表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MY MASTER  作者: バラット
8/9

文化祭



夏が終れば秋になります。秋になれば学校は忙しい時期に入ります。体育祭と文化祭。それに向けての準備などの委員会、そして、あまり受けたくないテスト。勉強ができるからテストが嫌いじゃないと思ったら違いますからね。僕だって勉強は面倒なんですよ。ですが、やらないと自分のためにならないですからね。まぁ、自分の為ってのがどうなのかは良く解ってないんですけど。さて、体育祭と文化祭の話があがっていますが、体育祭は波乱万丈過ぎて文章化できなかったので文化祭の話をしますね。ちなみにテストはきにしないでくださいね。人の自慢話を聞いてもあまり嬉しくありませんし。寧ろ、楽しくありませんから。そんなわけで、今回は文化祭のお話です。色々あるのですが時間は文化祭の準備のところからはじめますね。それでは、どうぞ。

現在クラスは水を打ったように静まり返っていた。物音一つ無い。実は文化祭のクラス企画を決めているのだが、意見が何一つでないのでみんな静かなのだ。下手に音を立てればクラス委員長に指名されかねない。先生も困り果てたように座っている。しかし、このまま時間が過ぎていくのも無駄な気がして、もどかしい。

「はぁ、誰か意見は無いの?」と委員長がため息交じりで聞いてきた。去年もそうだったけど、このクラス企画は殆ど意見が出ない。なぜならば、初めに言い出した人間は責任者あつかいされて、まとまらない生徒をまとめなければいけない使命があるのだ。まとまらないからまとまらないのだろうに、変な文章だ。見かねた先生が生徒達のほうをみて

「この際、去年の意見をまた、採用するってのもどうだろう?」と言ってきた。

ちなみに、先生は去年とは違うので去年の事を知らない。

先生の意見を聞いて去年1―Aクラスだった人達はきっと僕と同じ事を思っただろう。去年のクラス企画(ゲームに勝つと商品がもらえる。)は殆どお客さんが来なかった。それでは、面白くない。

「去年のはダメですよ。1―Aは殆ど人が着ませんでしたし。私のクラス、1―Bの占いの館はセットが壊れちゃって大変だったんですから。2―Aのおばけ屋敷もビックリしすぎたお客さんがセットを壊しちゃったからダメになっちゃいましたからね。」

「なんで、1―Aは客が来なかったんだ?」

先生は疑問に思ったらしい。

「最初はお客さんが来てくれたんですが、同じゲームは何度もやっていれば飽きる物ですから、それで人が来なくなったんです。」

「とすると、模擬店か寸劇みたいなのだな。寸劇なら、いくつか用意して時間帯で公演を変えれば客もくるだろうし。」と言った。なるほど、中々いいかんがえだった。

「あ、俺は模擬店やりたいな。」とクラスの男子が言った。

「でも、そうするとお金を取らないといけなくなっちゃいますよね?調理だってしないといけないわけですし。」と女子が言った。

「それ以前に、ぜったいつまみ食いが発生して赤字確定ね。」と追い討ちの女子の声がした。

「確かに、その可能性は否定できないな。」と先生が笑いながら言った。

「それじゃあ、劇にするの?」と女子が言った。確かに、神上学園には演劇部はないんですけどね。あ、ないと言っても休部状態なだけで消失はしてませんよ。

「そうだな。衣装も演劇部室にある事だし、どうだろうか?」と先生が委員長をみた。

「そうね。その方が安全かもしれないわ。」

「でも、衣装はともかくシナリオはどうするんだ?」と男子が聞いた。

「それなら、ボクに考えがある。」

葵ちゃんが名乗り出た。

「俺も同じく当てがある。」

ギンが言った。2人は僕をみた。

「もしかして、僕の小説を使うつもり?」

「あぁ、あれなら短編小説もあったはずだからな。」と葵ちゃんが言った。

「そりゃあ、あるけど。てか、なんでギンは僕が小説を書いてるって知ってるの?」

「あぁ、前に汐宮に読ませてもらったんだ。で、作者は誰かと聞いて見たら水樹の名前が出てきたんだ。」

「なるほどね。」

「で、引き受けてくれるか?」と葵ちゃんが聞いてきた。

「そりゃあ、構わないけど。」

「それじゃあ、決まりだな。」

「シナリオの印刷は学校のプリンターを使ってもらって構わないぞ。明日にでも職員室に来てデータを渡してくれれば。」と先生が言った。そんなわけで、劇に決まった。

そして、昼休み。委員長を含めた文化祭クラス準備委員と僕らは話していた。

「ところで、寸劇はいいけどどのくらいの人数を出すつもり?それによっては小説、変わるんだけど。」と僕は言った。

「そうね。あんまり多いと色々厳しいわね。出来れば登場人物は最大でも5人ね。後は裏方と舞台設営と小道具にでもまわしたほうがいいわよね。上映時間は十分間って所かしらね?」と委員長が言う。

