№7
妹が目を覚ました後何を聞いても答えず、目の焦点もよく合っていない。そんな妹が心配で、そのまま俺や父、母は朝になるまで妹に寄り添っていた。
父は昨日に引き続き警察署にいって、俺や母は妹をつれて病院に連れていく。
妹の診察を女医師に頼み診察してもらった結果、妹は精神的に大きなダメージを受けており、入院して治療したほうがいいと言われ、そのまま妹は入院することになった。
それからというもの毎日母は妹の元を訪ねており、俺も学校が終わると妹の病室に訪れている。警察が話を聞きに何度か尋ねてきたが、それでも妹は話すことがなく何があったのか全く分からない状況のままである。
俺は、平太や平太に指示を出したやつがいるならそいつが怪しいと思っている。だが、俺一人で調べても限界があるため、俺は凛にも協力してもらえるように頼んだ。
「わかった。私も何人かに協力してもらえるように頼んでみる。」
「ありがとう!」
そういい俺は頭を下げた。高校にあがってからは妹と関わることはなかったが、その前までは仲がいいと近所では有名だった。だからこそ最近では話もしていなかったが、妹がこんなことになってしまった元凶が憎い。...絶対に犯人を見つけ出す...
そう心に誓ってから何日かたったが、警察も最初は熱心に調査をしてくれていたが調査が進まなかったからなのか、訪ねてくることはなくなった。
また凛が頼んで協力してくれていた人たちも日が経つにつれて減っていった。最終的には、俺と凛の二人だけで何があったのか調べるが、警察が調べても無理だったことが俺らにできるわけがなく行き詰っていた。
____ザザザザザザーー、ザザ、ザザザザ、ザー______
???「そうじゃない」
またあの音だ。最近またよく聞こえてくる。しかも今回は声が聞こえてきた気がする。
(そうじゃない?どういうことだ...)
何故かその言葉が気になってしょうがない。
(犯人は妹の同級生の誰かだと思っていたが、そもそもそれが違うのか?)
そう思い俺は初めから考え直した。関係ないようなことにも意識して...
俺と凛のことで誤解だと広めたあとでもいじめ的なことを俺にしてきたこと、そしてそれがパッタリと止むこと。止んだと同時に妹に平太が言い寄りはじめたこと、そして平太はクラスでいじめられている。
これまでのことを一つずつ上げていくとどこか繋がりを感じる。それと同時に疑問も...
もし妹の同級生がこれらのことをやっていたとして、なぜ俺の下駄箱の場所が分かる?なぜ俺の鞄に入っている弁当を隠せる?自分で言ってはあれだが、ただでさえ友達は片手で数えられるほどしかいないし、俺の同級生でも俺のことを知らない人もいるから、妹の同級生なんて俺の存在すら知らないと思う。
そう考えるとそんな事ができるのは俺のクラスメイトが条件に当てはまる。
さらに、警察が急に捜査をやめたことや、凛が頼んで協力していた人が急に協力することをやめたこと。それらを込みして考えると一人だけ当てはまるやつがいる。
それは同じクラスにいる問題児、橘一明。橘グループの御曹司で今まで起こした事件は金と権力で力尽くで解決してきた男だ。さらに橘自身格闘術をやっており誰も止めれる人がいない。だからこそ橘に歯向かう人はおらず、何をしても大丈夫だと思っている節がある。
もし今回の犯人が橘だとしたら、俺に対するイジメのことや、警察が急に捜査をやめたことや協力者が辞退していったことに納得がいく。つまり橘グループの権力で脅したのだ。
だが、俺にはそんなことは関係ない。妹をあんな風にしたやつが橘だとしても絶対に許さない。
俺はそう思い、学校で橘に聞いてみることにした。
「橘、お前俺の妹の事件について何かしらないか?」
怒気をふくませ強気に聞いてみると
「知っている...と言ったらどうする?」
橘はいやらしい笑みを口元に浮かべ言ってくる。俺はそんな態度を見てこいつが犯人だと確信し、それと同時に憎しみが膨れ上がってきた。
「てめぇー!!!」
俺は自分の気持ちのままに叫び、橘に殴りかかろうとする。しかし、今までろくに運動すらしてこなかった俺が敵うわけがなく
「うっ!!!」
逆に顔を殴られ倒れこむ。そんな様子をクラスメイトは見ているがその視線に含まれているのは哀れみのみ。みんな橘に目を付けられるのが怖いから見て見ぬふりをする。湊、慶、結愛でさえも...
「お前がなにをしようが俺に敵うわけないだろ。ハハハハハ!」
そう笑って、橘は俺の横を通って何処かにいってしまった。悔しくてたまらない。だがそれで止まってしまっては妹に顔むけできない。だから、すべてを犠牲にしてでも罪を償わせる。
___ザザザザー、ザザザ、ザザザザ、ザー____
???「このままだと...」