時間差異世界転移:私だけ一年前にすでに着いてたんですけど?え、あ皆さん今着た感じですか。っておい再召喚かよ!
私の異世界転移は、一人時間差だったみたいです。
突然ですが、私異世界召喚されました。
小説世界ではかなりメジャーな感じですね、私もよく読みます。
さて、ここで私一言叫びたい・・・
「なんで私だけっ」(小声)
空気読める子なんです私、なのでこの
王様や王子様方の
「異なる世界の客人達よ」
「どうかこの世界を救ってほしい」
などなどのお馴染み発言に食い込むことはしません、
極力、空気とかしていたいと思います。
王族方の話をまとめると
・この世界は魔族と人族との戦争の最中である
・この世界には、魔法と呼ばれる不思議な力があ「あーはいはい、魔法ね~
うちらの世界にはなかったけど、あったから詳しくは説明いらないっすよ」
(って、なんか勇者(笑)がいるんですけど?!
いやいやリアルなんだから聞いとこうとかないの!え?
他の人たちも苦笑でおわり?!
・・・・いやいや、わかったわコレ、
私含めて全員似た知識持ってる集まりだきっと)
・近頃魔族に押され気味
・他の国は使えない
そこで一縷の望みをかけての召喚を実施
その結果がコレ
私を含め合計36名色々な方々が召喚された様子
「他の世界から招かれた(いやいや誘拐ね)過去の客人達も
この世界の素に触れることによって望む力を手に入れることができた」
と真っ黒の長いローブを着たおじいちゃん(多分魔術師とかのえらい人っぽい)
これから儀式とやらで
私たちに力を望んでもらってその力を覚醒させ魔族からこの城、
もとい王都を守ってほしい
とのことらしい。
「まぁ、嘘なんだけどねぇ・・・」(小声)
これまたよくある話の流れだが、この世界では魔族と人族が争っている
だが大々的な戦争は起きてない
悪魔は享楽的な、ってか下半身の本能に忠実な感じの種族だ、しかも美形ばかり。
人間は快楽に弱い、すぐに流されてしまう、
だからまぁあれだ結婚を約束してたり、結婚してたりな相手が魔族に誘惑されて
ポロポロ落ちてくもんだから、残された方は恨みを抱く
んで、私は知っているこの国「アディレンド王国」の王子が婚約者を寝取られて
しまい魔族を恨んでいることを、そしてこの国の王妃、王女がすでにポロポロっと
落ちたらしいとの噂を、いやいや王族でしょ?って思わなくもないが
しょうがない魔族は見た目は素晴らしく、女性の扱いがバリうまいらしいからね。
でも、様はあれだ完璧なる「私情」で、魔族を痛めつけたいから
その戦力を自分たちではない私たちで賄おうとしている、ってのが真実っと。
ここで王様が王座から立ち上がり
「どうかっどうかっ浚われた王妃と王女を助けだしてほしい!」
と叫びだした、色々話してて感情高ぶりすぎたのかな?
(あー噂本当なんだ、魔族に惚れちゃって王妃と王女がついてっちゃったって言ってたな~)
さらに王子が
「エリアリナを!私の婚約者を!」とか叫んで、あ、泣き出した。
他の王子方が(あと二人いる)慰めている。
「任せてください!王女様は必ず救いだしてみせますっ」
とどっかの勇者(笑)がこれまた定番の台詞を言いだし、それに付随して
大体みんな乗り気になってきている様子。
あ、これあれだ精神支配系の魔法が使われてるっぽいな・・・
ん、なんだか場が混沌としてきたので、
とりあえず、ここで私について少し話そうと思う
さっくり言うと、私は約一年前にすでにこの世界に来ている。
詳しくは・・・まぁ、機会があればいつか話すこともあるかな?
