貴族がいるそうだ」


「そんなに早くから…。でもわかる気がします、ルナ・ルースさんのドレスが着たい女性は多いと思います。だって今年のドレスとても素敵でしたもの」


「ソフィアが着たらどんなドレスでも綺麗だと思うが、俺はソフィアを誰よりも綺麗にしたいんだ。だから帰ったら一緒にお店へ行こう」


「はい、ルイスさん。よろしくお願いします。ルナ・ルースさんに会うのは久しぶりなので楽しみです。私、お土産買って行きたいです」


「そうだな、ソフィアに貰ったらルナ・ルースも喜ぶだろう」



そんな話をしているうちにダイニングに着いた二人は、先に来ていた叔父夫婦に挨拶をして、案内された席に座った。


「ルイスとソフィア様が来たことだし、晩餐を始めよう」


マルセロのかけ声で給仕達がワインを各自に注ぎだす。4人はワインの入ったグラスを持ち、マルセロが乾杯の音頭を取る。


「ルイスの帰省とソフィア様の歓迎を祝して乾杯!」


「「「乾杯」」」


晩餐が始まり、料理が運ばれて来る。ルイスの隣ではソフィアがお酒を口にしていた。ルイスはソフィアが飲んでる姿を見たことがなかったので心配になり、お酒を飲んでも平気なのか聞いてみることにした。


「ソフィアはお酒を飲んでも大丈夫なのか?ロベルトの優勝祝賀パーティーの時はジュースだったが」


「大丈夫です。私、いくら飲んでもほとんど酔わなくて、周りからはなんかもったいないから飲むなって言われてるんです。ロベルトさんの時はレティシアだけが飲めないのが可愛そうだったので飲まなかったんです」


「凄いな」


「父も母も酒豪なので私も似てしまったんだと思います」


二人の会話を聞いていた叔父夫婦が会話に入って来た。


「アルセニオ様もヴァレンティナ様もお酒がお好きでしたものね」


「そうそう、私は飲みくらべして負けたんだ」


「えっ?叔父上と叔母上は英雄様達に合ったことがあるんですか?」


「十五年位前かな?街へお忍びで妻と買い物をしてる時、買い物客が多くてはぐれてしまったんだ」


「一人路頭に迷ってる時、酔っぱらった観光客に絡まれてしまって、そんな私を英雄様お二人が助けて下さったの。お礼がしたいと言ったら、お昼ご飯が食べられる美味しいお店を紹介してくれっておっしゃられて、自分達が行く予定のレストランにお連れしたのが始まりよ。それでね一緒に昼食を取っていたら、アルセニオ様が時々作る魚料理をここの新鮮な魚で作ったら更に美味しくなるだろうなって話になったの」


「この辺りの魚料理は焼く位だったからアルセニオ様の料理が気になってしかたなくて、つい私が食べてみたいと口に出してしまったんだ。アルセニオ様は私の願いを聞いてくださり、オーナーもアルセニオ様料理が食べられるのは光栄と言って厨房と材料を提供してくれたんだ」


「アルセニオ様が作られた料理はとても美味しかったわ。そうしたらオーナーがレストランの看板メニューにしたいと言い出して、そんなに気に入ってくれたならばとアルセニオ様は笑顔で了解して下さったの」


「そんな事があったなんて知りませんでした」

ソフィアは、自分とレティシアを王城に預けてるのに両親は旅先で何やってるんだかと少し呆れていた。


「その日はアルセニオ様とヴァレンティナ様に我が家に滞在して頂いて、その時、ご息女お二人がお城に預けている事をお聞きしたのよ。だからお城の庭でソフィア様をお見かけした時直ぐに分かったの、だってソフィア様はヴァレンティナ様にそっくりで綺麗な同じピンクゴールドの髪なんですもの」


