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第52話

〜お知らせ〜

小説の成人年齢を16歳から18歳に変更しました。

その為、登場人物の年齢を少し変更しています、ご迷惑おかけしました。

直しきれてない所があったらすみません(^_^;)




10月の中旬、ロベルトは武道大会を優勝した褒賞でもらった休みの初日、朝からレティシアと森へ特訓を兼ねて狩りに来ていた。

もう森はすっかり秋の色に染まり、この日は晴れて絶好の狩り日和だった。


ロベルトが更に強く成りたいという希望でレティシアがリカルドにされた特訓を森の奥で始めていた。


レティシアは魔物寄せの笛を吹くと、自分は高みの見物とばかりに木の上に登りロベルトに指示した。


「ロベルトさん、直ぐに来るから気配探知して、戦いに備えて下さいね」


「はいっ」


木々の間からブラッティビーフが三体現れた。すかさずロベルトは剣を構えながら魔法を無詠唱でブラッティビーフを拘束し、足が止まった所を狙い剣で急所を仕留める。

Aランクの魔物を簡単に倒せるようになったロベルトだったが、レティシアは休む間もなく次の魔物を呼ぶため笛を吹く。


「ロベルトさん、倒すの早くなりましたねー、じゃあ次いきますよ」


レティシアは容赦無く次から次へと魔物を呼び、ロベルトは次第に魔力が減って疲れがみえてきた。


「ロベルトさん大丈夫ですか?魔力回復ポーション飲んだ方が良いですよ?」


「そんな高額なポーション持っていませんよ」


「そっかぁー、じゃあ私が持っているのあげますね」


そう言って木の上からレティシアは魔力回復ポーションを投げ渡してきたので、ロベルトは慌てて受け取った。


「割れ物なのですから投げないで下さい。それに流石に高額過ぎて頂けないです」


「良いから良いから、まだまだインベントリの中に数百個くらい入ってますし、お母さんの手作りだからタダだしね」


薬草採取は私がしたから本当にタダだよー、とレティシアは笑う。


「ヴァレンティナ様の手作り…」


英雄の手作りなど、店で販売したら幾らの値がつくのか、ロベルトは手にしている魔力ポーションを見て苦笑いした。


「それに、魔力を使い果たした後、直ぐに魔力ポーションで回復して、また魔法を使えば体内魔力量を増やすことができて一石二鳥ですよね」


この方法を使えば永遠に魔力量上げれて便利だよね、とレティシアは言うが、魔力が枯渇すれば倦怠感は酷いし、頭は割れるほど痛くなるのだ。


「一石二鳥…ですか」


いったいレティシアは何回やったのだろうかとロベルトは、また苦笑いを溢した。


「ほらほら、次の魔物が来るから早く飲んだほうが良いですよ!次に来るのはもっと大物みたいなんで」


「はっ、はいっ」


ロベルトは慌ててポーションを飲み、次の魔物が来るのを警戒し剣を構える。

森に異様な雰囲気が流れだし木々が割れ裂ける様な音とともにブラッディサーペントが現れた。


「これはブラッディサーペント二体ですか、番のようですね。冬眠する魔物は冬前に食いだめするからいつもより攻撃的になるんですよね、厄介だな…」


ロベルトは愚痴りながらも、ブラッディサーペントに向けて先制攻撃をする。

魔力が回復したか確かめるようにブラッディサーペントへと水魔法で攻撃を繰り出した。


《ウォータートルネード》


水の渦がブラッディサーペントを覆い、体中を切り裂く。

だが流石Aランクの魔物である、ブラッディサーペントは傷だらけにはなり弱ったものの致命傷までにはならなかった。


「流石に水魔法では皮膚を切り裂くしか出来なかったか…一撃で倒せる様にもっと鍛錬が必要ですね。

…でもこれで最後です」


剣をぐっと握り、魔力を足に集中させブラッディサーペントへ向かって飛び込み、剣を振りかざした。

そしてロベルトが着地した瞬間、二体のブラッディサーペントの動きがピタリと止まり頭が地面へとずり落ちた。


「ふっ、なんとかなりました」


それを見ていたレティシアはロベルトに駆け寄り驚きの声をかけた。


