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小噺詰め合わせ  作者: 宮田カヨ
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悲嘆(アデグレ)

心緒より、アーデル・ウィンチャスター×シュメル・グレーゼ。作業bgmはトキメキ☆ボムラッシュ。アデ×嫁前提なのでNL苦手な人は注意!

 アーデルとその隣で寄り添う女はとても幸せそうに笑いながら、周りから送られる祝福を甘受している。

 アーデルが結婚した。相手は、己が生まれる前に没落した家の娘だ。女の両親は自身の家を再建させるためにアーデルに娘を嫁がせ、アーデルの家は女の家全てを取り込むために結婚をさせた。

 誰がどう見ても政略結婚以外何者でもない。

 それなのに、アーデルと女は幸せそうに笑うのだ。

「シュメル」

 己のことをファーストネームで呼ぶのはアーデルだけだ。

「来てくれてありがとう」

「……別に、暇だから来ただけだ」

 己は離れた場所にいた。

 アーデルの結婚式にはたくさんの人間が来ていたが、己はその中の誰とも話そうとしなかった。己が誰かと話したところで意味などないし、相手もそれを理解していた。皆、両親や兄とばかり話をしている。

 愛想のないやつですまない。アーデルが女に向かってそういえば、いいのよ、と女は笑って返した。

 アーデルが女に見せる笑顔は、今まで見たことがないような笑顔だった。己に見せるそれとは違って、心底愛おしげでこれ以上の幸福などない、という顔をしていた。

 己はそれが辛かった。

「……祝福はしておいてやる。さっさと他所へ行け」

「ああ、ありがとう」

 アーデルと女は、他のやつのところへと向かっていく。本当なら己なんて後にして他のやつのところへ行かなければならないのに、アーデルは己を優先させた。あのまま話を続けていたら、アーデルの立場を悪くさせてしまう。それに、これ以上二人を見ていたくなかった。だから、無理やり話を切り上げた。

 花婿姿のアーデルと、花嫁姿の女の後ろ姿を見つめる。

 もうあの頃には戻れない。寄り添いあう二人の背を見て、己はそう思った。

 アーデルと己は、もう二度と交わらない。住む世界が違う、そう認識した。

 震えて泣いていた己を慰め、助けようとしてくれたアーデル。いずれこうなることはわかっていた。だったら、あの女に敵わなかったとしても言うべきだったか。

 次に会うときは、きっと己たちは他人同士だ。

 幸せそうに笑うアーデルの顔を見つめて、己は静かにその場を離れた。


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