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今日からご主人様

作者: 零

俺はとあるオークションに参加している。

そこでは、色々な「モノ」が売買対象だ。

色々なモノとは、『物』は勿論、『者』も入る。

いわゆる闇オークションだ。

「さあ!一品目!オッドアイの少女です!身の回りのことはもちろん、なんでもいたします!では500万からスタート!」

スタッフの声が響き渡る。

オッドアイといえば珍しいが、俺は別に興味ない。ほしくない。なぜなら、このオッドアイの少女の目はしんだ魚みたいだからだ。身の回りのことも含め、なんでもやってくれるだろうが……なんというか。面白みがない。オークションの売買対象の人間に求めるのはおかしいと思うけれど。

「二品目はなんと五人組!お得です!500万からスタート!」

スタッフの声につられ、五人組と呼ばれた人たちを見る。その瞬間、俺の体は電気が走ったような感じになった。

ほしい。絶対この子達は面白い。理由や根拠なんてないけど、何か感じるものがあった。

「600万」

俺はすぐにそういった。すると流石はセレブ。間髪入れず、700万と言った。

でもそんなんで諦めるやつじゃないから。

「1000万」

そう言うと、誰もなにも言わなくなった。俺が買い取れるみたいだ。

「おめでとうございます!それでは商品確認を行いますので、スタージのすそにお願いします。」

商品確認、か。商品、つまり「もの」としか見られてないんだ、ということを改めて思った。俺は「はい」と返事をして、すそへ急いだ。すぐにでも解放してやらなければいけないような気がしたから。

「これでお間違いないですか?」

値段などを確認し、間違いないことを確認した。

「では、これはもう貴方様のものですので、お好きに扱って下さい」

笑顔でスタッフさんはそう言って、出口まで送ってくれた。

笑顔で言うことじゃないと思うけど。


玄関に出て、車へ乗り込む。

「…名前は?」

名前は聞かないと不便だろうと思って、きく。すると、数秒経ってから、

「…優斗です」

と1人言った。

きけば、兄弟だそうで、長男が優斗。次男が真奈斗、三男が奏翔、四男が湊、五男…つまり末っ子が音、と教えてくれた。前から思っていたが、奏翔は湊を守っているように立っていたり座っていたりする。

家に着き、家の中へ通す。

警戒していたけれど、俺が見たらすぐに入った。ご主人様に逆らっちゃだめ!みたいに教え込まれたのかな。この子達は、顔が整っている。だから普通に学校行っていたら、さぞモテて、充実した学校生活を送れたことだろうと思う。


まず、言わないが、この子達は汚い。そういう風呂とか入れなかったんだろう。俺は近くにいた湊に話しかけた。

「風呂ってどれくらいの頻度で入っていたんだ?」

聞くと、湊は一瞬黙って、「一ヶ月に一回くらい、です」と小さな声で答えた。

それくらいしか入れなかったのか。と思う気持ちも勿論あるが、何でこんなにも怯えたな目なんだろう?そんな目をさせるような出来事があったのか。最初はこんな目をしていなかったのか。奏翔が守るように、軽く俺を睨みつけるような目で見ているのは何故?何もしてないのに。それは……、経験なのか。オークションで売り出されたということは売り出したやつがいるってことだ。そいつ以外にもいるにかもしれないが、今までの買い取り主は警戒するべきことをしれいたということ。守ってもらう程にまで怖い思いをさせたってこと。

「そっか…じゃあまず風呂入ろうな」

さすがに主人だからって風呂入り方までもを教えるのはどうかと思って、

「風呂の仕組みわかるか?」

と聞いた。

すると、申し訳なさそうに優斗が、わかりません、と答えた。

「そっか。じゃあどうしよう。」

結局はやむを得ず、俺も一緒に入った。

1人1人の体を俺は洗ったのだが、湊と奏翔は一緒にきて、それ自体は全然大丈夫。構わなかったけど、やっぱそうさせた出来事があったんだよな。あんま聞かないようにしたいけど知りたい。…いや。知らなければ主人を名乗れない気がしたんだ。互いの信頼があって、やっと主人になれるのだから。