「ロベルトさん、今の凄かったです!一瞬でブラッディサーペント二体を剣で倒すなんてびっくりしました」


「なんとかなってホッとしてます、初めて足に身体強化魔法を集中させてみたんですが出来て良かったです」


「身体の一部だけに身体強化って凄いですね!…私も出来るかな?」


身体の一部だけに身体強化をかけるのは、全身にかけるより繊細で難しいが、その分使う魔力が少なくすむので効率が良いのだ。

レティシアは体内魔力量が多い為、繊細な魔法を使うのが少し下手である、姉のソフィアの特訓のおかげでだいぶ上手にはなったのだが。


「レティシアさんなら直ぐに出来ますよ」


「お昼ごはん食べ終わったら練習したいので教えて欲しいです」


「勿論です、そろそろ昼食にしますか?」


「はい!

この先に綺麗な小川が流れてて、お姉ちゃんと来た時は良くそこで食べるんですけど、そこでもいいですか?」


「はい、では行きましょうか」


レティシアはロベルトの倒したブラッディサーペント二体をインベントリへしまい、二人は昼食を取りに川へと向うため歩き出した。十分ほど歩くとレティシアが言ってた川が見えてきた。


「綺麗な川ですね、何度も森に来ているのに全然気が付かなかったです」


小さい滝から流れる川には小さな魚が泳いでるのが見え、森の木々から漏れる日差しが暖かい。ロベルトとレティシアは二人で少し大きめのピクニックシートを敷き、向かい合わせに座り、レティシアはインベントリの中からピクニックバスケットと水筒を取り出した。


「はい、ロベルトさん、サンドイッチ沢山作ってきたのでいっぱい食べてね。あっ、これロベルトさんがくれたピクニックバスケットです、嬉しくて早速今日持ってきちゃいました!」


「使って頂けて嬉しいです」


嬉しそうに笑うレティシアの顔を見てロベルトはプレゼントして良かったなと心から思ったのだった。


「今日のサンドイッチの具材は照り焼きコカトリスとレタス、ブラッティビーフのローストビーフとスライス玉ねぎです!ローストビーフの方はホースラディッシュソースなので少し辛いです。

あと唐揚げとポテトサラダも、今日は私が全部作ったんですよ!」


レティシアは上手に出来たんだよと、ドヤ顔でピクニックバスケットの中に入っている料理の説明をし、ロベルトはそんなレティシアを見て笑顔になった。


「凄いですね、全部とても美味しそうです。こんなに沢山作ってくれてありがとうございます。

では照り焼きのサンドイッチを頂きます」


「はいっ」


「お、美味しいです!照り焼きの甘辛いタレと肉のジューシーさにレタスのシャキシャキとマヨネーズが良く合っていくらでも食べれそうです」


ロベルトはレティシアが自分の為にこんなに美味しい物を作って来てくれてとても嬉しく、一口一口噛み締めながらレティシアの料理を味わった。


そしてレティシアは頑張ってお姉ちゃんに教えてもらいながら作って良かったと思う程、ロベルトが美味しそうに食べてくれている姿が嬉しくて、もぐもぐと食べるロベルトの事を笑顔で見ていた。


全ての料理を完食した二人は食後の休憩でお茶を飲んでいた、だけどレティシアは目の前に流れる綺麗な川を眺めていたら少し遊びたくなり、ロベルトに川に入ろうと手を引っ張った。


「ロベルトさん、川にちょっと入って遊びましょ!かわいい魚がいるよ」


川の淵で靴と靴下を脱ぎ、チャプチャプとレティシアは川へ入って行きキャッキャとはしゃぎだした。


「冷たいけど気持ちいいー、ロベルトさーん早くー」


そんなレティシアのはしゃぐ姿をみてロベルトは可愛いなと思いながら、自分も靴と靴下を脱ぎズボンの裾を折り上げてレティシアの元へと歩き出した。

そんなレティシアはロベルトを迎えに行こうと川の中を歩くが…


「きゃっ」


「危ない!」


不安定な石に足を取られレティシアは転びそうになる。

ロベルトは咄嗟にレティシアを助けようと手を差し出すがバランスを崩しレティシアを抱えるように二人は川へと倒れてしまった。


バッシャーン!!


