№6
久しぶりに妹と一緒に帰るが会話はない。正直気まずい。そう思って何か話そうと考え、口を開こうとしたとき
「お兄ちゃんは...忘れちゃったの..?」
急にそんなことを聞かれた。
「何のこと?」
何についてか全く心当たりがない。これでも記憶力は人並みよりはあると自負しているんだが。
「お姉ちゃんのことだよ?」
お姉ちゃん...?全く分からない。
「俺らは二人兄妹だろ?お姉ちゃんなんていたことは無いじゃんか」
そんな俺の言葉に妹は首を振る
「そういうお姉ちゃんじゃなくて、親戚のお姉ちゃん」
親戚のお姉ちゃんと言われても心当たりがない。
「そんな人いたか?」
俺の言葉を聞いた妹は悲しそうな顔をしていた。
「やっぱり覚えてないよね..。結衣って名前なんだけど」
何故だか結衣という名前を聞いた瞬間とても悲しい気持ちになった。それと同時に頭痛がし、眩暈がし始めた。
____ザザザザザザ、、ザザ、ザー。ザザザ_________
変な音まで聞こえ始めた。まるで誰かに思い出すなと言われているほど結衣という人について考えると音が大きくなる。
そんな俺の様子を見て妹は謝ってきた。
そのあとは結局話をすることもなく家に着いた。家に着くと母に妹は詳しい話を聞いていたが、俺自身、結衣という人物が気になり詳しい話を聞そどころではなかった。
次の日から妹は、1週間程、念の為部活動を休み登下校は俺が付き添うことになった。そして、俺は早く妹が部活に復帰できるように、また今回のようなことが起きないように、職員室に行って男子生徒の情報をもらったり、堅持や凛にも手伝ってもらい男子生徒について調べまわった。
そうして分かったことは、名前が佐藤平太。部活には入っておらず、勉強も運動も平均程でどこにでもいるようなやつだ。だが、クラスの人からイジメのようなことを受けているらしく、もしかしたら誰かに言われてやらざるおえなっかったのかもしれないと俺は考えている。しかし、誰がこのような指示を出したのかわかっていないため自分の意志でやったのかもしれないが。
それから一週間たったが何も起こることがなく、妹は部活に復帰した。
妹の部活復帰から数日たったある雨の降る日、いつもはどんなに遅くても20時頃には帰ってきていたのにその日は20時を過ぎても帰ってこなかった。
俺や両親は心配になり雨が降る中、下校道や学校まで探しにいったが妹が見つかることはなかった。何かの事件に巻き込まれたのか、それとも平太、もしくは平太に妹の部活着を盗むように指示をしている人がいてソイツが何かをしたのか...
ただ今はそんなことを考えている暇などない、妹の身が心配だ...
その後も家族総出で探し回ったが見つかることはなく一旦家にあつまり警察署に行こうとなり、家を出ようとしたそのとき
ガチャ...
扉が開き、雨に打たれていたのか、びしょびしょの妹が帰ってきた。
所々制服が乱れており、顔はうつむいて表情は見えない。そんな妹に声をかけようとした瞬間、抱き着かれた。耳元では妹のすすり泣く声が聞こえて、俺は妹を落ち着かせるために優しく受け止めた。
それから5.6分ほどそうしていると妹はそのまま寝てしまい、そんな妹を母が抱え、体を拭いて着替えさせると言って運んで行った。父は妹の姿をみてすぐに警察署に向かう。
そのあとすぐに母が妹の着替えが終わったようで、俺を妹の部屋に呼ぶ。部屋に入ると妹はベットの上で寝ておりそんな妹の手を握っている母の横に俺は座り込む。そうやって妹の様子を心配しながら見ていると、父が帰ってきたようで部屋に入ってくる。それと同時に
「...う..うぅ...」
妹は目を覚ました。