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第95話




三人の会話を黙って聞いていたガルシア王が突然大きな声を上げ机を叩き勢いよく立ち上がった。


「そうだ!ソフィア、グラシア伯爵!!」


「「はい!?」」


「今直ぐに婚姻してもらおう!教会にばれても結婚している者へ聖女になれとは言わないだろう。あやつらは未婚だの純潔だのとこだわりがあるからな」


確かに教会で聖女として祭り上げられるのは若い未婚の乙女ではあるが


「そうですね、私もそう思います。もう二人は婚約しているのだから今直ぐに婚姻届を出しても問題ないでしょう」


ガルシア王とリカルドの発言に二人は驚きを隠せないでいた。


「あの…リオおじ様、今直ぐ結婚って言われましても…」


ソフィアは困惑しすぎて何を言っていいのか、何を聞いていいのかわからなくなっていた。


ガルシア王はソフィアに安心するように説明し出した。


「ソフィア、まだ婚約したばかりで戸惑うのもわかる。しかしソフィアを教会から守る為にはなるだけ早く籍だけでも入れといた方が良い。今、アルセニオとヴァレンティナは城に居るのだから私から説明し許可してもらえば良い」


「…わ、わかりました」


「グラシア伯爵もそれで良いか?」


「は、はい。彼女を守る為でしたら、私に問題ありません」


ガルシア王の提案に一抹の不安は過るものの、教会にソフィアとキューちゃんの存在を万が一でも知られてしまった時の対策に、結婚が一番有効的であるのは確かである。

なし崩しでの結婚のようで思う事がないとは言い切れないが、ルイスはソフィアとの未来のためにガルシア王の提案を飲んだ。


「よし、では今直ぐアルセニオとヴァレンティナを呼ぼう!おっと、妃も呼ばないと後で何を言われるかわからん」


ガルシア王が仕切る中、リカルドがブラウリオとヴァレンティナを自分が迎えに行きがてら説明した方が早くて良いだろうと足早に部屋から出て行ってしまった。



「ねぇルイス、本当に良かったの?いくら王命とはいえ、こんな形で籍を入れるのが早まるなんて」


「ああ、ソフィアを教会にも他の男にも渡す気は無いからこの話は俺としてもありがたい話だ。それにこんなにも早くソフィアと書類だけとはいえ婚姻を結べるなんて嬉しいかぎりだ」


「ルイス…私も嬉しい」


ソフィアとルイスは見つめあい、テーブルの下では指を絡めて手をつなぎ二人の世界に入り込んでいた。

だがその甘い空気を壊す様な大きな音と共に激しく扉が開いた。


「ソフィアちゃん!リカルドから聞いたよ、今日結婚するんだって!?この前春にするって言ってたよね?」


「アルセニオ!リカルドから聞いた話をちゃんと聞いてなかったのね!!ソフィアちゃんを教会から守る為、今日は籍だけ入れるって。結婚式はちゃんと春にするの、わかった?」


「うん…でも…何か寂しい…」


「まったくもう」


アルセニオを叱るヴァレンティナの後からレティシアとロベルトが顔を出した。


「あれ?なんでお父さんとお母さんまでいるの?あっお姉ちゃん!話終わった?リオおじ様とリカ兄様に話があるから来たんだけど…なんか忙しそうだね」


「ええ…ちょっとね」


ソフィアは今までの経緯をレティシアに話した。


「えっ、そうなの?でも良かったね〜思ったより早くルイスお義兄さんのお嫁さんになれるんだもん」


「うん、ありがと」


「今婚姻届の書類待ち?なら先に私から用事済ませて良いかな?」


「ええ…大丈夫だと思うけど、何かあったの?」


「うん!リオおじ様を驚かせたいからちょっとリオおじ様のとこへ行ってくるね」


「ええ」


レティシアがロベルトと一緒にガルシア王の元へと行くと、書類を確認しているガルシア王に話しかけた。


「リオおじ様、お忙しいとこすみません。聞いて欲しい事があって!」


「おぉ、レティシア、どうしたのだ?」


ガルシア王は手を止める。

レティシアはロベルトの顔を見たあと、ガルシア王ににっこりと微笑んだ。


「私の従魔のローズちゃんに番が出来ました!ロベルトさんの竜のラピスです!!」


どや顔をするレティシアにガルシア王は驚きのあまり今にも顎が外れそうな位大きく口を開けている。


「はあー?なっ、なんだってー!?それは真か?」


「真でーす!さっきローズちゃんがラピスと番になったのを見ました」


「そ、そうか、それは良かった。我が国で二対目の番ができた事はなんと喜ばしいことか!ふむ…ではアンデとベリーの竜舎を新たに作る予定だったのだがラピスとローズの竜舎も作るとしよう」


「ありがとうございますリオおじ様!」


二つの番がいつか子を成してくれたら帝国から買わなくてもよくなるとガルシア王は計算しほくそ笑んだ。


「あっ、リオおじ様なんか悪い顔してる」


「そ、そんなことはないぞ!ごほん、では近々帝国に番の住みやすい寝床などノウハウを問い合わせるとしよう」


「はーい、よろしくお願いします」


ガルシア王とレティシアが会話を終わらせ、ふと扉へ目を向けると入り口には妃以外の呼んではいないはずの王太子夫婦、ライムンド第二王子、シャルロット王女が顔を並べていた。


「なんでお前達まで来ておるのだ!あーここでは狭すぎる、場所を代えるぞ」


ガルシア王の一声でしかたなく王族専用の応接室へと移動することになったのだった。






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