それはそれは怒涛の一年間だった!!!とだけ
まぁ結局、もうあっちの世界に未練はない、私はこの世界で
私だけを思ってくれる人とも出会えたし、一部全然思われたくない人?魔族達にも出会い
誰かに勝手にされるような弱い自分も変えられた。
大切に思える子たちにも会えた。
だが、しかし!なんで今更私はこの場に召喚されなきゃならないんだ!
なんか、皆さんの感じ見てると召喚されたのは正に今であって長い間どこかに
放浪していた感がなかった、恰好も・・・
「彼と映画の約束してたんだけど~時間経過系はどうなる感じ~?」
とか
「買い物途中だったんですが、いつ帰還の儀できますかね?」とか言ってた人たちいたしね。
・・・あれか?私だけか?
私だけ、先に着いちゃってたけど改めて合流的な?
そんな感じだ。
「なんで私だけ時間差あんだよ!(小声)」
服も着ていたやつじゃないわ、むこうで良く来てた
スキニータイプのジーパンに白のトレーナーだ。
よく覚えてないけど最初にこっちに来た時こんな恰好してたわ、そういえば。
あと、メガネ。これはもう必要なくなってんだけどな~
さて、やっかいな事に、この世界の魔法には転移系のものがない。
神だけが操る事が出来る禁忌だそうだ、
転移系魔法には必ず時間の流れの干渉が起こる
らしく、できないらしい。
(まぁ確かに時間操作系はややこしいことになりそうだしね~)
ここから私が暮らしていた国までは、大体馬車で2週間くらいかかる。
私のかわいい子たちとであれば数時間。
(あぁ、こっちの世界に来てからこんなにあの子たちと離れた事はなかったな・・・)
とぼんやりしていたら、話に乗り遅れるところだった様だ
どうやら儀式とやらを始めるらしい
「でわ、皆様今から担当の神官が参ります、それぞれに皆様専用の秘石をお渡し
しますので、今一番自分に必要だと思う力を心の奥底から深く深く創造してください」
こうして
総勢36名の異世界人による、能力創造の儀式が行われることとなった。
それぞれやたら顔の良い神官たちによって渡された丸い水晶みたいな透明な石を
両手に捧げ持たされる、大きさは野球のボールくらいだろうか。
しばしの沈黙のあと
偉そうなおじいちゃん黒ローブが「さぁ・・・思いを言の葉に!!!」
「風よ!」「母なる大地に芽吹きしっ」「たそがれ~」
「光の~よ!」「雷帝よりきたるる~」「エンゴク」
「炎をまといて~!」「聖なる守りてたる~」
「漆黒と~」「すべてをつつみし~」「優しき水の精霊よ~」
(まぁ色々と・・・皆さんやっぱり同じ匂いがするわ~)と一人冷静に傍観していると
最後の言葉が響いた瞬間
一斉に幾色もの光に包まれる召喚の間
次の瞬間
そこには色とりどりに染まった・・・人々が。
「「おぉおおおお!「成功だ!」
「すばらしい!」
どよめく広間、
「な、何この髪の毛の色?!」
「え?あんた目・・・目が真っ赤なんだけど?!」
「うぉお!なんだこれなんだこれ?!」
自分たちの髪や周りの人たちの目の色のありえなさに混乱する異世界召喚され組。
(あ~、そうよね~迂闊に火とか水とかだとそうなる訳か・・・)
とここで神官たちから説明が
「お瞳の色や髪色は力が定着すれば元に戻ります、
ただし創造した力をお使いになる場合にはその色が稀に出る場合がございます」
「人体に影響はありませんので、皆様落ち着いてください」
さて儀式も無事終わりに向かっている様子、ここでそろそろ私は・・・
「ねぇ、あなたソレ・・・」っと、隣のピンクな女子に話しかけられてしまった。
お暇しようとしたんだけどなぁ、カラフルすぎてついタイミングを逃したらしいです。
日本人顔はそのままでその髪と目、きっついコスだな~ってね。
ここで私に石を渡した神官も気づいた様子
「なっ、なぜ願いを、思いを乗せなかったのですか?!」と石を奪う
「あー・・・」
そう、私の手には野球ボールの透明版がそのまま残っていたのだ。
どうやら移動の流れになっていたこの場の空気が私のせいで凍ったらしい
すっごい見られてるわ
どうやってこの場を乗り切ろうかとしたその時
「お、お前っ!りえなっ?りえなか?!」
と赤い髪に碧眼の人が話かけてきた
「え?だれ?」
と首をかしげてみる。
「何やってんだよお前・・・まじ空気読めないの変わんないんだな」
「え~だれだれ?って!あーーー元カノさんじゃぁん!!」
(待てよ、誰だコレ?てか、黒紙赤目って怖いなこの女の子、まんま悪魔ぽい色だw
てか、さっき神官とイチャイチャしてなかったかこの子?)
