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パートナーX  作者: 蓮浦 氷華
12/17

期限

「どうしたの?そんなに難しい顔して」

机の上の書類とにらめっこを続ける私を覗き込みながら戸張さんが話しかける。

「進路希望調査書ですよ」

「あー、なるほどね」

今のことで精一杯なのに、未来のことを語られても……、と思う。

「その様子を見るに、未来は未定のようだね」

「そうですね……、そろそろ進路を決めないと……」

「と?」

先を促すように問い掛けが来る。

「三者面談が……」

「三者面談か。いつあるの?」

「三日後です」

「近っ!?もうすぐじゃない」

「白紙のまま出しても良いですかね……」

「うーん、それでも良い気がするけどね。急に適当に選ぶ訳にもいかないし」

「ですよね……」

魁晴北高はちょっと偏差値高いけど、一番近い。

梶浦第一は偏差値が同じくらいで、場所も比較的近い。

新里大付属は偏差値的にも近くて、内部進学もあるため魅力的だか……私立校のため金銭的負担が大きい。

唸りながら頭をフル回転させてみるが、さっぱり手応えがない。

「ねぇ、このプリント……」

戸張さんが拾い上げたプリントには、『三者面談のお知らせ』と書かれていた。

「三者面談って、担任、生徒、保護者の三名だよね?」

「そうですよ。……あっ」

保護者、どうしよう。

「あの……」

戸張さんは言いにくそうに、口を開いては閉じを繰り返した。

「この事については……部外者のような私が口を出しても良いのだろうか……」

いつになく弱気が語気から滲み出ていた。

「大丈夫ですよ。……戸張さんは、部外者じゃないですよ。だって……」

その先の言葉は出てこなかった。



先程まで一枚の紙とにらめっこしていたかと思ったら、今度は相対して頭を捻ることになるのだから、未来はとことん分からない。

「最近帰ってきたのはいつ頃?」

「今が十一月ですから……、十月ぐらいですかね」

「行き先は分かる?」

「職場……だと思いますけど」

「働き詰めってことかな?」

「さぁ……、聞いたことがないです」

「連絡先は?」

「まず家に電話がないです。私も携帯持ってないですから」

「勤め先の名前聞いても良い?」

「□□商事です」

「ちょっと待っててね」

そう言うと、戸張さんは席をはずした。




十五分後、戸張さんは神妙な面持ちで口を開いた。

「沖島さんは二ヶ月前に退職してるって」

「ええっ!?」

ガタッ、と椅子が音を立てる。

「じゃあ……、一体どこへ……?」

「分からない。転職したのかもしれない」

「……」

しばらく、沈黙が続いた。

「私、これから……どうなるの?」

誰に届くわけでもない小さな呟きが、翼を持ち、彷徨い続けた。

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