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第25話

続きー




ソフィアとルイスが心が通じ合った次の日朝。


玄関のドアをノックする音が聞こえたレティシアは、パタパタと小走りでドアを開けると、そこにはルイスの姿があった。


「あ!団長さん!いらっしゃい、お姉ちゃんに用ですか?」


「あぁ、休みの日にすまないが、二人に少し話があって、今時間は大丈夫だろうか?」


ルイスがソフィア達を訪ねて来たのだが、その顔は少し浮かない顔をしていた。


家の中に招き入れたレティシアはルイスを席に案内して、姉を呼びに行った。

ルイスが訪ねて来たと聞いたソフィアは慌てて身なりを整えてルイスの元へ向かった。


「あら、ルイスさんいらっしゃいませ。どうかされたのですか?」


朝から好きな人に会えたソフィアは嬉しそうにニコニコと話しかけた。


「その…実は、先程王宮から使いが来たのだが、先日の森の件でソフィアとレティシアの事を王に話したら、王が是非二人に礼を言いたく会いたいと申されてな。

二人には明日昼に王城へ共に行って欲しいのだが…良いだろうか?」


朝一で届いた王城からの手紙に書いていた内容をルイスはソフィア達に伝えた。

ルイスが重々しい気持ちでいたのは、もしかしたら王が優秀なソフィア達を気に入って城で働いて欲しいなどと言うかもしれないと思っていたからだ。もし二人が城に務める事になったら【まんぷく亭】で楽しく働く姿が見れなくなる、本当は王に森であった事を説明したくなかったのだが、仕事なので仕方なく報告したのだ。


「良いですよ、ね!お姉ちゃん」


「えぇ、大丈夫ですよ」


そんなルイスの気持ちを知らないソフィアとレティシアは重々しい雰囲気で話し始めたルイスに何事かと思ったが、特に気にする事もなく了承した。


「そ、そうか…ありがとう。では登城するにあたって、ドレスを送りたいのだが…」


余りにも軽い返答に面を食らったルイスだが、了承して貰えて良かったと礼を言う。

そして、明日城へ行く為の服装の話をしたのだが…


「大丈夫ですよ!持っているので」


「え、持っているのか?」


「えぇ、昔頂いたドレスがあるので」


「そ、そうか…………分かった。では明日の昼前に迎え来るから宜しく頼む」


「はい!」


ルイスはソフィアにドレスを送るチャンスだと思っていたのだが、まさか持っているとは思わず出鼻を挫かれてしまった。

ロベルトには平民の女性はドレスは普通持っていないと聞いていたのに、話が違うではないか

それにしても、ソフィアにドレスを送った相手とはいったい誰なのだろうかと、悶々と考えてしまったルイスであった。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



そして次の日の昼前にルイスはロベルトと共にソフィア達を迎えに【まんぷく亭】へ来ていた。

ルイスとロベルトも王に会うために騎士の正装を身に着けていた。


「ソフィア、準備は出来ているだろうか?」


玄関のドアをノックし、ルイスは声をかけた。


「はーい、今出ますね」


【まんぷく亭】のドアが開きソフィアとレティシアが家の中から出てくる。



「「……………。」」



ドアから姿を表したソフィアとレティシアの姿が余りにも綺麗で二人は言葉を失った。



ソフィアは若草色のシフォンドレスを身に着けていた。

同色で出来たリボンと小さな花飾りが肩や袖、ふんわりとしたスカートに散りばめられていて、まるで春の妖精の様だ。


ソフィアの余りにも美し過ぎる姿にルイスは心の中で、他の誰にも見せたくないと思った。


「ソフィア…綺麗だ」


「ルイスさんの正装もとても良く似合っていて格好いいです」


ルイスがソフィアに見とれていたと同時にソフィアもルイスに見とれていたのだ。

逞しいルイスが着ている濃紺の正装がとても格好よくてついつい周りを忘れていて魅入ってしまった。



そんな甘い空気の傍らで、レティシアは苦笑いしながらロベルトの近くに避難した。


レティシアは、淡い紫色で薔薇の地模様が入っているサテン生地のドレスで、裾と袖に金の縁取りが施されている。髪は編み込まれ金の花の髪飾りがピンクゴールドの髪に良く映えて美しい。

少し化粧をしているのか、何時もより大人びて見えるレティシアの姿にロベルトは目を奪われた。


だけど、その色の配色に心の底で少し違和感を感じた。

団長から二人は貰い物のドレスを着てくると聞かされていたロベルトは、このドレスを贈った人物を想像し、もしかしたらと思った。


「レティシアさん、ドレスとても良くお似合いですね」



「ありがとうございます!この前の誕生日に頂いたんです」



プレゼントされたドレスを褒められて嬉しいレティシアはニコニコと笑った。




馬車に乗り込み四人は王城までの向かった。

馬車の中ではルイスとソフィアが隣同士に座って甘い雰囲気を醸し出しいちゃついている様子を、レティシアがジト目で見てロベルトがそんなレティシアに気を使い話しかけるのが続いた。