「え~と、元カノ?誰が?あ、私?」
「うける~!なんでこんな簡単なこともできないの~?」
と悪魔女子がすっごいドヤ顔してくるんです。
「まさかお前まで召喚されてるとはな、だが創造もできないようじゃこっちでも
やっぱお前って使えねーんだなぁ」ニヤニヤする赤い髪。
・・・あぁ!「あぁ!!」思い出しました。
(これ一年前に別れたクズだ。)
あの日私、体調が悪くて早退して
部屋の戻るとこの赤髪と赤目の二人が・・・
(まぁ端的にいうと浮気されて、別れたのよね)
どうでもいいんだけど、もう忘れてたしと冷めた目で二人を見ていると
何を勘違いしたのか
「そんな目で見られても、俺はもう美緒のこと愛してっから~」
「え~まだ、たっくんに気があるの~なんの役にも立たなそうなのに~やめてよね~
人の男取ろうとするとか最低なんだけど~」
と、ぶっ飛んだ発言をかましてくる。
あ~なんか懐かしいな、あの時も私は
こんなくだらない人達の言葉にいちいち反応してたわ~
でも、もぅいい加減・・・
「うっさいわ、このクズ&ビッチ」
「は?」
「え?・・・なっ!!」
眼を見開く二人にさらに言葉を重ねようとしたが
「あ~どんな関係かは知らぬが、今は儀式を優先せよ」
と王様が言葉をかぶせてきたので、その場はあいつらもしぶしぶ下がっていった。
再度石を持たせてくる神官
だが、どんなに言葉を乗せても無駄だ、
なぜなら私はすでにこの儀式を済ませている。
(さて、どうするか・・・)
集まる視線、たとえ一年前のことであって
すでに記憶には薄いことでも、またあんな事を言われる筋合いはないと
怒りも蘇ってきた
昔は昔、今は今、
(今の私は・・・)
「あ~もういいわ!めんどくさいっ」
(言いたいこともやりたい事も我慢しない!それが私!)
「我が手に」
片手を掲げるとその指先からゆっくりと光が里恵菜の体を包んでいく
それは段々とみている事が出来ないくらいまばゆい光になっていき
次に人々が目を開けたその場には・・・
優雅に指先まで覆う薄水色のキラキラとしたロングドレスに身を包み
腰まであるサラサラの銀髪を緩やかになびかせる里恵菜が、
仁王立ちをしていた。
先ほどまでのメガネジーパントレーナー姿からの変身に固唾をのむ人々。
訳が分からず魔術師長は、その場に落とされている秘石を凝視する
「力を創造したわけではない?」
その場に凄まじい冷気があふれ出す、体の芯まで冷えるような緊張感が
その場を支配する。
王や王子を睨み付け
「人の心を操る術は禁忌とされているはず」
黒ローブ達を睥睨しながら
「また召喚の魔法に関しても・・・
あなた方はソレを破った、一年前私がこの世界に来た理由が今やっとわかりました」
「い、一年前?」誰かがぽつりとこぼすその言葉はシンとした広間に広がる。
「私は
ギャァアアグゥウウウアァアア!!!!!!!
