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女勇者と魔王の契約  作者: 流石
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番外編 魔王の独白

とある月のない夜。人を迷わす森の中。暗闇にそびえ立つ魔王城の奥の奥、空気も凍てつき静寂が支配する魔王の間。王座に腰掛け、魔王は思索に耽っていた。


二十年前ー

王国の姫君が五歳にして勇者の資質に目覚めた。神の祝福が眩い光となり国中を包み、ミラルダ姫の全身が輝き慈愛と温もりが人々を照らした。

そして同時刻、ひっそりと魔王の種も蒔かれていた。逃亡奴隷と犯罪者が暮らす貧民街で、泥水をすすりドブネズミとゴミを奪い合う少年。暗黒が舌なめずりしてやってきて、呪怨と恐怖を少年の心臓に植え付けた。


それからの日々、女勇者ミラルダは剣王や一流の魔術師に師事し腕を磨いた。冒険者となってからも数々の偉業を達成し、国中から愛された。

少年はその力を悪魔に付け狙われるようになり、何度も食われ咀嚼されながら汚泥の中生き延びた。両の瞳は光を失い虚無の深淵となり内臓は全て腐敗した。倒した悪魔や魔獣から少しずつ肉と力を奪い、身体はつぎはぎだらけで原形を留めていなかった。

女勇者よ、今の貴様と同じだ。もうほとんど人間だった頃の名残などないわ。

そう一人ごちて見つめた手の先には、指の代わりに目が三つある蛇が舌を出し入れしている。


女勇者よ、貴様ならわかるだろう。勇者と魔王は表裏一体。お互いの存在を常に感じていた。我は貴様がどんどん強くなり、輝きをますのをいつも感じていたのだ。腕をもがれ、足を喰われ、魔獣の生き血をすすりながら。貴様も感じていたか?我が魔界を統一し悪魔を従え大陸を恐怖に陥れていたのを。


そしてついに貴様はたどり着いた。この魔王の玉座に。我は歓喜にうち震えたぞ。恋に焦がれた貴様がやってきたのだ。太陽はおろか一筋の光すらささぬこの魔王城に、輝く光そのものが現れたのだ。

思った通り、いや、想像していた何万倍も貴様は美しかった。癒しのオーラに満ちていた。仲間が死んで怒っていたようだが、その表情すら愛おしかった。そして、ずっと眺めていたいと思った。なんなら世界を全てくれてやってもよかったのだ。貴様にはそれだけの価値がある。だが、貴様は勇者で我は魔王だ。何事もなく手を取り合えるはずもない。だから折るとこにしたのだ貴様の心を。


まもなくだ。貴様は我のものとなる。

我が妻となり、母となれ勇者よ。

※読んでくださり、ありがとうございます。

また途中の女勇者と魔王の戦いについても書いていけたらと思います。身体だけでなく、スキルや称号も奪われていく様を…。

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