永久遊戯―トコシエユウギ―
空が青から赤へ。紫を経て、漆黒になる。
漆黒には小さな、沢山のアメのような光が散りばめられている。
漆黒は重要ではない。
重要なのは、赤から紫だ。
××は、この時間が一番嫌いだ。
理由は……遊びを止めなくてはならないから。
××は、遊びが大好きだ。
ガキだからかも知れない。一日中だって、一年中も遊びたい。ただひたすらに、楽しみたいのだ。
それ以外の理由は――――――無い。
××は、紫がかった空の下、「また明日」と言って遊びを中断する友人を止める事ができなかった。してはいけないのを知っていた。やりたかったができなかった。友人を困らせて、明日から遊べなくなるのが嫌だった。
遊べなくなるのは、××にとっては死ぬと同義であった。
しかし、××も成長し、新たな遊びを見つけた。
ゲームだ。
外で遊ぶのも好きだったが、家の中で騒ぐことを知った。
××はゲームに熱中した。これなら、一人でも遊び続けれる、と。
けれど、やはり遊びは中断せざるを得ない。
『時間』が××を縛る。遊びを否応なく中断させる。
ご飯の時間、風呂の時間、寝る時間。遊ぼうと思えば遊べるのだが、親に如何せん怒られて中断せざるを得なくなる。
だから、××は願っていた。
ただひたすらに、遊び続けられる世界を。
有りもしない幻想を、ずっとずっと願った。歳をとる度強くなる幻想を、現実で抑え込み、幻想を忘れようとしたが駄目だった。
だが、転機が訪れた。
「ねぇ、濃く澄んだ、強い欲望を持った子。
私なら、君の願いを叶えてあげられる」
魔女か、神の使いか、はたまた地獄へ誘う死神か。
何者かわからない二十歳くらいの、横髪だけが触角のように長い水色の髪を持った女性がそこにいた。
何時、××の前に現れたのかはわからない。
うっすら笑みを浮かべた女性は、豊かな双丘を揺らしながら××に近づき、目と鼻の先まで顔を近づけた。
「君の願いを叶えてあげる。たった1つだけど、君はそれで満足するだろう?」
××は、身体中に電流が走った錯覚してしまった。
何十年も願い続けたことが叶う。それは、夢にも無いことだ。
「代償は必要ない。ただ……」
女性はニヤリと笑い、
「―――――――――」
何かを言った。
口は動いているのに、声が聞き取れない。
口パクか、と××が思ったときに
「おや…時間が。さぁ、君の願いは?」
急かすように、女性が再度問うてきた。
××は、急く女性に
「願いは…――――――」
夢を、告げた。
「確と聞いたぞ、―――」
さぁ、遊びましょう?