第12話
続き〜
王都の平民街は3つの区画に別れている。
西門近くのソフィア達が住んでいる区画は中央区と呼ばれており騎士団が常駐してるだけあり治安が良いので住宅が多く、比較的リーズナブルなお店が多く営んでいる。
そして南区、南門の近くの為隣の大国であるフェニーチェ帝国から入ってくる輸入品などの品を扱っている店が多い。
大商人や裕福な者に人気な土地の為、家賃などは割高である。
そんな南区の一画に雑貨屋や洋服店などのお店が集まった大型複合施設がある為、色々な客層で賑わっている。
最後に北区、ここでは武器屋や鍛冶屋などが多く建ち並んでおり騒音が問題となっているが、安い宿やアパートが多くあるので冒険者などが好んで住んでいる。
呑み屋が多い為少し治安に問題もあるが騎士団と警邏隊の巡回のおかげで昔よりはマシにはなった。
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そして1週間が過ぎて約束の日になった。
どこに出かけるかルイスと話し合った結果、少し足を伸ばし南区にある大型複合施設に行く事に決まった。
当日ルイスが馬車を手配してくれるとの事で、待ち合わせ場所は第三騎士団の表門の前だった。
ソフィアが門の前へ着くと少ししてルイスが門から出てきた。
「おはようございます、団長さん」
「すまない、待たせたか」
「いえ、来たばかりですから大丈夫ですよ」
「今日は宜しくお願いします」
「あぁ、こちらこそ宜しく頼む…それにしても」
ルイスはソフィアの姿に目が釘付けになる、この前街で助けた時の服装もとても良く似合っていたが今回の服装もとても素敵だったのだ。
白いニットのワンピースにピンクベージュのポンチョを羽織った姿の彼女。
「どうかしましたか…もしかして似合ってませんか?団長さんと出かけるから悩んで選んだのですけど…」
その言葉にこの服装を自分と出かける為にしてくれた事に感動した。
「いや、違うとても良く似合っている…その……綺麗だ」
そう言って顔を背けるルイスの耳は少し赤い。
「ふふ、ありがとうございます」
話していると馬車がやって来たのでルイスのエスコートで馬車に乗り込む。
南区にある大型複合施設までは大分距離がある為、その間ルイスとソフィアは会話に花を咲かせていた。
「良かったらルイスと呼んで頂けたら嬉しいのだが」
「えぇ、ルイスさん。良かったら私もソフィアとお呼び下さい」
そんな会話をしていたらあっという間に時間は過ぎ、馬車は目的地へと到着した。
幅500m程の大きさで円形の2階建ての建物。
外壁は白いレンガで出来ており、建物の入り口にはトピアリーや花々がシンメトリーで置かれておりお洒落な作りになっている。
「何度見ても大きな建物ですね」
「この国で一番大きな複合施設だからな」
中に入れば色々な種類の店が入っており、建物の中央には大きな噴水のある綺麗な庭が見える。
1階は主に雑貨屋やジュエリーショップ、洋服店などが多く建ち並んでおり
2階はお洒落なカフェやレストランなどの飲食店がある。
「そういえば、結婚する部下の方とはどんなお人なのですか?」
「あぁ…商家の三男で中々に明るい人柄でな、幼馴染の女性と結婚すると聞いた…お酒が好きで、特にワインを好んで飲んでいたな」
「お酒が好きな方なんですね、でしたらペアグラスなどはいかがですか?」
「ふむ…そうだな。では確かこの先にフェニーチェ帝国から入ってくるガラス工芸品を扱っている店があった筈だ」
「はい、行ってみましょう」
そうと決まり施設の中を歩いていく。
やはり王国で1番大きい施設だからだろうか、沢山の人で賑わっており気をつけないと逸れてしまいそうになる。
懸命について行こうとソフィアは頑張るが大勢の人で進むのが大変だ。
そんな様子のソフィアを見たルイスは少し決心したかの様な様子で話しかけた
「ソフィア、良かったら俺の腕に掴まれ」
「ルイスさん?」
「その方がはぐれずにすむし、ガタイの良い俺が人避けになるから歩きやすいだろう」
そう言ってエスコートするかの様に腕を差し出したルイスにソフィアは手でそっと掴む。
「ありがとうございます」
「いや、気にするな…行くぞ」
「はい」
傍から見たら恋人同士の様に見えるのだろうか、そんな事をルイスは思いながら歩くと少しした先にキラキラと光るガラス工芸品が沢山並んでいる店が見えてきた。
「わぁ…とても綺麗ですね」
「そうだな」
もう人混みは抜けたので腕に捕まっている必要などないのだが、二人は離れる事無くそのまま店内へと入っていく。
色々なガラスで出来た品物を扱っている店みたいでガラス細工、食器、ランプ、アクセサリーなどが多数並べられていた。
「いらっしゃいませ!当店の品物は全て強化の魔法付与がされており床に叩きつけても割れないほどに頑丈ですので、良かったらお手に取ってご覧くださいませ」
「えぇ、ありがとうございます」
店に入ると直ぐに人の良さそうな店主に話しかけられる
「今日は何かお探しでしょうか?」
「友人の結婚祝いにペアグラスでもと思ってな」
「なるほど!でしたらこちらでございます。
ペアグラスは最近フェニーチェ帝国で特に人気の品物でして、我が国にも沢山の種類のペアグラスを取り揃えております。
お決まりになられましたらお声がけ下さいませ、梱包のサービスも行っております」
「あぁ、分かった礼を言う」
「いえいえ、どうぞごゆっくりお買い物をお楽しみ下さいませ。」
店員に案内されたグラスコーナーのペアグラスが置いてある場所には様々な種類のグラスが置いてあった。
「素敵なペアグラスが沢山あって迷ってしまいますね」
「そうだな、ハイボールグラスにビアグラスのゴブレットもあるのだな」
「ロックグラスもありますね、こちらの丸みを帯びている形のグラスも素敵です」
「あぁ、シャンパングラスにワイングラスも勿論あるのだな…」
「沢山の種類のペアグラスがありますね」
「フェニーチェ帝国で人気と言っていたが、ここまで種類があるとは驚きだな」
「やはり、ワインがお好きとおっしゃっていたのでワイングラスが良いでしょうか?
あ、こちらのワイングラス素敵です。」
ソフィアが手に取ったのはこの国の国花であるクリスタルローズの柄が入ったワイングラスだった。
グラスと共に置いてあった店の説明書きには、飲み物を入れるとハッキリとクリスタルローズの柄が浮かび上がる様に出来ていると書かれており、その美しく細かい細工に感心する。
ほんのりと色付けされており淡い青と赤のグラスはペアグラスに相応しい見た目をしている。
「これは良いな、よしこのワイングラスにするとしよう。きっとアイツも喜ぶだろう、ソフィア選んでくれて助かった」
「いえ、お役に立てて良かったです」
「少し待っていてくれ、今店員を呼んでくる」
「はい」
送る物が決まったので会計を頼む為に店員を呼びに行こうとルイスは1人店の中を歩く。
するとルイスの目に留まる商品があった。
ガラスで出来た赤い小さな花がいくつも連なった装飾がついた髪飾り、きっと動く度にガラスの花に光が当たり輝いて綺麗であろう。
ふと、何を考えたのかルイスはその髪飾りを手に取り店員へと話しかけた。
続く〜