「…奏翔、洗うぞ」

「お願いします」

奏翔は、冷水をぶっかけられると思ったのか、首を守るようにした。勿論、俺がかけたのは温水。冷水なんて寒いだろ?風邪ひくから。

奏翔は驚いたみたいな顔をした。

「え?冷水じゃないですか?」

鳩が豆鉄砲を食らったような顔。

「冷水なんてかけたら風邪ひくだろ」

でも、よくあるのは従って当たり前だから、冷水かけること。でも、そんなことする人間はクソ。

「……変わってますね」

初めて奏翔が笑った。

「貴方は危険じゃないのかもしれないですね……」

独り言のように小さい声だったが、でもまっすぐ俺の顔を見て奏翔は言った。

「貴方とかご主人様とか。堅苦しい言葉じゃなくていいぞ、別に。タメで構わないし」

そう言うと、

「じゃあ、兄ちゃん?兄ちゃんだね!よろしくね」

奏翔は元気にそう言った。警戒してただけなんだ。俺は一人っ子だったから、兄ちゃんと呼ばれるのは慣れてなくてくすぐったかった。

「よろしくな、、」

奏翔は人懐っこい性格なんだ本当は。

湊はまだ警戒してるように思える。

「危険じゃないぞ、兄ちゃんは」

「………」

奏翔がそう言うのだが、湊は黙ったままだ。

警戒してる。湊は肌が白く、目立った外傷はない。

と考えれば、湊をここまでにさせたものはアレしかない。

アレ…は声に出して言えるもんじゃない。

「湊、洗っていいか?」

もしかしたら肌に触れられるのさえ嫌かと思って、一応きくと、はい。と小さな声で言った。

「……ありがとな」

「………?」

俺は洗わせてくれてありがとうと感謝しただけなのに、湊はなぜか照れた。

顔が真っ赤だ。肌が白いので、なおさらそれが目立つ。

「え?どうした?」

俺が必死になってきいた結果。感謝されたのが恥ずかしかったそうだ。

「感謝されたことなかったから……、、奏翔の言う通り、変わってるのかもしれないね……」

「ちょっとは、解けた?」

奏翔が笑顔で聞くと、「うん」と話す湊。よかった。

「よかった。湊」

「よろしくね。兄ちゃん」

湊の笑顔も見ることができたので、よかった。



2人を戻して、最後は音だった。

音もまた、温水で驚いていた。みんな驚いていたが、真奈斗はべつに前と変わらない様子を見せていた。優斗は話したが、タメまではいかなかった。

「冷水、出ないんですか」

見当違いなことまで言っている。面白くて笑ってしまった。

「冷水は出るけど出してないだけ」

「なんでですか?」

全くと言っていいほど理解ができないようだ。

「冷水かけたら風邪ひくかもしれないでしょ」

「風邪…ですか。僕たちの体まで心配してくれるんですね」

「だってもう家族だから。家族は愛するものだと俺は思うよ」

そう話したら、音の目には涙が溜まっていた。

「ありがとうございます、、貴方がいなかったら俺は……俺は……明日にでもいなかったかもしれない」

音はそう言って、泣いた。俺だって泣きそうだったけど、なかなかった。これが大人の余裕よ。

「タメでいいよ。貴方とかいらないから」

俺は結局兄ちゃんとよんでもらうことにした。

心を許してくれたってことでいいのかな…?

「ありがとう。兄ちゃん。これからはちゃんと兄ちゃん信じてついてくから……」

涙目だけど、綺麗に笑った。


ということで、奏翔と湊と音は心を許してくれた。嬉しい!!

