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小噺詰め合わせ  作者: 宮田カヨ
14/21

胸の内

心緒より、ニュイ独白

 見ないで、犯さないで。俺の心をこれ以上踏み荒らさないで。

 ニュイは自分の体を抱きしめ、叫ぶように言葉を吐き出した。

「嫌だ、もう傷つきたくない……! ……みんな、俺のことを悪く言う。起きていても、眠っていても」

 もう責めないで、俺のことを悪く言わないで、どうしたら許してくれるの。

 懺悔室に響くニュイの心の内。夜遅いため、それを聞くものはいない。ニュイは泣きながら言葉を続ける。

「俺だって、好きで戦ったわけじゃない……! でも、父さんを助けるためにそうしないといけなかったから……それなのに、助けるために取った行動すら許されないのか? 神様、もしあなたがいるならあなたはひどい。俺が一体何をしたんだ……!」

 涙が膝に落ちる。ニュイは包帯が巻かれた自分の腕に爪を立てる。

「ただ幸せになりたかった……作家になりたかった……家族や友人と共に過ごしたかった……愛している人と穏やかに共に暮らしたかった……それすら、俺には許されないのか……?」

 ニュイは顔をあげる。涙は頬の傷を伝う。

「もう殺してください……自ら死を選んでも、あの時、俺を死なせてくれなかった。なぜ、なぜ俺は……生きなければいけないのですか?」

 生きていたくない、もう嫌だ。

 一度、命を自ら絶とうとした。それでも死ねず、シスターに生かされた。自ら死んではいけない、と言われて命を立つことを禁じられて。

 子供たちは自分を慕ってくれる。しかし、大人はそうはいかない。皆、自分へ憎悪を向ける。それで罪滅ぼしになるなら、受け入れるしかない。殴ることで気が済むのなら、大人しく殴られなければならない。

 けれど、もう限界だった。

「俺が、全部悪いの……?」

 ニュイは泣き叫ぶ。


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