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第6話

続き〜


料理を完食し、混み合ってきた店内を見て早々に退席する為にレジへと向かい会計を頼もうと料理を運んでいた少女に目を向ける、するとぱっちりと目があった。



「すまない、手が空いたら会計を…」



「はーい、お会計ですね!お姉ちゃんー!お会計お願いします」



手が空いてからでも良いと言おうとしたら少女は厨房に居るであろう姉に声をかけた、すると直ぐに彼女の返事が聞こえた。



「はーい、今行くわ」



パタパタと小走りの音と共に彼女がレジまで駆けつけると、こちらを見てにこやかに微笑む。



「お待たせいたしました。お会計はおひとり様1200リルです」


あのボリューム満点で美味しいセットが1食1200リルというリーズナブルな値段に驚いた。他の店だと2000リルは軽くいくだろうに、そんなに手頃な値段で本当に良いのだろうか。


そう思っていると、ロベルトが先に財布からお金を取り出しトレイの上へ置く。



「では、私はちょうどありますので」



「はい、ちょうど頂戴いたしました。

ありがとうございました、またのご来店お待ちしておりますね」



「ごちそうさまでした、では団長私は先に外へ出て待っておりますね」



そう言って先に会計を済ませたロベルトが混み合ってきた店の外へと先へ出た。


自分も早くお金を出さないと仕事が詰まるだろうと思い財布の中を見るがロベルトと違い小銭が無かったので札を2枚トレイの上に置いた。



「すまんが、俺はこれで…」



「はい、2000リルお預かり致しましたので800リルのお返しです!ありがとうございました。」



彼女の白魚の様な手がそっと、俺の剣ばかり持ちゴツゴツとした大きな手を包み込む様にお釣りを渡す。


不意に触れられビクリとしたが、暖かく柔らかい彼女の手はとても心地よく何故かもっと触れてほしいとまで思ってしまった。



「あぁ、こちらこそとても美味かった…また来るとしよう」



「はい、またのご来店お待ちしておりますね。お気をつけてお帰りください」



そう言って微笑む彼女、身長差のせいだろう少し上目遣いでドキッと胸が高鳴った。






団長がこの店の常連へとなる瞬間であった。






店を出るとドアを横で待っていたロベルトと合流し、騎士団までの短い道のりを歩く。



「どうでしたか団長?とても良いお店でしたけど」


「あぁ、そうだな……とても良かったな」


「給仕をしていたのか妹のレティシア嬢で、料理担当が姉であるソフィア嬢ですよ」


「ソフィア嬢か………可憐な名だ」


初めて食べたあの美味な食事と、まるで暖かな春に咲く大輪の花の様なソフィアの笑顔に、先程まであった食欲が無くなる程のストレスはいつの間にか綺麗さっぱりと無くなっていたのであった。





続く〜

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