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第64話




レストランの料理はソフィアに満足してもらえた様でルイスは「口にあって良かった」と安堵した。

食事が終わり食後の飲み物を飲んでいると、ドアをノックする音がして店員が声をかけてきた。


「グラシア様失礼します。料理長がお会いしたいと申しているのですがよろしいでしょうか?」


「料理長が?もちろん大丈夫だ、入ってくれ」


「失礼しますじゃ」そう言って白髪の老齢な男性が入ってきた。


「料理長1年ぶりだな、元気だったか?」


ルイスは料理長に嬉しそうに話しかけた。


「はい、おかげさまで風邪一つひきません。ルイス坊っちゃんもお元気そうでなによりですじゃ。」


「料理長、坊っちゃんはもう勘弁してくれないか…もう28歳だぞ」


ルイスは照れくさいので料理長に止めるように言うが料理長はニカッと笑って「わしからしたら何時までもルイス坊っちゃんは坊っちゃんのままじゃよ」


「料理長には敵わないな…」


「ホッホッホッ」


ルイスはソフィアに料理長を紹介した。

「ソフィア、こちらの人はここの料理長で二十年以上前からの付き合いなんだ。料理長、こちらは恋人のソフィア嬢。今年は一緒に領地へ行くことになったんだ」


「初めまして、ソフィアと申します」


「初めましてソフィア様、わしはここの料理長をさせてもらってるジェイですじゃ」


「平民なので、私のことはソフィアと呼んで下さい」


「では、ソフィアさんと呼ばせてもらおうかのぉ」


「はい。料理長さんの料理はどれも美味しかったです」


「お口にあって良かったですじゃ」


「あの…一つお聞きしたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」


「なんじゃろか?」


ソフィアは作り方が気になったきのこと麺の炒めた料理の作り方を聞いてみた。


「あれは今採れるきのこと麺を炒めるときに、この辺で夏に採れるチチタケを乾燥させといた物を水で戻した戻し汁を入れてあるんじゃよ。少し硬めに茹でた麺に戻し汁を吸わせるように炒めるのがコツじゃ」


「成る程…ありがとうございます!あ、でも宜しいのですか?こんな貴重な方法を私に教えて下さって」


「なぁに、ここら地元の者は皆知っているからのぉ、貴重でも何でもないのじゃよぉ」


「そうなんですね!教えてくださりありがとうございました」


「いいのじゃよ」


「戻し汁があの美味しさの決め手なんですね。そういえば母が五目ご飯や茶碗蒸しに干し椎茸の戻し汁を入れてました、麺に使っても美味しいのですね。水に戻したチチタケは食べないのですか?」


「地元の者はチチタケ自体も食べるが、それ以外の人は食感が苦手みたいでな」


「そうなんですね」


「良かったらチチタケ持って帰るかい?」


「宜しいのですか?!ありがとうございます、ぜひ頂いて帰って家で作ってみたいです」


「ソフィアさんは料理が好きなのかい?」


「はい。料理をすることが好きで王都で妹と一緒に小さな食堂をやっているんです」


「そうじゃったか、いつかソフィアさんの作る料理を食べてみたいのぉ」


「王都へいらした時はぜひ来て下さい」


暫くソフィアと料理長が料理の話に花を咲かせていたが、出発する時間になってしまった。


「ソフィア、名残惜しいがそろそろ出発する時間だ。料理長、今年も美味しかった、ありがとう。また来るから元気でな」


「ルイス坊っちゃんもソフィアさんも食べに来てくれてありがとうございました。道中お気をつけてのぉ」


「はい、また来ます。料理長さん、お料理の事いろいろ教えてくださりありがとうございました」


「ソフィアさんと料理の話が出来て楽しかったわい、またの御来店お待ちしてますじゃ」


ルイスとソフィアは料理長に見送られながら、次の領地へと出発したのだった。



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