鳴り響く獣の声
そこに数人の成金っぽいおっさん達が流れ込んでくる
「陛下!大変です、りゅ、竜が!飛竜がぁ!!!」
「なに?!」
さらにその後に続いて入ってきた騎士が
「陛下!帝国キエストリアの飛竜と思われる数騎が王都上空を旋回中との報告!!」
「帝国だと!?」「キエストリアがなぜ!!」
騒然とする王国勢、城を震えさせるほどの咆哮と竜との言葉に興奮&青くなる異世界勢
そこに、いい台詞言おうとして被せられ憮然とした表情の里恵菜
「・・・ちょっと早くない?(小声)」
「と、とにかく出迎えの準備を!」
「客人の事を知られてはっ」
「王よ!それ以上はっ!」
はっとする王様にたしなめる王子様。
王様が
「こ、異なる世界の客人達よ、よ、夜には夜会を開こう!それまで部屋を用意したので
皆ゆるりと休まれるがいい、また己の力を確認するもいいだろう」
と異世界勢へ話しかける、力を試すという事につられるもの
まだ外の様子が気になるもの
何か考えているものさまざまだが、王は無理やり侍女たちを呼びそれぞれの
部屋へと誘導しようとした、が、
「ちょおぉおおっとまったぁあ!え?無視?無視なの?
馬鹿なの?禁忌だって言ってんでしょうが!」
少し赤くなった頬を隠すように声を張る里恵菜
そこに悪魔女子が
「え~元カノさ「うるさい」
睨めつける悪魔女子
「闇よ!我がちか「うるさいって、眠れ」
どさっ
まるでスイッチを切られたかのように力が抜けた悪魔女子が横たわる。
「な!美緒!!おまえっ美緒になに「うるさい!しゃべるな!!」
はくはくと息を吐くしかできなくなったクズをみてやっと一息ついた里恵菜は
んんっ!
「さて、アディレンドの者たちよ、私は
バタンっ
「りゃぁああなぁああ!」
またしても良いとこ遮られる里恵菜、扉が吹っ飛び入ってきたのは
黒髪黒目のイケメン
そのままかけてきてぎゅうっと里恵菜を抱きしめだす
「ぐっ!ちょ、まっ」
「大丈夫か!?どうしていきなり消えたりしたんだ!
私は一瞬、生きる意味を失った心地だった!元の世界へ帰ってしまったのかとっ
もうこんな世界、いっそ壊してしまったらリャーナの世界とつながる事もあるかもとか!
色々考えてしまったでわないかぁあああ!!あぁ!りゃーな!私のリャーナ!!」
(く、くるしっなんか色々でそう!)
「くっフィー!!」
金色の風が二人を取り巻く、強風に煽られ周りの人々が吹き飛ぶ中
風の中の二人は
「つ、ツェル・・・私はここにいるよ?」
「リャーナ、あぁ良かった・・・」
お互いのおでこをくっつけ
「ごめんね、まさかこんな事になるとは思わなくて」
「無事ならいい、まだこの世界にいてくれた、手の届くところに。」
はぁと深い息を吐くツェルを見て風を解く里恵菜ことリャーナ
風を解いた後は広間が散々な有様だった。
が、流血沙汰にはあまりなってないので、そこは気にせず話だす二人。
「アディレンドの王よ、これは、どういうことか説明をしてもらおう」
ツェルの視線の先に、無残にも切り刻まれた玉座に縋り付くようにして
いる腰の抜けた国王が
「こ、皇太子殿下・・・」
静まり返った広間に弱弱しい王子の声が響く
「こ、これには深い訳が・・・」
「帝国は他の国を蹂躙しない、それはあまりに巨大な力を持つが故の制約だ
我が国には他の国にはない、力がある」
涼やかに魔術師たちを神官たちを、そして異世界より来た者たちを見ていく
キエストリア帝国 第一皇位継承者 ツェリアルド皇太子
