第62話
ルイスはソフィアと向かい合わせに座ったかとおもうと、ソフィアの手を取った。
「ソフィア、今回は一緒に旅へ行けてとても嬉しい。ソフィアの誕生日を一緒に祝えるなんて夢のようだ。すまなかった、仕事が忙しいとはいえ、ずっとソフィアとデートすることも出来ず会えても昼食か夕食のときだけで余り長く話も出来なくて。休暇の許可は降りてたんだが色々あって、行けなくなりそうで本当に焦ったよ、旅行が中止にならず本当に良かった」
「私もルイスさんと旅行へ行けて嬉しいです、ルイスさんと誕生日を過ごすことができて幸せです。なかなか会えなくて寂しかったですけど、お仕事が大変なんですもの仕方がないです」
「そう言って貰えて嬉しい、俺も寂しかった。その分旅行中は一緒にいろんな場所へ出かけよう」
「はい!いろいろ行きたいです」
「ところで、今日のソフィアの服は初めて一緒に出かけた時に着ていた服じゃないか?」
「ええ、覚えていてくれたんですね、嬉しいです」
「もちろん覚えているさ、とても似合っていて見惚れていたのを覚えている。あのときにはもうソフィアに俺は惚れていたんだろうな」
ルイスは握っていたソフィアの手をぎゅっと握って微笑んだ。
「えっ…あっ…わ、私もあの頃からルイスさんのこと意識していたんだとお…おもいます…」
そう言ってソフィアは照れくさそうに下を向きながら返事を返した。
「ルイスさん、わたし…」
少し甘い雰囲気になったので、ソフィアはルイスに向かい、上目遣いで見つめた後、目を閉じてキスしてくれるか待ってみた。
計画通りにいくかしらとソフィアは心臓をドキドキさせながら待つ。
「ソフィア、眠いのか?朝早かったから、昼食を取る予定の街まで寝てるといい」
やはり想像した通りにルイスはソフィアにブランケットをかけてきた。
目を閉じながらソフィアは「やっぱり…」と心の中で呟き、しゅんとした。
だがその時、ソフィアのおでこの上の方で「チュッ」と音がした。
多分ルイスは寝ているソフィアのおでこにキスしたのだろう、だがソフィアは寝ているふりをしているので確かめられずにいた。
「えぇーなんでおでこなのー」とソフィアは悶々としていたが寝ているふりで目を閉じていたせいで、寝不足もあって本当に寝てしまった。
寝てしまったソフィアの向かいでは、ルイスが真っ赤な顔をして口を押さえている。
「やってしまった…つい目を閉じたソフィアが綺麗過ぎておでこにキスしてしまった!いけない…紳士たるもの相手の同意なしにキスなど言語道断、気をつけなければ」
超恋愛初心者で少し?お堅い性格のルイスにはたとえ寝ていてもソフィアへの口付けは無理なようだ…。ソフィアの計画は前途多難そうだ。
馬車は南門を抜け南西の方角へと走って行く。
王都から出て2時間ほど経ち、ソフィアが目を覚ました。
「あら、私寝てしまったんですね、ごめんなさい」
「いや、朝も早かったからな。それに俺はソフィアの美しい寝顔が見れて幸せだ」
「もう!ルイスさんたら!!」
「ははっ、すまない。…なあ、ソフィア…」
「なあに?ルイスさん」
「その、ルイス…さんのさんは二人きりになったんだからいらないんじゃないかな?」
「えっ…あっ、その…あの…」
「ん?」
ルイスは優しく微笑みながらソフィアが言ってくれるのを期待して待っている。
ソフィアの口は開くがなかなか声にならない。ソフィアは真っ赤な顔を両手で隠しがら小さな声で呟いた。
「まだ恥ずかしいから…頑張るから言えるまで待ってて…」
「楽しみに待ってる」
ソフィアはルイスとのキスより一歩手前の呼び捨てで呼ぶというハードルがまだあったのだ。ソフィアのこの旅行でのミッションはハードルが高かった様だ。
遠くで「お姉ちゃん頑張れ!!」とレティシアが応援してくれた声が聞こえた気がしたソフィアであった。
ルイスは次に昼に休憩する街の説明を話し始めた。
「次の街まであと1時間位かかるが、途中何かあったら言ってほしい」
「えぇ、ありがとうございます」
「街ではいつも領地へ行くときに寄るレストランに行くつもりだが、ソフィアは何か食べたい物があるか?」
「いえ特にないですが、ルイスさんのおすすめの料理が食べたいです。ルイスさんはそのレストランでは何を召し上がるんですか?」
「そこの領地はこの時期キノコが良く取れて、そのレストランでもキノコの料理がでるのだが…そんなに料理の種類がなくて…俺はキノコと麺を炒めた物かステーキにキノコのソテーが添えている物を食べるんだが、あとはキノコのスープかキノコのサラダぐらいだろうか」
「キノコは大好きです。母もよくキノコと麺を炒めた物を作ってくれました。スパゲティって名前でガーリックと唐辛子で味付けしたものやトマトソース、ミルクベースや醤油味があるんですよ。具材は一緒でも味が違うとそれぞれ楽しめてとても美味しいんです」
「それは美味しそうだ」
「お店では出さないのでルイスさんは食べたことなかったですよね、良かったら帰ったら作りますね」
「ああ、楽しみにしている」