「そうだったのですね。その節は私の両親がお世話になりありがとうございました」


「こちらこそ、英雄様にお会い出来たことは私達夫婦の大切な思い出だよ」


「そう言って頂いて両親も喜ぶと思います」


「また近くに来られることがあれば、また寄っていただけたら嬉しいと伝えてもらえるかい?」


「はい、近々王都へ帰って来るので伝えておきます」


その後も楽しく会話しながら晩餐の時間は過ぎていった。食後のお茶を飲み、そろそろお開きになるかなと思っているとマルセロがソフィアに声をかけた。


「ソフィア様、我が家には温泉を掛け流しで入れる露天風呂があるんです。良かったらゆっくり温泉に浸かって旅の疲れを癒して下さい」


「露天風呂ですか?私、初めて入ります。ありがとうございます、是非入らせて頂きます」


「疲れているでしょうから、そろそろお開きといたしましょう。ソフィア様、ゆっくりとおやすみ下さい、ルイスもな」


「「はい」」



晩餐を終えて二人はお互いの部屋へと戻った。ソフィアはマルセロに薦められた露天風呂がとても気になっていたので、早速侍女に案内してもらった。


広い脱衣所にソフィアは少し戸惑いながら服を脱いでいく。ドキドキしながら露天風呂へと続く扉を開けると、大きな岩を並べて作った大きな風呂が目に入った。岩風呂の脇には岩を積み上げて出来た岩の塊の上部から温泉が滝になって風呂へと流れ落ちている。ソフィアは初めて見る光景に驚きが隠せない。


「なんか凄い規模のお風呂ね、初めて見るし初めて入るわ…」


温泉にそっと足を入れ、ゆっくりと浸かりホッと息をつくと湯船の中で両腕を上に上げて背筋を伸ばした。


「う〜ん気持ちいい、良いお湯だわ。はぁ〜旅は楽しいけど馬車に揺られてちょっと疲れたかも…」


たっぷりのお湯に浸かり、疲れを癒していたソフィアはいつの間にか自分の肌がすべすべになっていたことに気が付き、おもわず腕を撫でていた。


「凄いわ、肌がすべすべでしっとりする。レティシアがいたら喜ぶでしょうね、あの子お風呂大好きだから」


お姉ちゃんだけずるいなんて言われそう、とレティシアの膨れた顔を想像して思わずソフィアはクスッと笑った。


ソフィアは温泉を堪能したので部屋へ帰ろうと廊下を歩いていると、目の前にルイスが歩いていたので声をかける。


「ルイスさん。ルイスさんも今温泉からの帰りですか?」


「ああ、今出たところだ、ソフィアもか?」


「ええ、いいお湯でした。お肌がすべすべになって気持ち良かったです」


ソフィアの湯上がりの桃色に染まった肌におくれ毛がやけに色っぽくて、ルイスは一瞬ソフィアの温泉に入る姿を想像して慌てて消し去った。ルイスはドキドキと鼓動が早くなるのを感じていた。


「そ…そうか、気に入ってくれて良かった」


「あら?ルイスさん、まだ髪の毛が濡れているわ、少し頭を下げてもらってもいいですか?」


「ああ」


ルイスがソフィアの方へ頭を下げると、ソフィアは一言呟いて魔法を発動させた。


「ホットドライ」


温かな風がルイスを包むとあっという間にルイスの髪の毛は乾いてしまった。


「ありがとう、火と風の混合魔法か…。器用に魔法を使うなソフィアは」


「どういたしまして、我が家は父以外みんな髪が長いから、早く乾かしたくて練習したんです。……ックシュン」


「これはいけない、風邪を引いたら大変だ。急いで部屋へ戻ろう」


ルイスはソフィアの手を引いて慌てて部屋へ戻った。ルイスは部屋の前に着くなりソフィアを抱きしめながら


「夜は冷えるから暖かくして寝るように、おやすみソフィア」


そう言ってソフィアの額にキスをし、ルイスは部屋へと帰ってしまった。


「もう、ルイスさんたらお母さんみたい。今日は昨日のリベンジしようと思ってたのに、リベンジしそこねちゃったわ」


恥ずかしがっていたら前に進めない、明日こそはリベンジするわ

と気合を入れてソフィアはベッドへと入っていった。








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