1/6
魔王と勇者
魔王は言った。
「勇者よ、世界の半分をやろう。我が下僕となり我に忠誠を誓え。」
女勇者は断った。
魔王の元へたどり着くまでに仲間は全て魔王の手下と相打ちになり散っている。魔王討伐に全てをかけている。どんな誘惑にも心惹かれるはずがない。
「よかろう。貴様が我がものとなるまで、徹底的に嬲ってくれよう。」
魔王と女勇者の戦いが始まった。魔力、スキル、全てにおいて魔王の方が上回っていた。女勇者はボロボロになりながらも伝説の聖剣を手に、魔王に立ち向かった。
「勇者よ、まだ我がものになる気はないか。」
攻撃が女勇者を傷つけるたび魔王が尋ねるが、返事の代わりに剣戟が返ってきた。
だがついに、女勇者は力尽き地に伏した。
魔王は微笑んだ。
「我は貴様を気に入っている。気が変わるまで、相手してやろう。」
魔王は女勇者を手下のスライムに魔王城の外まで運ばせた。
「傷が癒えたらまたやってくるがよい、勇者よ。次は良い答えを期待しているぞ。」