そうこうしている間に四人の乗った馬車は城に辿り着いた。

王都の一番奥の高い所にそびえ立つ純白の城はいったいどれ程の大きさなのか分からない程に広い。


馬車を降りると、何故か宰相が待ち構えており、ルイスとロベルトに緊張が走った。


「ようこそいらっしゃいました。王がお待ちの部屋までご案内いたします」


宰相が自ら道案内する異例な出来事にルイスとロベルトの緊張がマックスになる。


((何故、宰相様自ら…))


ただひたすらに長い大理石の廊下を歩く靴音だけが響き渡る、謁見室前を通り過ぎ普段王族以外入る事が許されないプライベートなエリアに足を踏み入れ、その一室の前で立ち止った。

大きな扉の両脇には第一騎士団の騎士が控えている。


「失礼いたします。ルイス・グラシア伯爵及びロベルト・ディアス騎士爵。ソフィア嬢とレティシア嬢をお連れいたしました。」


「入れ」


「はっ」


大きな扉が開くとそこには王と王の後ろには第一騎士団長、そして王の隣の席に金色短髪と紫の瞳を持つ若い男性が座っていた。

金色の髪と紫の瞳は王家の色、その2種類の色を持っている若い男性は、この国の第二王子であるライムンドであった。


「よく来たのー。ソフィアにレティシアよ」


二人に向かって気安く話しかけたのはこの国の王であるブラウリオ・ガルシア16世である。

普段の威厳ある姿からは想像出来ない程に優しい顔付きをしてソフィアとレティシアを迎え入れた。


「「お久しぶりです、王様」」


ソフィアとレティシアは平民とは思えない程に美しいカーテシーで王に挨拶をした。


そんな二人の姿にルイスは驚愕し、ロベルトはやはりと納得した。


「ほれ、挨拶など良いから早う椅子に座るのだ。それと王様など寂しいじゃろう、いつもの様に呼んでくれ」


「はい!リオおじ様!」


「ふふ、ありがとうございます。おじ様」


王の名前であるブラウリオと言う名を縮めておじ様付で呼ぶレティシアに二人は驚愕する。


「ソ、ソフィアよ…貴女は王と知り合いであったのか?」


「なんじゃ、ソフィアよグラシア伯爵に説明していなかったのか?」


余りにも驚いた様子のルイスに気がついた王はソフィア達と王との関係を説明していなかったのかと問う。


「はい、説明し忘れてしまいました」


次あった時に説明しようと思っていたが、まだソフィアは言えてなかったのだ。


「なんじゃ!なら儂が教えてやろう、ソフィアとレティシアは英雄の娘でな!英雄と儂は親友でのう。ソフィアとレティシアは産まれた時からの仲じゃよ」


「「えっ……」」


思いもしなかった事実に、遂にルイスとロベルトはその場で固まってしまった。

そんなルイスにソフィアは申し訳なさそうな顔をして謝った。


「ごめんなさい、ルイスさん。この前伝えるの忘れてしまっていたのですが…」


「あの…英雄様の娘なのか?」


「はい、そうなんです」


英雄とは、20数年前に現れた国落としの魔物。ヒュドラを倒した男女二人の事である。

この国に現れたヒュドラは次々に街を襲い、最後にこの王都を襲った、王も王太子だった頃、国を守るべくヒュドラに立ち向かったのだが、余りの強さに成すすべもなく死にそうになった。

そんな時に表れたのが二人の英雄である父アルセニオと母ヴァレンティナだ。

圧倒的な強さでヒュドラを屠り、この国を守った英雄はこの国で知らない者はいない。

それ以来、王と英雄は旧知の仲で親友なのでソフィアとレティシアは産まれた時からずっと可愛いがってもらっている。


「なるほど…そうだったのだな」


「伝えるのが遅くなって、ごめんなさい」


「いや、良いんだ。誰の娘であろうと俺が好きなのはソフィアなのだから」


「ルイスさん…」



「そこ!ナチュラルにイチャつかないの!」



二人の世界を作り上げイチャつくソフィアとルイスの世界を壊す様にレティシアは話をぶったぎった。


「もう!いくら付き合いたてだからって」


「なんじゃ、ソフィアよグラシア伯爵と恋仲なのか?」


「はい、お付き合いさせて頂いてます」


その問にソフィアは顔を赤くして、コクリと頷くと、王様は嬉しそうに笑った。


「そうか!そうか!それはめでたい!」



ソフィアとレティシアが王と親しげに話しているのを姉妹の後ろに静かに立ちロベルトは聞いている。

ロベルトは元々、ソフィアとレティシアは平民の割に所作や言葉使いが綺麗だった所に少し違和感を感じていた。

そして、先程英雄の娘だと知って納得したのであった。


そんなロベルトの頭の中ではレティシアにドレスを送った人物の事を考えていた。


レティシアが着ているドレスの金色と紫色は王家の色である。


何故か王族は必ず金色の髪と紫色の瞳を持って産まれてくる、それは大昔この国を作った初代様と結ばれた精霊女王が金色の髪と紫の瞳を持っていたからだと言い伝えられている。

