№1
初投稿です!優しい目で見てください!!
この世は不公平だ。
何故か、それは生まれた時にほとんどの生涯が決まるからだ。
家庭環境、周辺環境、それらによって形成される性格や遺伝子による身体形成。どんなに努力しても根底からは変えることはできない。しかも恵まれている人はどこまでも恵まれているし、恵まれない人はどこまでも恵まれない。
だからこそどこにでもいるモブのように平凡に過ごし、そして平凡に死んでいく、そんな人生だと思っていた。あの時までは...
「...朝か...」
カーテンの隙間から太陽の日が差し込み外からは鳥のさえずりが、一階からは家族の生活音が聞こえてくる。
今日もまたいつもと何ら変わらない日が始まった。そう思った時に階段を駆け上がってきて扉をノックする音が聞こえてきた。
コンコン...
「お兄ちゃん起きてる?朝ごはん出来てるよ!!」
今日もまた妹の陽葵が起こしに来た。
「わかった、今行く」
妹は俺の返事が聞こえたからなのか階段を降りていく音が聞こえてきた。
ベットから出て階段を降りていくと母は洗い物を、父はスーツに着替えていて、妹は朝ごはんを食べている。
「早く朝ごはん食べなさい。学校に遅刻するわよ?」
母が洗い物をしながらそう言ってきたため、俺は妹の隣に座り朝ごはんを食べ始める。
「ごちそうさまでした。お母さん!今日も部活あるから帰るの遅くなる!!じゃあ行ってきまーす!!」
妹はバスケ部に入っており近々大会があるそうで、その練習で朝早くから練習している。
俺はというと帰宅部に入っており習い事も何もやってない。まぁ所謂陰キャのようなものだ
「私も会社に行ってくるよ。今日は残業する予定だから遅くなる」
お父さんもそろそろ仕事に行くようだ。
「冷蔵庫に晩御飯を入れとくからチンして食べてね。いってらしゃい」
さて、妹やお父さんも行ったことだし、そろそろ支度して俺も学校に行くか。
支度を終え、家を出ていつもと変わらない登校道を歩いていく。家から高校まで歩いて10分ほどの距離。
高校に近づくにつれて生徒が多くなってきており、カップルで登校している人もいれば女子たちで固まっている人、スマホをいじりながら登校する人、自転車で登校する人、前に友達がいることに気づいたのか声をかけに走り出していく人。そんな多くの人が居る中、俺は誰にも声をかけられないまま一人で教室に向かっていく。
教室の中からはクラスメイトの楽しそうな話声が聞こえてくる。
そんな中俺は後ろのドアから教室に入っていくが誰も俺に話しかけにくる人はいないし、気づいてすらいない様子だ。だが、そんな様子を俺はどうとも思わない。
俺自身クラスメイトと関わろうとは思っていないし、自分から話しかけにいこうともしない、身長も大きい訳ではないしイケメンな訳でもないから空気のように扱われており、高校2年にして友達は片手で数えられるほどしかいない。
窓際の列の真ん中ほどにある自分の机に座り鞄から荷物を出していると
「相変わらずあいつら朝からスゲーよな」
と後ろから声をかけられたが、俺は振り返らずに友達の堅持に
「俺達とは違って容姿端麗で頭もいいから、そりゃあそうだろ」
と答える。
俺らが話している人が誰かというと男二人女二人の集団のことで、簡単に言うと物語の主人公になり得る人たちだ。
金髪で一番目立っているのが、ファンタジー世界があるなら勇者になるだろう神野アルフ湊。スウェーデンと日本人のハーフ。家はそこそこのお金持ちで人当りが良く、学校1のイケメンと言われファンクラブが他校にもあると噂されている。
体格が良く短髪で湊に続くイケメンの京極慶。特定の部活には入っていないが色々な運動部から勧誘や助っ人を頼まれているほどの運動神経を持つ。勉強は平均ほどで所謂脳筋だ。
ポニーテールでスレンダーな体型の成瀬凛。勉強も校内順位の上位に入るほどであり、妹の入っているバスケ部のキャプテンでU-18の日本代表に入っている。後輩の女子たちからはお姉さまと言われている。
眼鏡をつけており肩ほどの髪の長さで男子受けする体型の加賀美結愛。運動はあまりできないが頭がよく全国模試でも上位二桁に入るほどの秀才。校内だけでなく他校の男子からも告白されるほど美女だ。
そんな風なことを考えていると堅持が
「一度でもいいから凛や結愛とデートしてみたいよなー」
と言ってきた。正直頭おかしいんじゃないかと思う
「そんなことできるわけないだろ。できたとしても後ろから刺されるぞ」
そして俺の言ったことが想像できたのか堅持はうつむいて暗くなる。
「だよなー..。てか、お前も男ならあの二人と仲良くなりたいだろ?」
普通の男なら同意するんだろうが、俺は
「仲良くなりたいとは思わないな」
正直関わりたいとは思わない。いや、関わりたくない。
「そういえばお前はそういうやつだったな」
堅持は気まずそうに言ってくる。
「すまんな」
俺はそんな堅持に冗談交じりに謝ると
「いや、別にいいけどな」
と堅持は笑って言ってきた
___ザ、ザザー、ザザザ___
「なぁ、今なんか変な音聞こえなかった?」
俺は何か聞こえたようなきがして堅持に聞いてみたが
「そうか?俺は何も聞こえなかったけど」
そう言った堅持の表情は嘘を言っているようには思えず
「そうか...気のせいだったわ」
気にしないことにした。
その日は結局あれ以降、あの変な音は聞こえず終わっていった。