「いくつか用意するようにと先生が言っていたからな、ゆかちゃん、短編小説って一体どのぐらいある?」

「そうだな、5つぐらいかな?」

「5つか。話の内容としては10から15分くらいで終らせたいんだよな。一時間に一つの割合で行くと五時間だな。十時から開始だから、3時までになるな。一時は休憩時間にしたいから。」と委員長がノートにまとめながら言った。

「でも、終了は5時だぞ。4時の分はどうするんだ?」とギンが聞いた。

「そこは、アンコールでも採用すればいいだろう。」と葵ちゃんが言った。

「それじゃあ、決まりだね。」と委員長がメモをしていたノートを閉じた。

「それじゃあ、今日はこれで解散だね。」


時間が過ぎて自室。僕は小説を手を加えて劇にしやすいようにしていた。

「マスター、お茶です。」とファーリングがお茶を持って来てくれた。

「ありがと。もう少し書いたらごはんの準備をするね。」

「私の場合は発条を巻かれる事がエネルギーの補充なので食事はいつでも構わないのですが一美さんがベッドに倒れながらおなかすいたと言っていましたよ。」

「そうなの?それじゃあ、もう用意したほうがいいよね。」

「私が作りましょうか?」とファーリングは聞いてきた。

「うんん、自分で作るよ。家事をサボるのは良くないしね。でも、ファーリングが手伝ってくれると嬉しいな。」

「はい、勿論、お手伝いいたします。」


食事をしていると一美ちゃんが僕らに聞いてきた。

「お兄ちゃん達は文化祭、なにやるの?」

それに、葵ちゃんが嬉しそうに答えた。

「劇をやるんだが、実は、その劇のシナリオはゆかちゃんが考えたものなんだ。」

「本当!すごいじゃん!お兄ちゃんの才能が生かされるチャンスだね。」

「でも、結構大変なんだ。みんなが読みやすいように手直ししたり付け加えたりしなきゃいけないから。」

「だから、今日は何時もより晩めの晩ご飯なんだ。」と一美ちゃんが言った。

「ごめんね。」

「うんん、いいよ。あ、ちなみに、あたし達のクラスはビーズアクセサリーショップなんだ。まだ、名前が決まってないんだけど。その名の通りビーズアクセサリーを売るお店なんだ。クラス一丸となって作るんだけど、これが中々細かくて大変なんだ。細いアクリル糸にビーズを通すだけの簡単な作業なにの、細い穴に入れるのが大変なんだ。」と一美ちゃんが言った。

「そうなんだ。僕らも時間があいたら言ってみよう。」と僕は言った。

「そうだな。」

「うん。楽しみにしてるよ。あ、勿論、あたしも行くよ。お兄ちゃん達の劇。」

「うん。楽しみにしてる。」


そんなわけで、文化祭へとみんなが力を入れていく。校舎内は徐々に文化祭の風景にそまりつつあった。

「結構、こってるね。」と誰かが言った。廊下でコスプレしている人も珍しくなかった。そして、我がクラスでは配役を決めていた。

「水樹、配役の表は作ったものの。具体的は誰を入れるんだ?」と先生が言った。

「そうだね。原作者だもの誰よりもその役の特徴を捉えてるはずだもの。」とクラスの誰かが言った。

「さて、配役だが、水樹は誰か指名してもいいんだぞ。その役柄にあった人を選んでもらえれば仕事がらくだからな。」と先生は人任せにした。そんな重大な役目を簡単に僕に任せないで欲しい。

「そうですね。日陰の少年と太陽の少女のヒロイン役は汐宮さんにやってもらいたいんですけど、どうですか?」と僕は聞いてみた。みんなの前で葵ちゃんと呼ぶのは少し恥ずかしかったから汐宮さんと言ってしまった。

