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第92話







城で待機していた者達が空を見上げてざわめき出す。


「アンデとベリーが帰ってきたぞ!アンデにはグラシア様とソフィア様が乗ってる様だ!」


彼らが指差す方向には待ちに待っていた第三騎士団の団長である相棒の竜のアンデと、その番の竜であるベリーの姿。


「おい、なんだあれは?後ろに派手な濃いピンク色の竜が付いてきているぞ!」


だが、その二体の竜の他にもう一体別の見たことがない竜がくっついて来ているのが皆の目に入る。


「なんてことだ、城の結界はどうなっているんだ?!」


明らかに野生の竜の出現に城にいる者達が慌てだす。


「ベリーが入って来た後、強化したのですけど」


「そうか…また結界の見直しがいるな」


「そ、そうですね…」


また仕事が増えると、城の魔法師達が憂鬱になるのだった。



結界を再び破られ、新たな竜が飛来した事を王に伝えるとガルシア王は慌てて訓練場へと急いだ。

息を荒くしてたどり着いた王の目の前には3体の竜が鎮座していた。


「なんだとっ、こっこれはなんという事だ!本当に竜が一体増えてるではないかっ!!」


驚き固まっている王の後ろを一陣の風が通り過ぎた。

風を纏う影は竜の背から降り立ったソフィアに飛びついた。


「おねえちゃーーーーーん!!」


「レティ!?」


「無事で良かったぁぁーー!お義兄さんが行方不明って聞いて、その後お姉ちゃんまで居なくなったって聞いて、お父さんとお母さん、王様達皆が心配してたんだよ!」


「心配かけてごめんね、ベリーちゃんが私の気持ちを察してルイスを探しに行ってくれたの。見つかったからって私をルイスの元へと連れて行ってくれて…(まさか籠に乗って行くとは思わなかったけど)急だったから何処へ行くか誰にも言えなくて」


「ひっく、ひっく…」


ソフィアは泣きやまないレティシアの背中を擦り頭を撫でていると、ぬっと二人の頭上に大きな影が現れ泣いてるレティシアの頭をつんつんと突いた。


「ふぇっ?なっ何?」


「ギャウー(どうしたの?なんで泣いてるの?)」


「えっ?ピンクの竜?ベリーちゃんよりちょっと濃いけど、どこから来たの?竜騎士団にはいなかったよね?」


「レティ、この子はベリーちゃんの妹ちゃんでね、北の森から帰る途中にベリーちゃんを見つけたみたいでそのまま付いてきちゃったの」


「そっ、そっかー。びっくりして涙が引っ込んじゃったよ」


「ギャウーギャウギャウ(あっ、泣きやんだぁ。ねえねえ、貴女とても綺麗で美味しい魔力ね、私と従魔契約しましょ)」


「えっ?何言ってるのかわかんない。ん?あれ?」


ベリーの妹竜が嘴でちょんとレティシアの頭をちょんと突くと、レティシアの体が淡い光に包まれた。


「へっ?…もしかして…鑑定!」


鑑定魔法は難易度が高く、この国で使えるものはアルセニオとヴァレンティとソフィア、後極数名の魔法師しかいなかったのが、ここ最近レティシアも使えるようになった。

その鑑定魔法でレティシアがベリーの妹竜を鑑定するとそこには《従魔(仮)》と出ていた。


「えーっ、従魔契約って魔物の方からも出来るの?私の従魔になったって言ってもお姉ちゃんみたいに会話できないよ。他の従魔の

子達も話せないし」


「レティ、(仮)が付いてるって言ってたけど、レティからも従魔契約してみたら?もしかしたら契約の仕方が私と違うからかも」


「じゃあお姉ちゃんと同じ様にしてみるね。えっと…名前は何にしようかな?…うん、決めた!」


そう言ってレティシアは「汝、我と契約する者也、汝の名は……ローズ!」とベリーの妹竜の額に口づけた。


レティシアとローズは金色の光に包まれ、光が収まるとローズの額にはレティシアの瞳と同じ色の石が輝いていた。


「ギャウー(わーい、お姉ちゃんと一緒!額にキラキラ付いたー)」


「おぉー、本当に何を話しているか分かる!そっかぁ、じゃあ他の子達も契約しなおしたら話せるようになるかな?そういえばキューちゃんってお姉ちゃんと話してるとこみたことないけどキューちゃんと話せるの?」


「話せるけど、あの子ほとんど寝てるから…」


「そっかぁ」


レティシアはローズに向かい、挨拶を交わした。


「ローズ、これからよろしくね」


「ギャウ〜(うん、レティ。よろしくね)」


レティシアはローズを見上げると悪そうな笑みを浮かべた。その笑みを見たソフィアは嫌な予感がする。


「ローズ、背中に乗って良い?空から王都見てみたい!!」


「ギャウ〜(いいよ〜)」


「わーい、ありがとー」


ソフィアの予感は当たった。レティシアなら絶対乗りたがると思ったのだ。


レティシアは鞍も付いてないローズの背中にひょいっと軽い身のこなしで跨った。


「じゃあ、お姉ちゃん行ってきまーす!ローズ、出発ー!」


「ギャウー(はーい!)」


止める間もなくレティシアはローズに跨り城を飛び出してってしまった。


二人の様子を少し離れた所で様子を見ていたガルシア王はソフィアの元へと駆けてきた。


「ソフィア、無事で良かった。皆心配している、早くアルセニオとヴァレンティナに顔を見せに行ってあげなさい。あのピンクの竜とレティシアの事も聞きたいが、ソフィアには色々聞きたい事があまりにも多すぎる、だが今はまず部屋へ戻り休むが良い。詳しいことはリカルドが戻り次第ゆっくりと聞かせてくれ」


「はい」


ガルシア王は空を見上げ、城の上空を飛ぶピンクの竜を見ながら

「はぁ…レティシアが従魔契約をしたから一先ず安心じゃが。

さて…竜の寝床の場所が足りん」

予算の見直しをせねばいけないと、頭を悩ませたのであった。


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