〜閑話休題〜レティシアとシャルロットのお茶会
ソフィアがルイスとグラシア領に行くのを見送った後、レティシアはシャルロットとお茶会をする約束をしていたので王城へと向かった。
久しぶりの長期休暇だとレティシアは喜んでいたが、姉と長期間離れているのが今回初めてなので少しソワソワしていた。
レティシアは王城につき、シャルロットが来るまで椅子に座ってバルコニーから見える庭を眺めて考え事をしていた。
(お姉ちゃんもルイスさんと結婚したら今回以上に離れる事になるんだよね
来年の春には私も成人するし、お姉ちゃんも団長さんとの結婚を意識する様になるよね。
団長さんがお姉ちゃんと別れるなんて天地がひっくり返ってもあり得ないだろうし、このまま結婚するんだろうな)
「結婚か…」
「まぁ!!レティちゃんたら、そろそろ結婚を意識していますの?」
「あっ、声に出てた?」
「えぇ!バッチリ聞こえていましたわよ、お待たせしでごめんなさい」
いつの間にか来ていたシャルロットにレティシアは驚いた。
人の気配に気がつかない程にレティシアは考え事にふけっていたようだ。
「ううん、そんなに待ってないから大丈夫だよ。
ごめんねシャロちゃん、今日は果物のケーキじゃなくてチョコレートのケーキなんだ」
「そんな、謝らないでレティちゃん!レティちゃんの作るケーキなら私はどれも好きですわ。
それにしてもレティちゃんたら、いきなり結婚だなんてどうしましたの?」
「いや…お姉ちゃんもそろそろ結婚するのかなと思うと寂しくて」
「そうですわね、確かにレティちゃんも来年成人するとなると、ソフィーお姉様もグラシア伯爵との結婚を意識しますわよね。
グラシア伯爵との交際は上手くいっているのでしょう?」
「うん、順調だし。さっきお姉ちゃんと団長さんでグラシア領に出かけていったよ」
「あら、今日からでしたのね。ラブラブで羨ましいですわ〜」
私もリカルド様とお出かけしたいな、とシャルロットは頭の中でリカルドと共に手を繋ぎラブラブしている姿を妄想する。
「うん…だからお姉ちゃんとこんなに長期間離れるのは初めてだなって思って…。
でもお姉ちゃんが結婚したらもっと離れて生きてく事になるんだなって実感したんだ」
「レティちゃんはソフィーお姉様の事が大好きですものね、離れるのは寂しいですわよね」
「うん、忙しいお父さんとお母さんに代わってお姉ちゃんが私の事を面倒みてくれたから…
でもお姉ちゃんには幸せになって貰いたいから、そろそろお姉ちゃん離れしないとなって」
「そうですわね…それならレティちゃんも恋人を探すとかはいかがですか?」
シャルロットは心の中で今日こそ兄をレティシアに勧めようと思ったが、その思惑は木っ端微塵に砕け散る事になる。
「あっ…そうだった!シャロちゃんに言うの忘れてたよ」
「何をですか?」
「私ね、恋人出来たんだ」
そう言えばまだシャルロットに伝えていなかったと、レティシアは恋人が出来たと口にした。
「………………………え?」
レティシアの発した言葉を聞いてシャルロットはフォークを落とし固まった。
「シャロちゃん〜?どうしたの、固まって……おーい、シャロちゃん〜!!」
固まって微動だにしないシャルロットの目の前で手を振るが、全く反応しなくてレティシアは戸惑う。
「恋人!!!!!!!!!!!?」
「うひゃっ!?びっくりした」
微動だにしなかったのに、いきなり大声を出したシャルロットにレティシアはビクッと身体を震わせた。
「えっ!?レティちゃんに恋人が出来たんですの!?お相手は!!?」
「えっと…ロベルト・ディアスさんです」
「その方って!この前の武道大会で優勝された第三騎士団の副団長様ですわよね!?」
(やっぱりライ兄様ではなかったのですね、確かにレティちゃんとくっついていたら真っ先に私に知らせが来るはずなのに、それが無かったと言う事は…。
ライ兄様、ぽっと出の殿方に取られるなど、いったい今まで何をなさっていたの!?
ライ兄様の長過ぎる恋は実らず、私のレティちゃんをお姉様と呼ぶ願いは叶わなかったのですね…)
「流石だねシャロちゃん…よく覚えているね」
シャルロットの頭の中で嵐が吹き荒れていることなどレティシアは知らず、流石は王女なだけあって殆どの貴族の名前が頭に入っているのだな、と感心していたのだった。
「おっほんっ!レティちゃん、いつの間に恋人が出来たんですの?私は全く存じ上げませんでしたわ。
春の時は誰も好きな人はいらっしゃらないと言っていたのに」
「えっと…1週間前くらいかな?」
「いつ、その方が好きだとお気づきになられましたの?」
「えっと…1週間前くらいかな?」
「…………ん?好きだとお気づきになって直ぐにお付き合いされましたの?」
「えっと…話せば長く」
「教えて下さいませ!!」
「はい」
レティシアは根掘り葉掘りシャルロットに質問攻めにあい、ロベルトと付き合うきっかけになった出来事を話しはじめた。
「なるほど、だからライ兄様がレティちゃんをお城に泊めた噂話があったのですね」
「うん…その節はライ兄様にとても迷惑をかけました」
レティシアにあった出来事を吐かせたシャルロットは、頭の中で全ての情報が繋がった。
(なるほどですわ。
だから子爵家は取り潰しにあって当主は投獄、令嬢は厳しいと評判の教会に入れられたのですね。
子爵は色々黒い事をやっていたので、その処分なのは理解できましたけど、令嬢にも重たい処分が与えられたのが気になっていたのですわ。
十中八九、子爵家の悪事を暴いたのはライ兄様よね、ライ兄様の束ねる影は優秀だと聞きますし……レティちゃんに手を出したのが運の付きですわ。
それにしてもライ兄様ったら、恋が例え実らなかったとしてもレティちゃんを愛し続ける気なのでしょうね…。
途中までなら悲恋の物語のようで涙を誘いますが、ここまで来ると純愛通り過ごして少し怖いですわ、このまま誰とも結婚せずに独身を貫きそうですわね)
悲しくもライムンドの恋は破れ、シャルロットが願っていた様にはいかなかった。
「……でも…無事にレティちゃんの恋が叶って良かったですわ。
おめでとう、レティちゃん」
大切な幼馴染が幸せならそれで良いかと、シャルロットは心の底からレティシアの恋を祝福する事にした。
「シャロちゃん…ありがとう」
「だから、レティちゃん!今から沢山恋話しますわよ!」
「こ、恋話!?」
「えぇ!セラお姉様直伝の殿方の心を鷲掴みにする心得がありますので、レティちゃんにお教えいたしますわ!」
「殿方の心を鷲掴みにする心得?」
「はい!末永くレティちゃんがロベルト・ディアス様に愛される為に私は人肌脱ぎますわ!」
「お、お手柔らかにお願いします…」
「えぇ!先ずは基本からいきますわよ」
その後、セラフィナ直伝の殿方の心を鷲掴みする心得は刺激が強すぎた為、レティシアは撃沈して早々に耳を塞いだのだった。