「かまわないぞ。」

「それじゃあ、汐宮だな。後の配役は?」

「そうですね。サブキャラはくじ引きで決めても良いと思いますけど。」

「それじゃあ、いっそのこと残りの役を全部クジで決めたらどう?その方が早く終るだろうし。」と男子が言った。確かにそれもありだと思う。

「そうですね。じゃあ、そうしましょうか。役のクジと係りのクジを引くので皆さん一人一枚引いてください。」

そんなわけでクジの結果がでた。

『とは言え、まさか僕がヒロインの役をやるとは思わなかった。』

ちなみに、主人公は葵ちゃん。なんかのめぐり合わせなのかもしれない。

「それじゃあ、今日はこれで解散。明日は本格的に作業にはいるからな。」と先生が言った。


家に帰ると葵ちゃんが窓から入って来た。

「お邪魔します。」

「葵ちゃん。ごめん、晩御飯の時間はまだなんだけど。」

「それじゃあ、まるでボクが食いしん坊に聞こえてくるじゃないか。」

「確かに大食派ではないけれど、実際はそうでしょ?」と僕は言った。

「まぁな。で、今回はご飯以外にも目的があるんだ。ゆかちゃんと練習しようと思ってるんだ。」

「なんの練習?」と一美ちゃんが聞いた。

「劇のだ。」

「そっか、それじゃあ、ファーリングさんはあたしと一緒にビーズアクセサリーを作るの手伝ってくれないかな?」

「構いませんよ。」

「それじゃあこっちに来て。さっき作ったのがあるから。」

そう言って二人はリビングから別の部屋に移動した。そして2人っきりになったわけなのですが。

「それじゃあ、どの練習をするの?」と僕は聞いた。葵ちゃんと役を組んでいるのは5つ中2つ。

「そうだな、日陰の少年と太陽の少女の練習から始めようか?」

「そうだね。台本持ってくるからちょっとまってて。」

「あぁ。」


そんなわけで練習を始めた。

「とりあえずは出来る範囲までをやってみようか。」と僕は言った。

「ここを境にすればいいか?」と葵ちゃんが横長のテーブルを倒して仕切りを作った。

「そうだね。それじゃあ始めよう。」

「ナレータはどうする?」と葵ちゃんが聞いてきた。

「う~ん、僕がやるよ。」

「そうか、それじゃあお願いする。」と青ちゃんは言った。

「それじゃあ、始めるね。」と言って僕は台本を読んだ。

“彼の名前は二宮 日向。引きこもりの中学二年。もう、何ヶ月もこの部屋に閉じこもっている。この家は二階建てで彼は二階を城にしている。だから、誰もこの二階には入って来れなかった。ドアには鍵が掛かっている。ご飯は両親がドアの前に置いて置いてる。トイレもシャワーも二階にある。必要な物は全て揃っていた。なぜか1階にもあるが。彼は人が信頼できなくなってからずっと此処に居る。”

「ふう。」と僕はため息をついた。本棚から適当な本を取り出して読み始める。

“こんな薄暗い部屋で本を読んでいるので彼は眼鏡をかけている。そして、運動をしないので体はかなり衰退している。だから、ちょっとした事で咳が出たり、息があがったりするのだ。”

「コホコホ。」と僕は咳をした。

「ゴホゴホ。」口を抑えて咳をした。

“朝だけどカーテンは開けない。開けたくない。彼は太陽の光は苦手だった。だから窓だけ開けた。春の風が部屋に入ってきた。”

葵ちゃんがドア(横にしたテーブル)を叩いた。

“親は決してこの扉を叩かない。一体誰なんだ?と彼は驚いた”

僕は無視をしたけれどまだノックが続く。

「どちら様?」と僕はドア越しに聞いた。

「あたしだよ。太陽さ。」

「太陽?」

「憶えてないかな?一宮 太陽だよ。」

「知らない。いや、憶えてない。」

「そっか、あたしは貴方の事を知ってるんだけどなぁ。」

「そう。で、何の用なの?」

「なんで学校に来ないの?」

「は?」と僕は驚いたような声をだして聞いた。

「君は関係ないよ。だから、さっさと、帰ってよ。」

「関係有るよ。クラスメートだもん。学校に来ないなんて、気になるよ。」

「普通は気にならないと思うよ。いいから帰ってくれよ。声が気になって本が読めないじゃないか。」

「外はいい天気だよ。部屋からでて外に出ようよ。」

「嫌だ。僕は太陽の光が苦手なんだ。」

「そんな事言わないでさ。ほら、出ておいでよ。」

僕はドアノブを抑える演技をした。

“彼はドアノブを必死に抑えた。鍵が掛かってるから大丈夫なはずなのに、何故か入ってきそうな気がしたからだ。”

