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ウェストニア書史  作者: 熊海苔
序章:黒と白
2/7

無垢で冷酷な暗殺者

その頃ダンジョンの少し深くの場所でムクリと起き上がる影があった。周りにはドラゴンなどの上位種の死骸が転がっていた。



「…誰か来た」



影はそう呟くと床から両手剣を引き抜き背負った。さらに、立てかけていた弓と刀を携える。



「…俺のテリトリーに入った事を後悔させてやる」



影は悠々と歩き始めた。




****




「先輩!堅すぎます!」


「だから、さっきからゼロレンジで撃てって言ってるじゃない!」



彼女達は今だにガイアドラゴンに対してダメージと言うダメージを与える事が出来ていなかった。

しかし、ガイアドラゴンの攻撃により二人は徐々に体力を消耗していた。



「じり貧よね。この状況…」


「うぅ…ゼロレンジやらなきゃダメですかぁ?」


「やってくれれば助かるのよ」


「分かりましたよ~……でも、元はと言うと他の皆さんを連れて来なかった先輩のせいです!」



魔女の少女が決心した時、ガイアドラゴンの様子が変わった。何かに警戒するように周りを見る。

次の瞬間、ガイアドラゴンの首の上あたりに人影が現れた。そして首に両手剣を当てて頭を落とした。

二人がほっと息をついたのもつかの間、少女の首筋にナイフが当てられていた。



「俺のテリトリーに何の用だ?」


「ふぇ?」


「ッ!?お前いつの間に……」


「質問に質問で返すな。もう一度聞く。俺のテリトリーに何の用だ?」


「しぇ、しぇんぱ~い」



今にも泣き出しそうな少女を見て女は諦め白状した。



「ただ、あたし達の住家にしたかっただけよ」


「まあいい。一つ条件がある。俺はギルドに登録したい。しかし、この前断られた。俺がギルドに入れたらここはあんた達のモンだ。いい条件だと思うが?」



しばらく考え込む女だったが軽く返した。



「いいよ。あたしだってコネの使える先くらいある。だが…」


「7層以降のモンスターか?なら、狩らなくてもいいぞ」


「何?」


「もう、人間を襲やしない。徹底的に覚え込ませておいた。体に…な」



影が笑うと少女がビクッと震えた。



「おい」


「ふぁ、ふぁい!」


「照らす魔法使えるか?」


「出来ます!やりますからぁ御命だけわ!」


「なら、早くやれ」


「は、はいぃ……ライトボール!」



後輩の少女の後ろに居たのは髪が伸び放題の少年だった。しかし、魔女の少女の様な年相応の目ではなく、冷たい光を宿した目だった。まるで感情が抜けたような…



「さて、行くか」


「ち、ちょっと待ちなさい!」


「…?…どうした」


「そんな格好で行くつもり!?」


「そんな格好?」



影が自分の服装を見る。下からブーツ・ジーンズ・ロングコート、すべて黒。



「あんたには言われたくないな」


「まあ、そう言われると言い返せないわね…」


「早く行くぞ」


「あ、あの!お名前を教えてくださいませんか?」


「名前か…ティル・インセイン」


「ティル・インセインさん…ですか?インセインって」


「このダンジョン。『インセイン遺跡』よね?」


「名前がないと不憫だろ?」


「そりゃそうですけど…」


「行くぞ」



ティル達はダンジョンを出て、冒険者ギルドを目指した。




****




「ここか…で?チビ」


「チビじゃないです!ユリアです!」


「誰が俺の保証人になるんだ?」


「先輩ですっ!ワタシがなれる訳ないじゃないですか!」


「だろうな」



ティルの一言にユリアはムキー!と怒るがティルはそれを無視してギルドに入って行った。



「登録したいんだが」


「はい。わかりました。お名前と年齢をご記入ください」



ティルは少し考えてから書きはじめたが、手が止まった。



「歳…」


「どうしたんですか?インセインさん」


「いくつだったけ?」


「知りませんよっ!ワタシが知るわけないじゃないですか!」


「……17でいいか」


「適当なんですか!?」



ティルの呟きに毎度毎度ユリアはツッコミを入れている姿に、ギルド内の酒場はすっかり和んでいた。

普通ならば三人が入った時点でごろつきがからんでくるのがだいたい起こる事なのだが、彼女達の場合は先輩と呼ばれていた女が付き添っていたのもあるが、このギルド内にそのような事をする冒険者が居ない事がもっともな理由だろう。



「はい。登録用紙の記載は以上です。では、この水晶に手を乗せてください」


「ん」



 受付嬢に言われティルは両手を置いた。



「インセインさん!片手ですよ?」


「む、そうだったのか。なら、それを先にい…むぐぅ」



 ティルが最後まで言い切る前に先輩と呼ばれていた女に抱かれていた。



「イグナちゃん、ソイツは?」


「ちゃん付けはやめてって言ってるでしょ?ガリウドさん」


「がっはっはっ!そういうなイグナ。で?彼は?弟さんか?」


「いいえ、インセイン遺跡で会ったのよ。これでも立派なアサシンよ」


「ほう……」



 先輩と呼ばれていた女――イグナの言葉にガリウドはティルの前で手を差し出した。



「俺はガリウドって言う。よろしく」


「ああ、よろしく」



 ティルが軽く唇を吊り上げるとガリウドはニヒルに笑った。



「すいません。手続きがまだ終了していないのですが…」


「ああ、すまない」



 ティルは、受付嬢に謝ると再び水晶に手を置いた。すると、水晶が輝き始めた。



「これは……!」


「?」


「ギルドマスター!!」


「ふぅ……どうした?何かあったのか?」


「この子の魔力の種類なんですが……」


「ふむ……ほぉ、珍しいな。ここまで純度の高い白とはな」



 ギルドマスターの言ったとおり水晶は純白に輝いていた。ティルは未だに頭の上に

?マークを浮かべているが周りは驚きの声をあげていた。



「ティルさん凄いですね~」


「?…結局何が凄いんだ?」


「えぇえええ!?知らないんですか!?」


「ああ」


「はぁ~…いいですか?まず、色は赤、青、黄、緑、茶、白、黒があります。そしてどの色にも度合があるんですけれども、最低が黒く濁った色で一番凄いのが完璧な純色です。白はとても珍しいんですけど、ティルさん程の純度になると滅多に出会えないレベルなんです。黒髪自体が珍しいんですけどね」


「なるほど…」



ティルはうんうんと頷いてから、受付嬢に話しかけた。



「で?登録は終わったのか?」


「あ、はい。これを」


「カード?」


「はい。これが登録した印です。このカードを提示していただければクエストを受ける事が出来ます」


「そうか。わかった」



 ティルは登録が終わるとギルドをすぐに出ようとしたがイグナに止められた。



「ねぇ、ティル。あたし達のパーティーに入らない?」


「考えておく」


「そう。よろしくね」


 こんにちわ、熊海苔です。

 今回は連続投稿で後書き部分に書くことがあまりないのですが、ギルドなどについての説明を少々しようかと思います。


 ギルドなのですが、1種類ではないです。某海外ゲームの様に『冒険者ギルド』『戦士ギルド』『魔術師ギルド』『暗殺者ギルド』『盗賊ギルド』と5種類あり、各ギルドに並行で加入してもOKな設定です。

 そのかわりに窃盗をしていたら戦士ギルドには入れないとかはありますが基本は自由に加入可能です。

 上記に出た5つのギルド以外にも非合法ギルドはいくつかあります。そのギルドについては追々説明を入れようと思っておりますので、それまでお待ちください。


今回はこれくらいで

感想、その他質問等お待ちしております。

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