「じゃあ、水分とって、またリビング来てくれるか?話したいことあるから」

俺はみんなにそう言った。

すると、音と奏翔と湊は、「わかった、兄ちゃん!」って言った。

それに一番反応したのは、優斗だった。

「兄ちゃんってなに?」

「兄ちゃん。ご主人様のこと。いい人だよ。俺はこの人を疑う必要はないと思った。」

と、湊が言った。湊がそういったってことに驚いたらしい優斗。真奈斗は何もわからない。表情筋がぴくりともしない。

「でも、本当は危ないかもよ、三人とも。ね、」

優斗はそう言っていたのだけれど、

「俺がいいと思ったの。俺がいいと思ったんだよ、優斗は警戒心もってたっていいけど、俺がどうするかは俺が決めることだから」

湊がさらに言うと、みんな目を元々丸いのをさらに丸くした。真奈斗でさえも、ちょっと目を見開いていた。

「………ごめんな。ちょっと俺のせいで混乱を起こしたよな……ちょっと俺いないほうがいいよな。俺抜けるね。」

そういって、部屋にいった。



どれくらい時間が経っただろう。

小一時間くらいだろうか。そろそろいいかな、と思ったが、入り方がわからない。中に人はいるみたい。

扉の横でたっていたら、真奈斗がいた。

「どうしたんですか」

真奈斗はびっくりもせず、ただそう聞いた。

「入り方がわからなくて」

そう真面目にいったのに、

「は?」と言われた。は?とはなんですか。

「入り方。だってどのタイミングで入ればいいかわからないし、なんて言えばいいかわからないし。」

と言うと、「考える必要ないと思いますよ」と言われた。真奈斗は何を考えているか読み取れない。

「真奈斗は俺のことどう思ってる?」

と聞くと、

「……疑ってないですよ、けど信じてもないです。弟たちが信じたってことはそれなりの理由があるんでしょうから。だから別に疑ってないです。でも信じてもないです。」

「そっか」

それしか言えなかった。

俺は……何がしたいんだろう。



「入んないんですか?」

真奈斗がそう言う。そうだ、入ろうとしてたんだった。めっちゃ脱線してるやん。

「そうだな、入ろうとしてたんだったよな」

そういって、扉のドアノブに手をかける。

「……待ってください」

手をかけた手を掴もうとしたみたいだが、少し躊躇って、やめた真奈斗。

「………貴方は何をしたいんですか?」

「え?」

唐突すぎてえ?となってしまった。

「どういうこと?」

きくと、

「不思議で仕方がないんです。何でここまで俺らに優しくするんですか?誰目当てですか?」

「は?何勘違いしてるの」

どういうこと?目当てって!恋してるってこと?

「誰も目当てじゃない。いや、みんなが目当て?君らを買い取ったわけは、なんか面白そうだったから。変な理由だけど。俺は俺のこと信じてるから、買い取ったんだ。そして俺は君らを買い取って、その君らのたった一度の人生を無駄にするわけないでしょ?責任もって買い取らなきゃだめなんだよ。命って尊いのと同時に儚いものだからさ。」

「……はい」

返事をする真奈斗の目には涙が溜まっていた。

「まって、俺泣かせるような発言した?え?」

「泣かせる発言しかしてないですよ……っ……バカみたい……何でそんな……そんなんじゃ、騙されますよ。だから……だから……っ、俺が守ってあげます……」

俺は笑ってしまった。

「……ありがと」

ツンツンしてるよね真奈斗って。

「でも、俺は敬語ですから…」

「おけ」

優斗とも仲良くしたいのにな。頑張るぞ!!


扉を開けて、真奈斗と部屋に入った。入るときは勇気いるけど、入ったら何で勇気いるとか考えてたんだろって思った。

みんないて、奏翔が、

「話、ちゃんとしたよ!」

と笑ってくれて安心した。

優斗は、ずっと黙りっ放しだけど、ちゃんと穏便に話し合いできたのだろうか。ちょっと心配になったけど、この兄弟なら大丈夫!という謎の自信が湧いてきて、一人で謎に安心していた。

そして優斗が口を開いた。

「貴方は…ご主人様は危ない人じゃないですか?」

危ないと思っている人にこんなことを聞くなんて変わっているなと思いながら、俺は笑って応えた。

「うん。危なくないよ。」

「……僕は、兄弟が一番なんです。話し合って。みんなが貴方は安全だと大丈夫だと言うので……それで……だから…。信じさせてください!!でも、、もし。手出したらただじゃおかないですから」

敬語とは思えない威圧感。

優斗は本気なんだと思う。本気で俺を信じようとしていて。本気で兄弟を愛していて。本気で…守ろうとしているんだ。それはこの兄弟が歩んできた道を何一つとして知らない俺でさえ。第三者でさえもがわかることだった。