この世界のすべての国の頂点であり、最大の国家、その時期王その人である。
「我が、帝国は共に歩んでいるのだ
だが、この力はある人物の危機に対してとても敏感であり
激しい感情をもつ・・・それは我々共に長く生きてきたものでさえも抑えきれぬ
激情」「まぁ少し焼けることもあるが、気持ちが理解できるからな(小声)」
そっと、その瞳が一人の女性へと向く
銀の髪を元の黒髪へと戻し
この世界での普段着であるワイシャツ、スカート姿で
皇太子の横に立つ里恵菜その人である
すでに二回もいいとこ止められて、すっかりやる気が下がってしまった
里恵菜は、再度傍観者とかすようだ。
「ま、まさか・・・」
成金なおやじ達が静かに吐き出すその言葉に、王国側はさらに顔色を悪くしていく
「帝国にて、竜姫が見つかったと・・・」
「帝国の守りを破ってまで、中々出てこない高位貴族の魔族が求める姫だとか・・・」
「いやいや、軍部を預かる魔族がという話ではなかったか?」
「その竜姫は、すべての竜達に懐かれているとか・・・」
「帝国の力である、竜が・・・」
愛しげに皇太子が見つめるその女性に皆の視線が集まる
「その姫に帝国の皇太子が求婚していると・・・」
(いや、見過ぎだから!)いたたまれなくなったのは里恵菜の方であった
それから、王国に関してはツェルに任せる事にした里恵菜は
異世界から来た同郷の人を集めた上で
「何人たりとも侵すことならず
個は個のものであり
絶て呪鎖の楔!!!!」
精神汚染を解いたのだった。
「さて、何人かは察しているかもしれませんが、
私は・・・チート持ちです!ってのも、先に来て色々あった上での今の力だから
ポンって貰った訳じゃないんですが、まぁ最初に相思相愛になた子
が結構重要なポジで、あれですね!まぁ色々ラッキーだったと。」
変な言い訳を始める里恵菜に苦笑いが送られ。
斯く斯く云々
「魔族ってそんなにきれいなの?!」と魔族に興味を持つ女子や
「むこう帰っても、家族もいないし、魔法使ってみたいから!」と定住を決める男性
「彼に会いたい・・・」と帰還を望むリア充男子がいたり
「家族がいるので、帰れるなら帰ります、もう少し若かったら考えたかもだけどね」
とウィンクかましてくる奥様がいたり。
色々ありましたが、30名が元の世界への帰還を望み
、他三名は旅に出たり
皇都に定住地を作った
こちらとあちらをつなぐ扉はまだつながっていたので、
そこを通って送還となりました。
皆さん悔いの無いようめっちゃ満喫してったよ(笑)
二泊三日でねw
あ、そうそう他二名は
むかついたから私の一存で、あの後すぐに扉の向こうへ返したよ!
うるさかったしね~
まぁもうあのクズに未練(笑)なんてないし、あのビッチ悪魔女子の顔も
気持ち悪い持論も聞きたくなかったから、サラっと投げてやったぜ!!
ん~私もね、こっち来て帰還方法がわかった時
一番最初にいた場所をすっごく探したよ?帰還可能時間は
扉をつないでからおよそ三日、時間の流れは大体一緒の世界だからココ
ぎりぎり三日目でさ~あの時は焦って探して見つからなくて、大変だった・・・
精神的にもね。
まぁ実際は今が、召喚された三日目なんだけど、
私だけ時間ずれてたし
でも、もうココが私の居場所だから、ぜーんぜん迷わないかっていったら
嘘だけど、扉をくぐる気はさらさらないの。
だから
「そんな不安そうな顔しないでよ、ツェル」
「だが、今ならまだリャーナは、家族に、あえる」
「ふふ、ばっかだなぁ!もう私の居場所はココなの!