幸い川は浅く溺れることはなかったが、二人は川に倒れ込んだ際、咄嗟に目をつむっていた。

レティシアが目を開けると、目の前には目をつむった端正なロベルトの顔があと少しで唇が触れそうな距離にあった。


「っ…レティシアさん、大丈夫ですか?」


ロベルトも続けて目を開ける。

すると至近距離でレティシアと見つめ合うかたちになり、ロベルトの心臓の鼓動は早くなった。


「ロベルトさんの瞳って宝石みたいで綺麗…」


そんなロベルトの鼓動の速さに気が付いていないレティシアは、青だと思っていたロベルトの瞳が光の加減によって紫に見え、吸い込まれるほどに綺麗で見惚れてしまっていた。

まるで昔見せてもらったカラーチェンジサファイアの様で目が離せなかった。


「レティシアさん?」


ロベルトは腕の中で固まって動かないレティシアを心配そうに様子を伺う。


そんなロベルトの声に我に返ったレティシアは途端に、恥ずかしくなり離れようとするが、ロベルトの腕がレティシアの細い身体をしっかり抱きしめて離さなかった。

ロベルトは一瞬ぎゅっと抱きしめてから腕を離し、レティシアの顔に付いた濡れた髪をそっと指で掬いあげて耳に掛けた。


「レティシアさん…怪我してませんか?」


濡れ髪のロベルトはいつもより格好良く色気まである。

レティシアはドキドキが止まらないが冷静を装って返事を返した。


「だ…大丈夫です、ロベルトさんは怪我してませんか?」


「ええ、私は大丈夫です」


ようやく立ち上がり、ロベルトは川から出ようと歩き出したが、レティシアは最初の一歩が出なく、歩けないでいた。

そんなレティシアに違和感を感じたロベルトはレティシアの事が気になって声をかける。


「レティシアさん、どうしたのですか?やはり何処か怪我を?」


「はい、どうやら足首を痛めたみたいです。でも大丈夫です!これくらい我慢できます…」


ズキズキと痛む足を引きずって歩こうとしたレティシアをロベルトは止める。


「それはいけません、早く帰って治療しなければ!レティシアさんちょっと失礼します」


「きゃっ!?」


ロベルトは濡れたままのレティシアを軽々とお姫様抱っこした。

抱かれたレティシアは驚き、咄嗟にロベルトの胸元に手を添えた。

すると思った以上に逞しい胸板にレティシアは、ロベルトは男の人のだと意識してしまい顔が赤くなりそうになった。


ロベルトはレティシアを抱いたまま川から上がり、レティシアを近くにあった切り株の上に座らせ、そしてロベルトはその場に片膝をついて座り、レティシアが怪我をしたであろう足首を確認する。


レティシアの目の前で、まるでそのまま足先にキスをするのでは無いかと思う程にロベルトが顔を近づけて怪我を確認している姿にレティシアはドギマギする。


「レティシアさんはここで少し待ってて下さい、帰る支度が済んだら家まで送って行きますので」


「大丈夫ですよ!これくらいの怪我…」


「駄目です」


「う……でも迷惑じゃ…」


「こんなの迷惑に入りませんよ」


「…ありがとうございます…とりあえずロベルトさん、先に服と髪乾かしますね」


そう言ってレティシアは座りながらロベルトと自分に風魔法をかけて全身を乾かした。


「ありがとうございます、風魔法便利ですね、乾かしたりお肉切ったり」


「あはは、そう言われたらそうですね」


「帰る準備が出来ました。レティシアさん、自分は男としてあなたを連れて帰る方法は一択しかありません」


失礼、そう言ってロベルトは再びレティシアをお姫様抱っこして歩き出した。


「あっ…あのロベルトさん、私重いのでせめておんぶで」


「レティシアさんは羽のように軽いですよ、おんぶだなんて怪我した団員を運ぶときだけで十分です」


「わかりました…お願いします」


真っ赤になった顔を隠すようにレティシアはロベルトのシャツに顔を埋めた。


(ううっ、恥ずかしい…けど、さっきまで怪我して少し不安だったのに、なんでだろうロベルトさんの体温が温かくて安心する、ロベルトさんのシャツいい香り…石鹸かな?香水かな?なんかドキドキするけど心地いいな)