「分かった。絶対に手出さないし、出したら何してもいい。……だから一回だけ俺のこと信じて下さい。」

「……はい」

というわけで、みんなから信じてもらえることに。優斗もタメ口で兄ちゃんってよんでくれるって!くすぐったいんだよね〜その呼び方。



みんなとわかり合ってから少し経ったころ。朝早くに玄関の呼び鈴が鳴る。

「誰だろ」

扉を開ける前に、うちの中で相手の顔を確認。最近のやつはいいね。カメラついてて、確認できちゃうんだもんなー俺の実家はそんなのなかったよ。

確認したところ、知らないやつ。宅配か?いや、だったら言うよな。宅配…頼んでないし。

すると、バタバタ!!と足音が聞こえた。振り返ると、優斗たち兄弟がいた。

「知ってるか?こいつ」

念のため、と思って確認すると。みんな頷いた。知人か?

「友達か?」

「いや……前のご主人だ」

ああ…ひどい仕打ちを受けたご主人か。

やめとこう。無視すると、

「……いないんですか」

と誰かが呼び鈴の向こうで言った。声が聞こえたが、顔は見えない。いや、見せないようにしているのかも。といった捉え方もできる。そしていきなり声を荒げた。

「いるんだろ!主人様に用はないんだわ〜、使用人!使用人の五人ちょっと貸すくらいどうだってないだろ。大豪邸なんだからたくさん人手はいるんだろぉ?」

俺は思う。こいつ、ヤクザだ。

「……ッチ……めんどくせぇやつがきちゃったな……」

俺は覚悟を決めた。出ることにした。ただ、いきなり『はい』とか言ったら無視してたってバレるから、わざと音を立てながら駆け降りるころにした。


どんどんどん!!


「はい……なんですか?」

そしてでた。

「おぉおぉ…大豪邸だからここに辿り着くのも長いのかねぇ?せかしてすまないね」

絶対思ってないだろ。

「いえいえ……どういったご用件で?」

一応来客なので丁寧にはなす。

「最近雇った五人の使用人さんたちに会いたいと思ってね」

「ご家族ですか?ご友人?」

前あの五人兄弟が雇われてたご主人様って知ってるけど。何も知らない風に装った。

すると、このヤクザは答えた。

「私の愛する家族です」

と。

愛してなんかいないだろ。そう思ったけど、言わなかった。

「それで、五人を出してほしいんだけど」

本人たちを見ると、おびえているよう。また、売られるんじゃないかって、そう考えているんじゃないかな。でも大丈夫。世の中、金が全てのように見えて、そうでもないんだってことを見せてあげたい。だって、今この兄弟の家族は……いやこれからも。俺だから。

