親子の企み
唐突ですが、ここで読者の方へ問題です。ベルとライはティルの事を兄以上に慕っています(親として)。なにせ、名前を付けてもらった訳ですし、そこへ全く面識のない優しげな”美”少女と親しげに会話しながら宿へ帰ってきました。二人はどう思うでしょう?
答えは簡単、二人がルナシアに対して鋭い視線を送り始めます。
現在そんな状況なためティルは困り切っていた。というよりも諦めて紅茶を啜っているとルナシアがおろおろしながらティルに近づいて行った。
「インセインさん!紅茶を飲んでないで説明してください!」
「あ~…うん、こちらルナシア・ルナメリアさん、助けたお礼に来てほしいって言ってる人。オーケー?」
「「は~い」」
「これでいいか?」
「それをもう少し早くしていただきたかったです」
そう言われ肩をすくめた。ルナシアの家へ行こうとした時にベルとライが突然叫んだ。突然の事でルナシアは目を白黒させ、ティルは耳を押さえてあきれ顔。
「兄さん!服!」
「そうだ!そうだ!」
「あ~はいはい。ほら、買ってきたぞ」
「サイズいつの間に…」
「勘だ」
二人で色のパターンが真逆のワンピースを着てティルに対してベルとライが戦慄していた。その二人にティルが明るくどうした?と聞いてる姿に、流石のルナシアも額を押さえていた。それに結局首を傾げるティル。三人から同時に溜息が聞こえて更に首を傾げているティルは軽く大物なんだろう。
「では、行きましょうか」
「そうだな」
「と、言いたいところでしたが、ここに座ってくださいインセインさん」
「ん?ああ、うん。インサインじゃなくてティルでいいぞ?」
「あっ、はい」
イスに座ったティルの背後へ回って髪を梳かし始めた。現在ティルの髪は腰へ届くか届かないかの微妙な長さだったが、ほったらかしだった為ボサボサだった。別にいいだろ?と言ったティルだったが、ルナシアに怒られじっと髪が梳き終わるのを待って居た。ティルは元がいいため梳き終わると髪がサラサラだった。
周りに、いいな~などと言われても結局頭上に?をうかべるだけだったが結局の所、ティルの早く行こうの一言でちゃんと向かう事で落ち着いた。
歩くこと数分、目の前に大きな鉄製の門が見えてきた。ルナシアを鼻歌を歌いながら横の勝手口へ近づいて行ったが、ティルとベル&ライは大きな門とそこから続く長い石畳を見てポカーンと口を開けて突っ立っていた。
「どうかしましたか?」
「い、いや…なんでもない」
「そうですか?なら行きましょう」
前を歩いて行くルナシアに聞こえないようにベルとライがお金持ちって次元が違うねなどと喋りながら後を追った。
「にしてもデカイ家だな」
「ああ、ここ私の住んでる家もありますけど学校の敷地でもあるんですよ」
「学校ねぇ。学業は一般的な事しかしらないな」
「入ります?」
「いいのか?」
「はい!その容姿なら大丈夫ですよ」
「容姿?…ベルとライもいいか?」
「もちろんです!」
ありがとうと伝えたものの先ほど言われた容姿と言う言葉に若干引っ掛かりを覚えつつ気がつけば豪邸の前に着いていた。
見た目の格調高さのために、また停止するインセイン義兄妹だった。ルナシアのどうぞで我に帰ってガチガチになりながら中へ入った。また予想通り中も凄かったため停止
その後、応接間へ通されしばしの休憩、今だに三人は緊張したままソファーの上で正座中、ちなみにティルのみである。
「くつろいでお待ちください」
「は、はい」
ルナシアに代わって入ってきたメイドで緊張はピークでティルは若干混乱していた。
正座をしたまま、待つ事3分メイドが開いたドアから髪をオールバックにした男性が応接間に入ってきた。そして、ティルの姿を見た途端
「おぉ!インセインさん!お久しぶりです」
「……はい?…えっとお会いした事ありましたっけ?」
「ははは、ご冗談を。6年前にお会いしたじゃないですか」
「すいません。ここ最近の記憶しかなくて…」
「そうでしたか…ですが、本日は娘を助けていただきありがとうございました」
「いえ、そんな当たり前の事をしたまでですよ。それと敬語はやめてください」
と、ティルとルナシアの父が静かに譲り合うような変な会話を繰り広げている最中、ベルとライの元へ来たルナシアの三人は茶菓子を摘みながらお茶会を興じていたりする。現在第三の月十六の日
ルナメリア家の経営する小・中・高一貫の学校が始まるまで後十八日
二人の元へルナシアが来た途端、二人揃って愛想笑いを浮かべた。
「どうかしましたか?」
「いいや、なんでもないよ」
「で?どうしたんだ?ルナシア」
「そうでした。お父様」
「なんだい?」
「その…インセインさんを学校に入学させる事は可能でしょうか?」
「インセイン君を?」
「はい。ちょっとこちらへ」
ルナシアはティルから父親を離れさせ内緒話を始めた。
「お父様も気付いていらっしゃると思いますが、インセインさん。いいえ、ティル様は見ての通り可愛らしい容姿をしていらっしゃります」 ※本人には聞こえていません。
「そうだな。それはお会いした当初より分かっていたよ。お前よりも昔に会っているからね。本人は覚えていないようだけど」 ※繰り返しますが本人には聞こえていません。
「そうなんですか?それよりもです!」
「ルナ、声が大きいよ」
「す、すみません…とにかく、ティル様は私が女にしますから許可してくださいませんか?」
「そうだな…わたしも見たい事だしいいだろう」
なんとも自らの欲望に弱いルナメリア親子だった。結局の所本人の意思など関係なしになし崩し的に高等部への入学が決まったそうな。ちなみに、ティル達義兄妹はと言うと……
「兄ちゃん。これ美味いぞ」
「まあ、値段が高いだろうからな。それで?ベル」
「な、なに?」
「アルをどこへやった?」
アル・ブレイヴがベルの魔の手に捕まっていた。それを気にせず茶菓子にがっついているライもライなのだが実はライがアル・ブレイヴをもう救出していて現在、机の下でクッキーを食べていたりする。ティルのお怒りとベルの焦りは完全なる無駄だ。
などと言い争ったり茶菓子をむさぼり尽くしたりしているうちにルナメリア親子の会話が終わったのか、爽やかな笑顔を二人で浮かべながら義兄妹の元へ来た。二人の爽やかな笑顔にティルが若干ゾッとした。
「とりあえず、俺ギルドから仕事請け負ってるから、行ってくる。ベルとライはここに居ろよ」
「「は~い」」
(さてと、最後のアレを取りに行くか…)
「怪我はしないでくださいねー」
「しないよ。というかあの程度で怪我したら先行きが不安になるよ」
お久しぶりです。
今回、説明する物が微妙ですが、どうぞ。
ウェストニアの文明レベルの話です。移動手段は徒歩・馬車・船があり価格も右へ行くほど高くなります。当たり前えすが
生活は火周りはかまど、水周りは水道で一部ですが電気も通っています。ガスはないですが…電気は主に娯楽施設にまわされています。
娯楽についてですが遊園地はあります。結構本格的な物がありますが製鉄技術が現代の物よりも未熟なためジェットコースターなどの絶叫系はないです。
食についてはだいたい中世の頃、ですからチーズや乳製品、酒類は存在しますが、冷蔵庫がないため肉類は塩で味をつけた後干す物、干し肉が主流となっています。
以上ですが、質問・ご感想等お待ちしております。