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第94話

「報告は以上です」


「ご苦労」


リカルド、オルティス、ルイス、ソフィアから戦で起きた事の顛末を聞き終えた王は深いため息を吐きながら眉間を指で揉む。


「どうやら春に起きた出来事は北の国が関わっていたようだ」


「街道の石碑が壊されたことですね」


第三騎士団であるルイス達がオークの群れに襲われた原因である街道沿いに設置してあった魔物除けの魔石が内蔵されていた石碑の破壊を行ったのが、北の国の工作員であった事が今回の戦争で捕虜となった者への尋問で明らかとなった。


「あの時はソフィアとレティシアが駆けつけてくれなければ重傷者が──いえ死人が出ていたと思います。

意図して第三騎士団を狙い国の戦力を削ごうとしたのか、街道に魔物が溢れる様にしたかったのかは分かりませんが、北の国が関わっていたとなるなら納得です」


「しかし、どうやって石碑内の魔石の存在を知ったのかが問題だな。

知っている者は王家の縁者か高位貴族──もしくは一部の騎士団員と魔導師団員」


「限られた者しか存在は知りませんから、必ず身内に北の国へと情報を流している裏切り者がいるはずです。

ですが騎士団員と魔導師団員は秘密保持の制約魔法を結んでいるので除外しても大丈夫かと思います」


騎士団と魔導師団の団長と副団長になる者には結界石の存在を知らされているが、周囲に話せないよう制約魔法で縛られている為、北の国へ情報を漏らす事は出来ない。


「そうだったな、では内通者の可能性がある者の人数は少し減らせるな」


「捕虜の尋問を強化し、裏切り者の存在を聞き出しましょうか?」


「それでも良いが、空飛ぶ船の事も同時進行で聞き出しておいてくれ」


「構いませんが、捕虜が船の作り方を知っているとは…」


「嫌、違う。」


確かに自国であの船が量産出来れば物流に革命が起きそうではあるが、王が聞き出したいのは作り方ではないようだ。

何を聞き出せば良いのかリカルドが問おうとする前に、王の口が開く。


「他言無用じゃが──あの空飛ぶ船を開発していたのはフェニーチェ帝国だったと思い出してな」


「!!」


「前に船程の大きさの物体を浮かばせるほどの魔力が込められる魔石があるかどうかと聞かれたことがあってな。

空飛ぶ船を作ろうとするなど夢物語の様な事を聞くもんだと余り気にはとめなんだが、まさか実現させるとはな。

しかし何故、フェニーチェ帝国が開発していた物が北の国で使われたのか

────北の国にフェニーチェ帝国が手を貸しているとは考えられんが」


「北の国だけで空飛ぶ船が作れるとも思えないというわけですね」


「もし何かあってフェニーチェ帝国と敵対するのだけは避けたいからな」


「かしこまりました、早急に取り掛かります」


話の区切りで、ソファーに座り縮こまっていたソフィアが低く手を挙げると、皆の視線がソフィアに向けられた。


「えっと…リオおじ様。このお話は私は聞いてはいけないと思うのですが」


重大な国家機密満載の会話を国の重役でも何でもない自分が聞いてしまっているのはマズイのではないかとソフィアは背中に嫌な汗をかく。

報告し終えたら早々に退出しておけば良かったと思ったが今更遅い。


「ソフィアなら口が固いから問題ないぞ」


「……」


ガルシア王の言葉にソフィアは心の中でため息をついた。




全ての報告が終わり、ルイスとソフィア、オルティスが退室しようと席を立とうとしたのだがリカルドがそれを止めた。


「グラシアとソフィアはまだ聞きたいことがある、まだ残ってくれ。オルティスは今日はもう帰って大丈夫だ、明日はゆっくり休むが良い」


「はっ、ありがとうございます。ではお先に失礼いたします」


ルイスとソフィアの頭に?が浮かぶが、早く帰りたい気持ちを抑え少し浮かした腰を再び下ろし席に座り直した。


「二人から聞きたいことがある」


「「はい」」


リカルドの真剣な眼差しになぜか再び嫌な汗が背中を伝う。


「私がベリーとソフィアの事を探してる時に森が光ったのだがそれに何か心当たりはないか?」


「それは…」


ソフィアはガルシア王に許可を貰おうと顔を向けると目が合ったガルシア王は良いだろうと言わんばかりに黙って頷いた。


「リカ兄様、今から説明させていただきますね」


そう言ってソフィアは影の中からキューちゃんを呼び出した。


「そ、それは…?」


真っ白なふわふわな毛並み、ぴんと立つ大きな耳と九つのふわもこな尻尾の狐がソフィアの膝の上に乗っていた。

眠たいのだろうか、呼び出されたのに緊急性がないと分かればソフィアの膝の上でスピスピと寝始めた。


「私の従魔のキューちゃんです。

この子は私の治癒魔法を増幅してくれるんですが、あの時は倒れてるルイスを見て気が動転してしまって。

慌てて治癒魔法をかけたら魔力が多すぎたのか光が溢れてしまって、離れていたオルティス様も一緒に治ってしまったんです」


「いや、すまない…確かにそれは隠さないと危ないな。教会に聖女だなんだと言われて祭り上げられる」


「白い狐は神の使いだと言われているから確実に教会は取り込もうとしてくるだろう」


「はい…なのでリカ兄様にも言えなくて、ごめんなさい」


「ソフィア謝るな。しかしその狐の力を借りてオルティスも直したのだろ、彼には見られなかったのか?」


リカルドの問にルイスが返す。


「オルティス殿は女神が治してくれたと呟いていましたのではっきりとは見ていないかと思われます」


「そうか、怪我で朦朧としていたのと眩しい光でソフィアのシルエットを女神と勘違いしたのだろう。オルティスに見られなくて良かった」


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