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上限解放で至れる最強  作者: 真のユウ
プロローグ
8/69

№8

橘に罪を償わせるために色々考えたが、結局いい案は出てきていない。


今やっていることといえば体を鍛えていることぐらいだ。だがそれもつけ刃に過ぎず真正面から戦おうとも敵うわけがないため、行き詰っている。もうそろそろで俺は三年になってしまうから急がないといけないし、それによる焦りも出てきている。


妹もいまだに話すことはなく良くなっているようには見えない。父や母も妹の件から立ち直れておらず家族の雰囲気は暗い。


凛は新チームをまとめていくために部活動が忙しいらしくここ2か月ほど関わっていないし、堅持とは、俺自身が避けているため全く顔を合わせていない。


正直色々な策を考えても橘に通用するとは思えないものばかりだ。だからこそ悔しい、どんなに策を考えても権力や金には勝てない。せめて一対一で戦って悔い改めさせたいが、どんなに鍛えても生まれつきの体格で勝てない。


そんなことを考えながら妹の病室に入っていく。

病室に入り妹の元にいくと何故か涙が出てきた。妹のために何もしてやれず、守ってやることもできない。そんな自分が嫌で、憎くて...


「ごめん。ごめん。ごめん...こんなお兄ちゃんでごめん..なにもしてやれなくて....」


俺は泣きながら妹に対して謝り続けた。

こんなに近くにいるのに話すことができない。笑わすことも、遊ぶことも、買い物に行くことも。

もっと俺が妹のことを気にかけていれば、未然に防げたかもしれないことだったのに...


そんな俺の様子を見かねてか妹の手が俺の頭をそっと撫でる。

俺は顔を上げ妹をみると申し訳なさそうな顔をしていた。その表情をさせていることに、さらに俺は申し訳なくなってくる。


「お兄..ちゃん.は、なにも悪く...ないよ。だから、思いつめ..ちゃダメ.だよ、わかった?」


久しぶりに妹の声を聞いた。何か月も声を出さなかったからか、声は小さく、絞り出すようにか細い。

何もしてやれなかったのに慰めてくれる妹に対して申し訳なくて、涙がさらに流れてくる。


その日は結局、妹に頭を撫でられながら泣き続けた。



次の日俺は、学校で橘にひたすらに殴り掛かった。


せめて一発でもいいから殴って一泡吹かせてやりたくて朝から放課後まで休み時間や昼の時間も、先生に止められようともずっと。だが最後まで一度も殴ることができず、毎回返り討ちにあい保健室に運ばれていた。


そんな俺の行動を堅持や凛などは止めにきたが、それすらも無視して俺は挑戦し続けた。そうでもしないと妹に合わせる顔が無くて...


そんな日々が続くにつれて俺の体に痣が増えていき、両親や、あの日以来少しづつ話始めた妹に心配されるが、そんなことはお構いなしに俺は橘に向かっていった。


毎回向かってくる俺に初めは面白がっていた橘だが、最近ではめんどくさがっているのか、俺がもう立ち上がれなくなるほどにタコ殴りにしてくるようになった。


「お前マジでめんどくせーんだ、よ!!」


俺は腹を殴られうずくまる。


「まったく、お前さえいなければ陽葵は俺のものだったのになー。お前、邪魔だったんだ、よ!!だから自殺に追い込むために凛との誤解を使って色々したのに自殺しねぇーし。だから直接陽葵に手をだしたわけ。わかる?」

橘は笑いながら俺を蹴ってくる。


「いやー、泣きながら『お兄ちゃん、お兄ちゃん』って言ってるのは興奮したわぁー。今思い出すだけでもゾクゾクするよ。ハハハハハ!」


悔しくて悔しくてしょうがない。今すぐ殺してやりたいほど憎い。でも俺は手も足も出ずうずくまったまま。結局橘はそう言い残し帰っていった。目の前に敵がいるのにそこまで手が届かない、そんな状況に絶望しかけてきた。


俺は痛みが引くのを待ちながらボーっとする。


目の前が真っ黒になり何も考えることができない。


何分か、何十分かわからないがボーっとしていると教室に凛が入ってきた。凛は俺の姿をみて心配してきたけど俺は大丈夫だといい教室から出ていこうとする。そうすると


「今から、陽葵のお見舞いに行ってもいい?」


と、聞いてきた。凛は妹が話始めてからまだあっていなから妹の様子が気になるのだろう。


「俺が決めることじゃないから、行きたけば行けばいい」

俺がそう素っ気なく答えると、俺の横に立ち二人で病院に向かった。多分妹は凛が来たら喜ぶんだろうなと思いながら...



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