「わかりました」

俺は、そう答えた。兄弟たちのほとんどは、驚いたような顔をしたが……一人だけは違った。

音。音だけはは違った。

「兄ちゃんたちは、なんでずっと立ってるの?」

「音は怖くないの?前のご主人様」

湊がきくと、音は笑って答えた。

「怖くなんてない。もうご主人じゃないし、それに。今はみんなの兄ちゃんがついてるでしょ?ね。」

と。

音がこんなに信じてくれてるって思うと嬉しくて泣きそうになった。

音が言うと、みんな笑った。こうやって話してる間も外で待たされてんだよな。前のご主人。もっと待っとけって感じだけど。めんどいから早く解決しないとね。

前のご主人の元へ、誰一人も一歩も遅れることなく、みんな同時に向かい始めた。

金や大人の汚い世界を見てきたこの兄弟に、愛の凄さを見せてやりたい。



「こんにちは」

人相悪いなこいつ。

インターホンで見た時もヤクザみたいだと思ったが、やっぱ目の前にするともっと悪い。

「……久しぶり」

手を振るコイツは、やっぱり………。

「……今日はどんなご用件で?」

俺は話を進める。

「この子達を欲しいと言う方がいてね。勿論、相手方は歓迎しているそうだよ。勿論、あなたから買い取るわけだからお金はどうぞ、渡しますよ。損はありません。」

と、彼は言う。俺は、この人の名前を既に知っている。

『京極仁』。

表ではとある企業の社長。裏ではヤクザの番長だ。

それを分かってるやつは山ほどいるだろうが、なぜこいつが消えないか。それは、金があるからだ。金をつかい、口封じをするってわけだ。

セコイよな。

「いいでしょう?それでは、この契約書にサインを」

と、半ば強引に押しつけてくる。

ただ、俺は絶対にしない。

「……損しかないのでしません」

と俺は言った。

「なぜ?使用人くらい山ほどいるでしょうに。この子達より安い使用人五人をプレゼントいたしましょうか?しかも有能、となれば成立しますか?」

「いえ、その条件では全く納得できません」

笑って、笑顔で告げる。

「できるはずがありません。この子達は使用人じゃないのですから。私の家族です」

はっきりと言うが、相手も引かず。

「いえ、私のほうがこの子達をわかっております」

と、相手も強気だ。

「もしかしたら貴方のほうがおわかりかもしれません。優斗も真奈斗も奏翔も湊も音のことも。僕は何も知らないですが、しらないからこそいいんですよ」

「は?」

相手は、は?言い、少し表情を崩したが、またすぐに笑顔に戻る。

「なぜですか?」

とさらに理由を聞いてくる。

「たとえば、貴方が中学生でいじめられてたとします。やり返すことができません。そして高校受験の季節になりました。貴方はどんなところに行きますか?」

そう問うと、言ってほしかった答えが返ってきた。

「離れた場所にしますね。県外とか国外とか。」

「そうでしょうね。私もそうします。だってもういじめられたくないから。この子達も同じです。中途半端に知っているところではなく、何も自分たちを知らないであろう人達のところへ行きたいと思うんです。また新しい。偏見もないところで再スタートしたいんじゃないかなって思うんです。欲しいと言うのはお見合いですよね。適当にどっかの令嬢とでもやらせるんですか?彼らが本当にそれを望んでいますか?望んでいないのに無理矢理やらせるのは、愛していない証拠。都合の良い道具とでも思っているんじゃないですか?そして貴方は彼らにひどい仕打ちをしてきたのに、それを許すと思いますか?私だったら無理です。最愛の人だったとしても、無理でしょう。」

言い終えてから思った。めっちゃ喋ったな。今年で一番喋ってカモしれない。

「……………五人は、お見合いしたいよな?」

YESの解答しかないような聞き方で、五人にきく。なんていうかな。

しばらく…といっても十秒くらいだったかもしれないが、ずっとみんな黙っていたが、最初に沈黙を破ったのは………


真奈斗だった。

「いえ、私はそれは望んでおりません。そして愛する家族と言うのはやめて頂けますか。私の帰る場所はここで、家族は、ここで働いているシェフの方。使用人として働いていらっしゃる方。兄ちゃん二人、弟三人です」

と、はっきり言った。そして俺も「家族」そして「兄ちゃん」に入れてくれてるのが嬉しかった。

「……はは、そうかよ」

京極仁はそう言って、乾いた声で笑うと、「いいよ」とつぶやいた。

「そうやって俺を潰した気でいたらいいじゃないか。優越感のでも浸っていたら?もうすぐ来る彼らに同じことが言えるかい?」

もうすぐ来る彼ら。そいつらを待っていたが、来る気配なし。

と思っていたときだった。


だだだだだだだだだだだっ!


足音が聞こえた。驚いて後ろを振り返ると、そこにいたのは………


「会長………?」

俺が言うよりも先に京極仁が言った。

「……なぜここに…?」

京極が尋ねる。とある企業の社長の京極。そこの会長がきたのだ。

「見つけたんだ、doubtをね」

「doubt?」

京極が聞き返す。

「ああ。お前を逮捕する。」

京極仁は連行されていった。




それからは結構平穏にくらしているが………いつ何がくるか分からない。


「やっぱ俺もいれてこの六人でいると面白いわ!」


そうやって俺が笑うと、兄弟も一緒に笑った。

いつまでも一緒にいようね。俺が守るからさ。

ご主人様とかじゃなくて………、、、



“家族”だもんな。

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