「どうして?太陽が嫌いなの?それともあたしが嫌いなのかい?」

「あぁ嫌いだよ。太陽も君も嫌いだ。僕はここでいいんだ。この城がいいんだ。」

少し、息をしてから叫ぶように

「だから、ほっといてくれ。」と言った。

「そっか、でもさ、太陽は温かいしいいじゃないか。」

「夏は暑いし、冬は暖かくない。」

「そうだね。でも、春は眠くなるほど気持ちがよくて、秋は丁度いい感じの暖かさをくれるよ。」

そんなくだらない会話がドア越しで繰り広げられている。

“彼女が一体どんな人物なのか彼は知らないのだ。彼は記憶にそんな女の子は居ない事を脳で再び確認してからドアノブから手を放した。”

そのナレーションにあわせて僕は手を放す。そしてドアに背を向けて体育すわりをした。

「じゃあ、あたしが笑顔をあげるよ。だからさ、出てきてよ。顔を見なきゃ笑顔があげられないよ。」と葵ちゃんは言った。

「五月蝿い!もう、帰ってよ!」

叫んだら静かになった。

“僕はため息にも似た安堵の息を漏らして目を閉じた。扉の向こうがどうなっていようと僕には関係無いんだ。と考えた。例え向こうで惨劇が起こっていようとも関係ない。”

そしてノックの音がまた聞こえた。

“どうやらまだ、あの彼女は扉の前に居るのようだ。”

「帰ってくれって言ったでしょ。僕に笑顔なんていらないから帰ってよ。」

「そんな言葉を聞いたのは生まれてこの方、聞いた事がなかったよ。笑顔の要らない人間なんているわけがないんだよ。あれ?どうしてなの?なんで、あたしは泣きそうなの?」

「おいおい、君が泣いちゃ意味が無いだろ。泣きたいのは僕の方なんだよ。お願いだからもう帰ってよ。僕は誰とも会いたくないんだから。」と泣きながら言った。勿論、本当に泣いているわけじゃない。声がそう聞こえるようにした。

我ながら名演技である。

“彼はこう思った。僕に優しくしないでよ。また、期待しちゃうから。もう、傷つくのは嫌なんだ。と。”

「どうしてそんなに人を嫌うの?」と葵ちゃんが聞いた。

「信じたら裏切られた時の傷がでかいから。だから、僕は人間を信用しない。」

「でも、貴方が持っているものは人間が作ったものじゃないの?」

「人間が作ったものと言っても元を正せば自然の産物に変わる。だから、半信半疑で使っている。」

「だから、人間は信用しないの?」

「あぁ、僕だって始めから引きこもりだったわけじゃない。」

「それは、そうでしょうね。」

「小さい頃に親友と思っていた人から裏切られたんだ。だから人間って信用できないと思って。」

「裏切られたんだ。」

「うん。信じてたのに・・・。それ以来人の醜さだけが多く見えていくようになって、僕はそんな世界が嫌で僕はこの城に引きこもった。」

「そっか、でも、その醜い世界にしか太陽は無いんだよ。」

「太陽なんてどうだっていいんだ。僕は人間が嫌いなんだ。だから、人間である自分も嫌いなんだ。」

「自己嫌悪しちゃだめだよ。あぁ、また涙がでてきちゃった。泣きそうだよ。」

「泣かないでよ。君が泣いたってどうにもならないんだよ。泣きたいのは僕の方なのになんで君が泣くんだよ。」

「だって、人が悲しむのって悲しいよ。例えソレが自分に関係ないとしても。悲しいモノは悲しいの。」

「じゃあ、帰ってよ。そうすれば悲しくないよ。」

「やだ、帰らない。あたしは貴方に笑顔をあげるまでは帰らない。」

「なんで、なんでそこまで僕にしてくれるんだよ。」

“彼の目から涙がでていた。悲しくないはずなのに、本当は嬉しいはずなのに。彼はこう思った。なんで泣きそうなの?なんで僕は泣いてるの?止まってよ、止まれって、聞こえちゃうじゃないか。泣き声が聞こえちゃうじゃないか。と。”

