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第66話



昨夜、ルイスの頬へキスしてしまったソフィアはベットの上で自問自答しながら転がっていたがいつの間にか寝てしまっていたのだろう、気がつけば朝になっていた。


「えっもう朝!?早く仕度しなくちゃ、ルイスさんが来ちゃう…」


急いで仕度を済ませルイスが来るのを待つ間、ソフィアは今日ルイスとどんな顔をして会ったらいいのか悩んでいた。


「どうしよう…恥ずかしくて顔見れない。あの時は私も頑張ろうって決心したから自分からキスしたんだけど…後からこんなに恥ずかしくなるなんて思わなかった。それに…ルイスさんにはしたないって思われて嫌らわれたらどうしよう」


付き合い始めて半年以上、何の進展も無かったことが寂しくて、この旅でソフィアはルイスともっと恋人らしくなりたかった。

旅に出る前、レティシアの恋バナを聞いて、比べても仕方がないとわかっていても心のどこかで自分と比べてしまっていた。そんな気持ちもあって昨夜の行動になったのだが、今、少し後悔している。


「比べたってしかたないのに…」


ソフィアが悩んでいると、ドアをノックする音が聞こえルイスが声をかけてきた。


「ソフィア、俺だルイスだ」


「…はい、今開けます」


ドアを開けると仕度を終えたルイスが待っていた。ソフィアは恥ずかしくてルイスの顔を見ることが出来ず、目線を下にずらしルイスに話しかける。


「お…おはようございますルイスさん」


「おはようソフィア。朝食の時間だが、もう行けるか?」


「はい、もう準備出来てるから大丈夫です」


二人は廊下を歩き出す。ソフィアは何だか並んで歩くのさえ恥ずかしくてルイスの後ろを歩こうとするが、ルイスがソフィアの手を取り繋いできた。ソフィアは戸惑い一瞬手を離そうとしたが離すことも出来ず、複雑な気持ちのまま手を繋ぎ無言で歩いて行く。


ルイスは何だか普段と違うソフィアが気にかかり声をかける。


「ソフィア、どうした体調でも悪いのか?」


「い…いえ、大丈夫よ」


「そうか、なら良いのだが…」


(どうしよう…昨夜の事が恥ずかしくって話ずらいなんて言えないし…何か話さなきゃ…心配かけちゃう、でも…)




結局、ソフィアは気まずいまま朝食をすませ、そのまま馬車に乗り込んだ。


馬車は無言な二人を乗せ、車内にはただ馬車を走らせる音しかしないまま1時間が過ぎようとしていた。


(はぁ…)


ソフィアは心の中で溜め息をもらした。

ソフィアがもやもやと悩んでいると、沈黙を破り先にルイスが話しかけてきた。


「ソフィア…?ソフィア、目的地に着いたよ」


「…えっ?」


ソフィアは悩んでいたせいで馬車が止まったことに気がつかなかった。

御者が扉を開けるとルイスが先に降り、ソフィアに向かい手を差し出した。


「ソフィア、行こうか」


「はい」


ソフィアはルイスの手を取り馬車を降りると広大な湖がソフィアの目の中に飛び込んできた。湖の先には紅葉した木々が広がり、太陽の光が反射して湖がキラキラと輝いて、時々、湖の水面を通ってきた冷たい風が木々をゆらしている。


ソフィアは、目の前の綺麗な景色に目を奪われた。


「わぁ、綺麗!大きな湖」


「ソフィアにいろんな場所を見せたいと話しただろう、ここもその1つなんだ」


ソフィアは話しかけづらかった事も忘れルイスに話しかけていた。


「ありがとうございます、こんなに大きくて綺麗な湖初めての見ました!」


ソフィアはルイスに向かい笑顔でお礼を告げた。

しかしルイスの顔を見るなり悩んでた事を思い出し、笑顔が曇りソフィアは下を向いてしまった。


「ソフィアどうした?」


「…ごめんなさい、ルイスさん。私…」


ソフィアはぽつりぽつりと自分の心の中を打ち明ける。

昨夜、自分からルイスの頬にキスをして、後から恥ずかしくなってしまい今朝から話しかける事ができなくなったこと、はしたないって思われて嫌われたらどうしようって悩んでたことをルイスに話した。


「…ソフィア。俺は昨夜ソフィアからキスしてくれて凄く嬉しかったし、そんなことで嫌いになんかならない。こんなにもソフィアの事を愛しく思っているのに」


そう言いながらルイスはソフィアを包み込むように抱きしめる。


「本当にごめんなさい、何か焦ってたみたい、焦ったってしょうがないのにね」


やっと全ての気持ちを伝えられてソフィアは心が軽くなった。


しばらくその場で景色を眺めていたが、ルイスがもう1箇所ソフィアに見せたい場所があると言い、湖の畔を散策しながら目的地へと向かうことになった。

二人は楽しく歩きながら話していると、ソフィアが前から言おうと思ってた事を思い出しルイスに告げた。


「あっ!そうそう、レティったら恋人が出来たのよ!結婚を前提にお付き合いしてほしいって言われて、今、甘々に溺愛されてるわ」


「えっ…妹君に恋人が?相手は誰?俺の知ってる人か?」


「ロベルトさんよ」


「えっ⁉ロベルト?相手ってロベルトなのか?…あいつから俺は何も聞いてないぞ」


「あらあらロベルトさんたら」


「俺にはソフィアに告白したとき、結婚を前提にお付き合いしてほしいなんて可笑しいと散々説教したくせに…。よほど他の男に獲られたくなかったのか?普段冷静なロベルトが溺愛って…そんなタイプには見えないが…」


ブツブツとルイスが呟いている。


「ふふっ、ロベルトさん、レティをライ君に獲られたくなかったのね」


「ライムンド殿下も妹君の事が好きだったのか?」


「ええ、小さいときからずっと。あっルイスさん、これは内緒にしてね。レティは気づいてないの」


「ああ、誰にも言わないさ。だがロベルト…帰ったらおぼえていろよ…」


ソフィアはルイスを見て、王都に帰ったルイスさんがロベルトさんに激しく問い詰めている、そんな姿が目に浮かんだ。









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