フラグを立てまくるプロローグ
お初にお目にかかります。たちつてと改めともと申します。
わたしの理想だった青春を詰め込みました。
楽しんでいただけたら、光栄です。
すべての空が闇に染まる。
平凡な学校らしき建物。その、奥の奥。
物がごった返した部屋の中で、呼吸をする音が、二つ。
「先輩が、これしか無いと仰るなら………」
小さく弱々しく、そしてハイトーンの声が響く。
暗闇の中で、黒が動いた。
「………っ、先輩……」
その声の持ち主は、とても官能的な声で暗闇の奥へと迫る。
ひた、ひた、ひたと。
暗闇の奥にいた人物は、なにも言わず、少しも身動きしない。
焦れったくなったのか、声の主はさらにその距離を縮めていく。
「先輩が、大丈夫だと、そう仰るから、」
呼吸をした。
「すべてを捧げると、決めました。だから、だから、」
振り絞るような声が、だんだんと大きくなっていく。
「すこし、黙っていてくれないか」
「……!」
暗闇の奥から声が響いた。
今までの状況から一転する。
「先輩、申しわけありません…」
「いや、いいんだ。……覚悟は、いいね」
「…はい」
先ほどよりも、ハイトーンで小さな声。
それを感じたのか、暗闇から再び声がする。
「わたしが大丈夫と言うのなら、きみはすべてを捧げてくれるんだろう?」
息を飲むような美しい声に、返事をした声は、
「…もちろんです!」と語尾を強くした。
暗闇から満足げに頷く気配がして、さらにゆっくりと何かを押した。
かちりと、澄んだ音がした。
それはまるで何かのスイッチのような。
「ふふ、ふふふふふ」
「せ、んぱい…」
「まずは、一つ目だ。…くくっ、ふふふ、あははははははははっ」
遠くで、空気が燃える音がした。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。