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第63話

すみません(・・;)予約するの忘れてました…



街に入り馬車は昼食を取る為、予約しているレストランへ向かって行った。


馬車の中ではソフィアが窓から街並みを見ながら楽しんでいる。

一方ルイスは悩んでいた、毎年帰省するときに寄るレストラン、自分は美味しいと思っているがソフィアの口に合うか心配だった。

かといってこれから行くお店以外は行ったことがない…そうこう悩んでいるうちに1年ぶりの街外れにあるレストランに着いてしまった。


コンコンと扉を叩く音が聞こえ「到着いたしました」と御者が扉を開けた。


ルイスが先に降りソフィアに手を差し出し、降りるソフィアをエスコートする。


「ソフィア、ここが今日の昼食を食べるレストランだ」


「わぁ、素敵なお店ですね」


街の外れにあるレストランは王都では見られない大きなログハウスで出来ている、丸太だけで作った建物だ。

ルイスはエスコートした手を離さないまま、手を繋いでレストランへと入って行った。


ソフィアは、いつのまにかルイスと恋人つなぎといわれる形で手を繋ぐようになっていた事に気がついて、恥ずかしいけどちょっとづつ進展してるようで嬉しかった。




「いらっしゃいませ」


「予約をしたグラシアだ」


「お待ちしておりました、グラシア様。こちらへどうぞ」


店員に案内されたのは個室で、部屋の大きな窓からは遠くの山の紅葉と街が一望できた。


「わぁ、綺麗な景色ですね」


「あぁ本当に綺麗だ。知らなかった、何度もこのレストランには来ているが、いつもは個室じゃないから分からなかった」


「そうなんですか?」


「いつもは一人で来るからカウンター席なんだ。ソフィアと旅行に来なければ見られなかった景色だな」


「二人で見られて良かったです」


「ソフィアと来れて良かった」


二人は見つめあい、つい二人の世界に入りそうになる。だが後ろに店員がいることに気がつき慌てて席に着いた。直ぐに店員がメニュー表とお冷とおしぼりを持って席へとやって来た。


「本日のステーキランチは1000リルでコッコ、プラス500リルでレッドポーク、プラス1000リルでブラッディービーフになります、ランチにはサラダとパンとお飲み物が付いてます」


「レッドポークとは聞いたことがないが、魔物なのか?」


「いえ、この領地で育てられてる豚です。最近やっと私達領民にも食べられる位に出回ってきて、まだこの辺りでしか食べられない貴重な豚なんです。今は秋に採れるきのこと木の実を食べているので脂が乗ってこの時期が一番美味しいと云われてます」


「それは美味しそうだな。ソフィアは何にする?」


「レッドポークも気になりますが、きのこと麺を炒めたものも気になって…」


「それではお客様、ハーフ&ハーフにしてはいかがでしょうか」


「それは良いですね。では私はそれでお願いします」


「ハーフ&ハーフにはサラダ、お飲み物がつきますがパンはいかがいたしますか?」


「パンはいらないです」


「俺はレッドポークのステーキランチとフルサイズのきのこと麺の炒めたものを頼む」


「かしこまりました。食後のお飲み物はいかが致しますか?」


「俺はコーヒーを」


「私は紅茶でお願いします」


「かしこまりました」


店員が去り、二人はこの後の予定を話しあった。


「前に打ち合わせはしたが、仕事合間の少しの時間しか話せず、あまり詳しく話せなかったんだが。このあと隣の領地に入って直ぐの街で一泊して、グラシア領地には次の日の夕方には着く予定だ。グラシア領に入って直ぐの街に泊まり、途中いろいろ見ながらだから叔父の屋敷には遅くても夕方には着くと思う」


「グラシア領地って広いですよね」


「ほぼ森と湖、それと小麦畑ととうもろこし畑が多いいな、あとは漁業が盛んだな」


「私、海にも行ってみたいです」


「漁港はいつもにぎやかだから楽しいぞ、特に朝市はな」


「そうなんですね、楽しみです」



二人がこの先の領地の特産品や見所などを話していると、料理を乗せたワゴンを押して店員がやって来た。

ステーキの焼けたいい匂いときのこの香りが辺りに広がり、今朝早く朝食を取ったせいで空腹だった胃が刺激される。


「お待たせいたしました」


店員が料理を配膳し終えると「どうぞごゆっくりお召し上がり下さい」と言って下がって行った。


「いい匂いだ、さあソフィア頂こうか」


「はい、いただきます」


二人はまずレッドポークのステーキにナイフを入れ、一口くちに入れた。


「これは美味い、黒豚さんに負けず劣らない旨さだ」


「凄く美味しいです、濃厚だけど脂はしつこくなくて」


「素材がいいとこうも美味いのだな」


「これだけ素材が良ければそのままでも十分美味しいですね」


「そうだな、この国の料理に凝った物が少ないのは素材が良いからなのだろう」


ガルシア王国では魔物が近くで採れた為か、美味しい魔物肉を焼くだけで食べる人がほとんどだった。なのでそれ以上何か手を加えることは少なかった。それ故【まんぷく亭】の料理が王都では珍しかったのだ。


「帝国料理を出す店に行った団員から聞いた話なんだが、帝国料理は、昔、他国から肉を輸入していて新鮮な肉が入らなかった為、先人達が美味しくなるよう試行錯誤したのが始まりらしい。

今の王になってから、畜産に力を入れて新鮮な肉が手に入る様になったから、これからは素材を生かした更に美味しい凝った料理が出てくるだろう。帝国民は凝り性で何でも極めたがるからな」


「そうですね。ガルシア王国と違って帝国料理は凝った料理が多いと聞きました、最近は王都でも帝国から入ってきた料理を出すお店が増えてきましたね。家でもステーキ以外の肉をいかに美味しくするか父と母が凝った料理を競って作ってました」


「ソフィアのご両親がそんなことを?」


「ええ、テーブルに二つ並べてどっちが美味しい?と聞かれて、私もレティシアも返事に困っていました」


「はははっ」


「このきのこと麺を炒めた物も凄く美味しいです。きのこから出る旨みを麺が吸って、普通に炒めただけじゃないと思います、どうやって作ったのか気になります」


「さすが料理人だな、ただ食べてるだけじゃなくて作り方が気になるなんて」


「あらやだ…つい…」



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