レティシアは恥ずかしさのあまり目を閉じロベルトと会話ができずにいたせいか、いつの間にかロベルトの腕の中で眠ってしまっていた。ロベルトは起こさないようにゆっくりと歩き、気がつけばもう西門をくぐった場所にたどり着いていた。


ロベルトは愛おしそうに抱えたレティシアを時折様子を見ながら街を歩いている。その二人を見ている影があるのを、ロベルトは気がつかなかった。


「レティシアさん、家に着きましたよ」


「……はっ!わ…私いつの間に寝てしまって、すみません…」


「いえ、可愛らしい寝顔が見れて役得でした」


「かっ…可愛らしいって、もうロベルトさんからかわないで下さい」


慌ててレティシアはロベルトに抱えられながらもドアの鍵を開けると、もうここで降ろしてくれるようにロベルトに言うがロベルトはレティシアを降ろそうとしない。


「あの、ロベルトさん?」


「レティシアさん、その足で階段は登れないですよね?レティシアさんのお部屋までお連れします、レティシアさんのお部屋に入る許可を下さいますか?」


「…はい、ソウデスネ…ありがとうございます。でも階段なんて大変じゃないですか、私重いのに…」


「先程も言いましたが、レティシアさんは全然重たくないですよ、レティシアさんのお部屋は何処ですか?」


「二階の一番奥です」


ロベルトは、レティシアを抱えているのを感じさせない位軽々と階段を登っていく、そしてレティシアの部屋に入り、ロベルトはそっとレティシアをベッドへと降ろした。


「ソフィアさんはいつ頃お帰りに?」


「もうそろそろ帰ってくると思います。ロベルトさん今日はありがとうございました、ごめんなさい迷惑かけてしまって」


「迷惑だなんて全然思ってないです。私はレティシアさんと森に行くのが楽しいのです、だからあまり気にしないで下さい」


「ありがとうございます、私もロベルトさんと森へ行くのが楽しいです」


「レティシアさん、私はそろそろ帰らせてもらいますが、ソフィアさんに治して頂くまで無理して動かないで下さいね」


ロベルトは微笑みながら、ベッドに座っているレティシアの少し乱れてた前髪を直し、流れる様に長い髪をひと掬いすると愛おしそうに口付けをした。


「……レティシアさんお大事に」


そしてロベルトは帰ろうと立ち上がる。


だがレティシアは咄嗟に手を伸ばしてロベルトの服の端を掴み、帰るのを引き留めようとした。


「あっ…」


「レティシアさん?」


レティシアはロベルトの髪への口付けにドキドキしながらも言葉を発する為、口を開いた。


「あの!…明日、ロベルトさん昼過ぎ時間ありますか?今日のお礼をさせて下さい、良かったら昼の営業が終わった頃来てもらえませんか?」


「時間はありますが、お礼なんでいいんですよ」


「いえ、させて下さい!ロベルトさんに食べて貰いたいケーキがあるんです、ただ持ち歩けないケーキなのでお店に来ていただくしかなくて、お昼ごはんも遅くなってしまいますが、是非食べに来て下さい」


ロベルトはレティシアの気持ちが嬉しくて、愛しいレティシアにそこまで言われて断る事など出来るわけがなかった。


「ありがとうございます、レティシアさんの料理もケーキも大好きなので嬉しいです」


レティシアは漸くロベルトから返事をもらいホッとしたが、ふと自分の手に握るロベルトの服の端が皺だらけになっていることに気がついた。


「あっ...!す…すみません!!」


「大丈夫ですよ、では明日楽しみにしてますね」


ロベルトはレティシアが自分を引き留めようとぎゅっと握って付いた皺さえもなんだか嬉しかった。


「はい!待ってます」






続く〜

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