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彼の彼女はヴァイオリン  作者: 佳景(かけい)
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-5-

 次の日。

 

 私はちょっと緊張しながら学校へ行った。


 『だいちゅう』が来たら、一言「ごめんね」と謝る。


 ただそれだけのことなのに、ちゃんとできるかわからなかった。


 何しろ相手があの『だいちゅう』だ。


 みんながいる前で近寄って行くのは勇気がいる。


 あんな奴に謝るのは口惜しいけど、このまま謝らないのもちょっと気持ち悪かった。

 

 私は『だいちゅう』に謝る自分を何度もイメージしながら、少しぎこちない足取りで階段を上ってく。


 三階まで上がって廊下を歩いてると、教室のドアが見えてきた。


 思わずごくりと唾を飲み込む。


 こうなったらさっさと済ませよう。

 

 私は心にめいいっぱい勢いを付けると、教室のドアを一気に開けた。


 一騎打ちを挑む戦国武将みたいな気持ちで『だいちゅう』の席に目をやったけど、そこは空っぽ。


 まだ来てないみたいだった。


 やる気が力一杯空回りした私は何でまだ来てないんだとムカつく一方、ちょっとほっとする。


 でもきっと休みじゃないんだろう。


 入学からこっち、『だいちゅう』は多分一度も学校を休んでない。


 今じゃなくて後で謝らないんだといけないと思うと、また面倒になってきた。


 物事ってどんなことでも自分にとってベストなタイミングがあって、それを逃すとはっきり言ってやりたくなくなる。


 『だいちゅう』はまた教室でヴァイオリンを弾くだろうから、謝るのはその時でもいいかも知れなかった。







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