№4
結局昨日はあのまま朝まで寝てしまった。やはり精神的にきていたのだろうか。そう思うと学校に行くのがすこし億劫になるが、何となくだが行かなければならないような気がする。
今日は昨日のことがあったからなのだろう、いつもの登校と違って大勢の学生からチラチラと視線を感じる。中には俺のことを話しているのかこっちを指さしながら話をしている集団もある。
そして自分の下駄箱につき上履きを出そうとすると、中からゴミが流れ出てきた。
(はぁ~..ついに直接やってくるやつが出てきたか...)
そう思いながらも気にしないようにし、上履きを出そうとするが下駄箱のなかに入っておらず、しょうがなく職員室に行きスリッパを借りて教室に向かう。
教室に入ると何人かのクラスメイトがこちらを見てきたが気にしない。
そして自分の席に座り鞄から荷物をだしていると堅持が話しかけてきた。
「なぁ、昨日のやつは誤解だって訂正しなくていいのか?全校生徒の殆どが昨日、お前が凛のことを振ったって思ってるぞ。早めに訂正しておかないと後がヤバくないか?」
深刻そうな、そして俺を心配してる表情で言ってきた。
(まぁ確かに...早めに訂正しないともっと過激になってくるかもしれないしな)
そう思い俺は凛の元に向かう。その行動にクラスメイト達の憎悪の視線は一段と強まるが、そんなことも気にせず、俺は凛に話があるといい廊下に連れ出す。
「それで話って、陽葵のことで何かわかったの?」
凛はせかすように聞いてくる。
「その話についてじゃない」
そういうと凛は訝しげにこちらをみてきた。
「昨日の朝の俺らの会話の内容をみんなが誤解して、それが全校に広まってる。だからそれが誤りだと皆に広めてほしい」
そう頼むと凛は俺が何を言っているのわかってない様子で、どういうことかと聞いてきた。
「簡単に言えば、凛が俺に告白してそれを俺が断った。という風に広まている。ハイスペックでも何でもないただのモブである俺に、学園の二大美女を振ったとなったら周りからは良いようには見えない。だからそれは間違いだとなるべく早く広めてほしい。俺が周りの人になにを言ったて聞く耳をもってくれなと思うし、信じてくれないだろうからな」
凛は俺の話を聞きすぐに実行してくれた。
そのおかげか分からないが、勘違いだったということが全校中に広まっていったが、全員が全員それを信じるということはないようで、中には直接色々とやってくるやつはまだいる。それは凛に訂正するように頼んだあの日から15日程たった今でもだ。
下駄箱にゴミが入っているのは毎日で上履きは今も出てきていないし、移動教室から帰ってくると弁当がなくなっていたり、廊下を歩いているとわざとぶつかってきたり、たまにぶつかりながら腹を殴られたりと、なぜたったあれだけの誤解でここまで出来るのか謎でしかない。しかも上履きや弁当を隠しているのが誰だかわからないし、ぶつかってくるヤツも毎回違う。正直痛いのは嫌だが、時が経てばそのうち収束すると思っている。
変化が訪れたのはそれから一か月ほど経ったときだ。俺に対するイジメのようなものは、ぱったりと止んだ。急に止んだから裏があるのではと思うことは最初はあったが、その後も俺の身には何も起こることがなくなった。それからというもの凛とも関わることはなくなり、前までと変わらない日々を送れていた。
___ザザザザザザザザ、ザザーーーザザザザ________