モノクロ世界 「白」
この世界は、すべてが真っ白だ。
白く輝いていて、何も見えなくって。
…独りぼっちだった。
寂しかった。
目の前には、もう一人の私がいた。
あの世界に行きたい。
あの世界に行けば、この世界の風景も見えるはず。
黒くて闇に満ちている世界。
そこに行けたら、もうひとりの私に会える。
寂しくなくなる。
…でも、白と黒の世界の境には 透明の壁があった。
これじゃ行けない。
どうしたらいいの?
声が聞こえる。
誰…?
「おいでよ。」
「えっ…。」
声の主は、もう一人の私だった。
言われるままに、透明の壁の前に来た。
「新しい世界に行こう」
「あっ…うん!!
でもどうやって?」
「力をあわせて。 さあ、私を信じて。」
もう一人の私がそう言い、手を出してきた。
突然の出来事で、よく分からないけど
新しい世界に行けるのなら。
「わかった。信じるよ」
〝ガシッ〟
この音が、白と黒の世界に響いた。
気が付くと、物があり,色があり,人がいる世界に戻っていた。
でも、今日は違った。
いつもの風景なのに、なんだかいい気持ちだ。
明るくて新しい世界。
そんな毎日がある。楽しい一日が今日から始まる。
「今日はなにしよっかな♪」
end.