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第67話

歩き始めて一時間ほど過ぎ、二人は湖の畔から逸れて坂を登って行く。丘にたどり着くと、二人の目の前には辺り一面に草花が咲き乱れ、風に揺れていた。二人は草花の間を歩き丘の頂に立つと、その先には畑が眼下に広がり遠くに小さく街が見える。


「ソフィア、これも君に見せたかった景色の1つなんだ」


ルイスはそう言いながらソフィアの腰を抱き寄せると、ソフィアはルイスの逞しい肩に頭を傾ける。


「凄いです、まるで絵画のようですね」


「今度は夏頃に来よう。夏もここから見る景色がとても凄くて、あそこの畑一面が麦の穂で黄金色に染まるんだ」


「見てみたいです!ルイスさんまた連れてきて下さいね」


「ああ、約束するよ」


「はい、約束です」


二人は見つめ合いながら小指と小指を絡ませ指切りをした。



ルイスは遠くに見える街を指さす。


「ソフィア、あそこに見えるのが俺が生まれ育った街、これから行くクラロの街だ」


「あれがルイスさんの生まれ育った街なんですね」


「そしてその先に…ほら、ソフィア見える?」


「あっあのキラキラ光っているのは、あれは海?」


「海だよ。明日は海岸を散歩して、約束していた漁港の朝市も行こう」


「はい!楽しみです」


ソフィアは物心ついた時から王都に住んでいたので海を間近で見ることが初めてだった為、明日ルイスと海へ行けることが楽しみでならなかった。



「ソフィア、昼食を食べに行こうか。そろそろ馬車へ戻ろう」


「あの、ルイスさん、良かったらここでお昼ご飯食べませんか?私、もう少しこの景色を見ていたいです」


「かまわないが、ならお昼ご飯を取りに一旦馬車へ行かないと」


「大丈夫です。私、旅行中ルイスさんと食べようと思って、旅に出る前にいくつか軽食を作ってきていてインベントリに入れてあるんです」


「そうか!ソフィアの料理を食べるのが久しぶりだから嬉しいよ」


ソフィアがインベントリの中からピクニックシートを取り出し二人で敷くと、ピクニックバスケットと水筒を取り出し向かい合わせで座った。


「はい、どうぞ、ルイスさん」


「ありがとう、いただきます」


ソフィアから受け取ったサンドイッチをルイスは一口齧り付く。


「美味いっ。ソフィアの作る料理はいつも美味しいな」


「ふふ、ありがとうございます」


「このサンドイッチの中身は何だろうか?」


「今ルイスさんが召し上がったのはビッグドードーの照り焼きとレタスとマヨネーズです。

あと厚焼き玉子と辛子マヨネーズのサンドイッチとブラッディービーフのローストビーフにブラウンソースとポテトサラダのサンドイッチがありますよ」


「他のも美味しそうだ」


「次はどれにします?」


「厚焼き玉子のサンドイッチを頼む」


「はい」


ルイスが厚焼き玉子のサンドイッチを一口食べる。


「これは今までの玉子のサンドイッチとは違って玉子がほんのり甘くて辛子マヨネーズともあって食べたことがない美味さだ」


ルイスの美味しそうに食べる姿を見てソフィアは作って来て良かったと喜んだ。


「ルイスさん、これもどうぞ」


ルイスがソフィアからローストビーフサンドを受け取った。


「これはまた、薄く切られたローストビーフが何層にも重ねられ挟まれているのか…断面が美しいな」


「ローストビーフはレティに切ってもらったんです」


「相変わらず魔法が上手だな、これ程肉を薄く切るとはなかなかできるものではない」


「レティは生まれた時から魔力が多すぎて細かな制御が苦手で、上手く制御出来るようになるまで凄く頑張ったんです。今でも訓練は欠かさずに続けているんですよ」


「妹君は努力家なんだな」


「ええ、レティは頑張り屋さんなので、今はロベルトさんに食べて貰いたくて料理の方も力を入れていて、食堂の料理も手伝ってくれるので私も助かっているんです」


「ではソフィアと妹君の作ってくれたサンドイッチも頂くとしよう」


「はい」


「これも美味いっ!ローストビーフにブラウンソース…このピリッと辛いのは…?」


「ホースラディッシュです」


「そうか、ホースラディッシュがアクセントになってて、ポテトサラダも相まって凄く美味い!」


「ルイスさんに喜んで貰えて良かったです」


「ソフィアの料理が食べられて嬉しかった。作って来てくれてありがとう」


「どういたしまして」


暫く二人は食後のお茶を飲みながら景色を眺めていた。


「ルイスさん、こんなに素敵な景色が見れる場所に連れてきてくれてありがとうございました」


「まだあるから楽しみにしててくれ」


「本当ですか?楽しみにしてますね」



そろそろ帰ろうかと準備をしていると突然、突風が吹き雲が増えてきた。


「秋の天気は変わりやすいな。ソフィア、急いで馬車へ戻ろう」


「はい」


少し早歩きで元来た道を歩いていると、道の脇の大きな木の下で何か小さなキラキラしたものがうずくまっているのが目に入った。

それを見つけたソフィアが慌てて駆け寄った。


「これは!?


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