24話
マロンとの決戦から10日が経過した。
あのあと2日間掛けて荒野とかした街でイルスを探したが、ついにイルスが見つかることは無かった。
館があった場所にも行ってみたのだが、やはり何も残っておらず、最終的に分かったのはイルスとマロンのどちらかが爆発に関わっているということだけ。
「それにルフィアの情報も聞けなかったな」
イルスの部屋に飾られているルフィアの手配書を見ながらそんなことを考えていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえ、「失礼します」という声とともに一人の女性が入ってきた。
灰色の髪に紫色の瞳を持つその女性は、部屋に入るとそのまま一礼をして、
「ルーラ様、旅の準備が完了しました」
と言う。
彼女はイルスが俺を守るように指示したゴーレムのうちの一体で、名前はシルヴァ。
あの日、爆発で生き残った唯一のゴーレムで今は俺の側近メイドでもある。
俺は最初、シルヴァをここに置いて一人で旅に出るつもりだったのだが、彼女曰く「マスターが死んでも受けた命令は無くならない」とのこと。
つまり、イルスが命令した〝ルーラの役に立て〟という命令は生きていたのだ。
俺はそれでも最後まで悩んだが、最終的にシルヴァ本人の希望と、少女の体一人で旅するよりは大人に近い女性が一人でも居た方がいいことに気づいて、側近メイドになることを許可したのだ。
「そうか、先に荷物を持って外に出て待っていてくれ」
「かしこまりました」
シルヴァは俺に一礼をすると、そのまま「失礼します」と言って、部屋から出ていった。
「本当に色々あったな……」
北の魔女と出会ったかと思えば少女の体と入れ替えられ、助けてくれた人が吸血鬼かと思えば、西の魔女と協力してその吸血鬼を倒したりと、数日間で経験するには濃厚すぎる日々だった。
北の魔女と……ルフィアと出会わなければもしかしたらこんなに濃厚な日々は味わえなかったのかもしれない。
だけど、それに感謝するつもりはない。
むしろ今すぐ体を元に戻して平穏な日々を送ることを望みたいし、そのために俺は自分の体を取り戻す旅に出るのだ。
イルスの部屋の壁に貼ってあった手配書を剥がすとそれを背負い袋に詰めて、イルスの家をあとにする。
ダンジョンの外では、小さな馬車の前でシルヴァが俺のことを待っていた。
「すまない。待たせたな」
「いえ、先ほど荷台に荷物を詰め込み終わったところですので」
「それならいいんだが……。ああ、それと俺は御者やったことないんだが、御者はシルヴァに任せても大丈夫か?」
「はい、任されました」
俺はそう言うと馬車の中へと乗り込む。シルヴァは俺が馬車に入ったのを確認するとドアを閉めて御者席に座る。
「最初は特に揺れると思いますのでご注意ください」
シルヴァはそう言うと、馬を叩いて馬車を発進させる。
「うお、確かに揺れるな」
最初はゆったりと動くから馬車内はあまり揺れないと思っていたのだが、これは訂正しなくてはならない。思ったより揺れる。てか吐き気がする……。
急いで俺は窓を開けて換気をすると、ついでに窓の外の景色を眺めることにする。
外の景色は馬が本格的に走り出したこともあり、そこそこの速さで流れていくが、しばらくはこの木々が映っていることだろう。
「待ってろよ……ルフィア…………!」
移り変わっていく景色の中、俺は小さな声でそう言うと、窓から胃袋の物を吐き出した。
1章最終回を見てくれてありがとうございます。
今回で1章は終わり、本当だったら2章へと進むはずの物語だったのですが、本日で小説家になろうでの作家活動を終了することになりました。
Twitterや活動報告にて、事前に報告はしていたのですが、またもこのような結末を迎えてしまって申し訳ございませんでした。
ただ、小説を書くこと自体を辞める訳ではありませんので、もしこの『傭兵を探して旅をする』の続きを書く機会があれば、その時はまた小説になろうでの作家活動を再開して、完結まで書かせていただこうと思います。
それでは、皆様に良き出会いがあることを願って締めさせて頂こうかと思います。
さよなら、ばいばい!
追記
話数が分かれていることは兎も角文字数で見れば、読み切り作品として行けることに気づいてしまいましたので、こちらお恥ずかしながら読み切り作品とさせて頂きます。それでは今度こそ、さよなら、ばいばい!