お母さんたちには手紙届けてくれるように主婦さんに頼んだから!あの人
ちゃんとしてる感じだったし!大丈夫っ
もう
今更離れられないからっ
だからっ、ご、ごめんママっパパっお姉ちゃん!私はココで生きていきます!
今まで育ててくれてありがとうっ」
バッと扉へ振り返り
勢いよく下げた頭の上で扉がだんだん薄くなって消えていく。
一年前決まった心を少しだけ動かされながら
それでも私は、私の意思でココに残り生きていく事を決めた。
それができた事でなんだかスッキリしたような気がする。
「りぃえなぁ♪みーつけたっ♡」
「うぐっ」
「魔族!!!貴様またっ!どこから湧いて出たっリャーナを離せっ!」
「りぃえなぁ、いきなりお前の魔力が皇都から消えたからぁ
俺様ちょぉっと焦っちゃったぜ♡」
「ディート!貴様抜け駆けするな!
りぃえな!会いたかったぞ!さぁ私の腕の中へ来いっ」
「ぐぅっ!」
「そりゃないよ~早いものがちが基本だろぅ~魔公爵様よぅ~」
「寝取りは基本だ!奪われたほうが悪い(ニヤリ)」
おいおいおい!
誰だよ魔族が女性の扱いに慣れてて?美形が多いって言ったの!
いや、美形だよ?美形だけど
なんで毎回毎回
押しつぶされなきゃいけないのさ!!!
「離せっ離れろっ!吹っ飛べこの色魔族どもっ」
バシュッ
「なっ!?」はじかれた?!
「へっへ~ん、毎回毎回そうそう飛ばされてやんないよん!今回は魔封じの道具
仕入れてきたもんね~♪」
「くっ!リャーナ!?
リャーナを離せっ!!」
「しょうがない、まずはお前を始末してから、ゆっくりりぃえなと愛を語らおう」
碧く光るレイピアを抜き皇太子に迫る魔侯爵リヒャルト
後ろから里恵菜を羽交い絞めにする、騎死団長ディート
「貴様ら・・・それ以上リャーナに触れるなっ!」
燦然と輝く刀を抜き放つ皇太子ツェリアルド
そんな三つ巴に巻き込まれる里恵菜は・・・
「うざいっあついっくるしい!
来たれ我が片割れ我が求めに応じて我が前へ、そは我、我はそ!
バラァン!!!!!」
ぐぅるぅううううおおおおおおおおおおおお!!!
飛び散るガラス、揺らぐ壁や柱
今に崩れ落ちそうな・・・いや崩れ始めた天井が吹っ飛び
黒にも青にも見える艶艶の鱗に覆われた巨大な竜が現れる
「やばっ!」
「くっ!今日は出現が早いではないか!!」
「リャーナが皇都から消えた事を一番に気づいたのは、バラン殿だからな・・・
心配だったのであろう、実は最初から上空にいらっしゃった
ま。竜輝も読めぬ魔族にはわからなかっただろうが」
「仕方ない!また会おうぞりぃえな!愛しておるぞ!!」
「まったね~りぃえな♡」
影を介してこの場を脱出する魔族たちを細めで見ながら
次の瞬間満面の笑顔でツェルを、
通り過ぎ
バランと呼ばれた、大型の竜へと抱きつき
ぎゅうっとしたあとで里恵菜はその背に飛びのる。
私はここで、この世界で生きていく!
大好きな竜(半身)に囲まれて、大切な人に愛されて、きっと最後までドタバタ
騒ぎながら生きていけるだろう!
「お、おいリャーナ!おいて行くな!
ファードル来いっ」
開いた天井の穴から滑空してくる白い竜へと飛び乗る皇太子ツェル。
「ふふ!帰ろうツェル!私たちの国へ!
きっと皆、待っててくれてるから!」
笑顔の戻った里恵菜に、まぶしい気持ちで眺め
「あぁ、戻ろう、きっと皆心配している」優しい微笑みを浮かべるツェル。
「うん!」
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
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