そんな王族カラーのドレスを送る人物なんてこの国では二人しか考えられない、それは王太子であるレイナルドと第二王子であるライムンドだけであると。


しかし、王太子であるレイナルドは溺愛している正妃がおり子供も双子がいる為、レティシアに自身の色が入ったドレスを贈るとは考え難い。

それならば残る人物は第二王子だけであると考えられた。



「おぉ、そう言えばレティシアのドレスは良く似合っているな!ライムンドが懸命に悩んだだけあるわい」


「ライお兄様、そんなに悩んで選んでくれたんですか?」


「あぁ、レティに似合うと思ってな。また1つ歳を重ねて美しくなったな」


そして、王と第二王子がレティシアと話している内容に、自分の考えは正しかったと思い知った。


ライムンドはレティシアのドレス姿を嬉しそうに微笑み見つめている、その目はまるで愛おしい者を見る目であった。



「そうだ!ソフィアにレティシアよ、この度は第三騎士団を助けてくれて感謝する。褒美を与えたいのだが、何か欲しいものはあるか?其方達に聞いてから用意しようと思っていな」


まるで孫にプレゼントを渡したい祖父の様に王はソフィア達に欲しい物を聞いた。


「そんな、おじ様。私はルイスさん達を助けたくてした事ですから」


「そうですよ!リオおじ様」


「そう言われてもなー。功績を立てた者にちゃんと褒美を渡すもの儂の仕事だからな、お願いだから貰って欲しいのう」


縋る様な王にソフィアとレティシアは折れ、何か欲しい物があったか考える。


「えー…じゃあ私はシャルちゃんとお姉ちゃんとお揃いのパジャマ欲しいなー。それ着てお泊り会したいです!」


ちなみに、レティシアがシャルちゃんと言った人物はこの国の王女であるシャルロットの事である。シャルロットとレティシアは同い年でとても仲の良い友人である。


「それでは私は帝国の最新魔導オーブンが欲しいです」


ソフィアはフェニーチェ帝国で販売された最新式の魔導オーブンを強請った、この魔導オーブンは温度設定が可能でお菓子などを焼く時に便利だとレティシアが言っていたのをソフィアは覚えていたのだが、人気過ぎて中々手に入らなかったのだ。


「なんじゃ、二人とも欲がないのう。言ってくれれば爵位でも領地でも宝石でもドレスでも何でも用意するのに…」


「「いらないでーす」」


「そうか……欲しくなったらいつでも言うのじゃぞ?」


「もー!リオおじ様ったら、爵位とかはお父さん達に言ってください」


「そうですよ?おじ様、お父さんに怒られちゃいますよ、それともお母さんが良いですか?」


「よ、止してくれ。アルセニオとヴァレンティナに叱られては儂凹んでしまう……」


そんな王様がなんだか可愛くて二人はクスクス笑った、しばらく他愛もない話に華を咲かせ、そろそろ王様の次の仕事の時間になったのでお開きになった。


王様を先頭に宰相と第一騎士団長が部屋を退出したのだが何故か第二王子が部屋に残っている。


第二王子が退出しなければ他の人たちは帰ることが出来ない、ルイスとロベルトは不思議に思っていたら、第二王子がレティシアに向かい、手を差し伸べた。


「レティ、シャルロットが待っている、共に参ろう。ソフィア姉様も」


レティシアはスッとなれた手つきで、第二王子の出された手を取る


「はい、ライお兄様」


「そうね、行きましょうか」



「これから何かあるのか?」


「はい、シャルロット王女とお茶会するお約束をしているのです」


「そうだったのか、今日はありがとう。ソフィアのドレス姿を見る事が出来て、とても良い1日だった」


「いえ、私もルイスさんの正装を見る事が出来て嬉しかったです。それに伝え忘れていた事も言う事が出来て良かったです」


「あぁ、貴女の事をまた一つ新たに知ることが出来て俺も良かったよ…また会える日を楽しみにしている」


「はい、私も」



甘ったるい空気を漂わせルイスとソフィアが会話している間、第二王子はレティシアと親しげに話をしていた。

レティシアと第二王子との距離はとても近く、まるで恋人同士のようにも見える。


「それではルイスさん、ロベルトさん失礼しますね」


「またね!ロベルトさん、団長さん」


「えぇ、今日はありがとうございました」


「あぁ、またな」


歩きだしたレティシアの腰を第二王子は抱き寄せエスコートし廊下を歩いていく姿をロベルトはただ見ていた。


ズキリッ…


「ん……?」


第二王子に触れられるレティシアの姿を見たロベルトの胸がズキリッと痛んだ。


「なんでしょう…この気持ちは」


この胸の痛みはいったい何なのか、経験したこと無いロベルトは分からなかった。




続くー

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