「帰って!笑顔なんて要らないから帰ってくれよ!」

“彼は叫んで言った。泣き声を聞かれたくないから。でも、聞こえてきた泣き声は彼の泣き声じゃなくて彼女の方だった。”

「なんで、グズ、なんで、グズ、そんな事を言うの。」と泣き声交じりで言ってきた。一瞬本当に泣いているんじゃないかと思ってビックリした。でも、ここで演技を止めるわけにはいかないので顔が確認できない。

“それに合わせてなのか空も雲って泣き始めた。もう、彼女は明るい声ではなくなっていた。どんよりと雲って泣き喚いている。”

「どうして、そんなふうに僕に優しくしてくれるの?また、期待しちゃうじゃないか。僕はもう、誰も信じないって決めたんだ。君も僕を裏切るんだろ!?」

「あたしは裏切らない。」

「え?」と僕は顔をあげて言った。

「あたしは、貴方を裏切らない。何があっても、あたしは貴方の見方だもの。」

「どうして?どうしてそんな事が言い切れるのさ?」

「だった、あたしは貴方の事が好きなんだもの。」

「え?」

“彼は再び驚いた。そして、心でこう思ったのだ。ウソだ。これは、ウソに決まってる。僕を騙す為に言ってるんだ。と。”

そして僕はドアに手を伸ばす。

“しかし、頭の中で思っていても心は何故かドアをあけようとしている。彼は心の中で叫んだ。やめろ!開けちゃダメだ。と。彼は自分の行動を見て思った。解ってたんだ。本当は僕も太陽の温もりが欲しかったんだ。笑顔が欲しかった。と。”

「だから、このドアを開けて。あたしの笑顔を受け取って。」

「・・・」

“彼はドアの鍵を外して開けようとした。だけど、何故だか開かない。”

「どうして?鍵は開けたのにどうしてドアノブが回せないの?心のどこかで疑ってるの?だから体が動かないんだ。信じたい。僕は彼女を信じたい。お願いだから体よ動いてよ。お願いだから彼女に合わせてよ。動けって。僕よ、お願いだから動いてよ!」

“彼は自分の体を動かそうと必死になって言った。だけども体は動かない。ドアノブは回せない。”

「お願い、そっちからドアを開けて。僕じゃ開けられないんだ。」

でも、葵ちゃん返事がない。

「ねぇ、開けてよ。お願いだから僕を此処から出してよ!ねぇ返事をしてよ!」

“いくら言っても返事は無い。”

「ふざけるな!此処まで僕をその気にさせておいて今更居なくなるなよ!信じた瞬間裏切るなよ!結局僕はまた、裏切られるんだ。」

僕ドアを勢いよく殴ってから崩れ落ちるように落ちた。そして、その瞬間窓(横)から誰か入って来た。カーテンが開いて。

何時の間にか雨が止んだらしく日の光が入って来た。眩しい光に僕は目を瞑った。目がなれて開いてみると、そこには葵ちゃんが立っていた。そして、一言。

「笑顔を届けに来たよ。」と笑顔で言った。“彼は感じた。太陽の光はこんなにも暖かくて優しかったんだと。日陰もいつしかは暖かくなる事を。”

「さぁ、行こう。」と僕に手をさし伸ばして言った。僕は彼女の手を握った。

そして、そこで劇は終了する。

「はい、お疲れ様。」と僕は言った。

「うんお疲れ様。」

「それにしても、結構台詞が多いな。覚えられるか心配だ。」と葵ちゃんが言った。

「そうだね。難しい所は少し改造してもいいし、アドリブでも誤魔化せるとおもうよ。」

「そうか?」

そして、拍手が聞こえてきた。

「へぇ、これがお兄ちゃん達のやる劇なんだね。」と一美ちゃんが言った。

「見てたの?」と僕は言った。

「うん。途中からね。ビーズはファーリングさんが終らせちゃったから。」

「そうなんだ。」

「感想を聞いてもいいかな?」

「う~ん、話としては面白いけれどももう少し演技力がほしいなぁ。」

「確かに、そうだな。でも、昨日台本を配られたばかりだからな。台詞が頭に入ってないからちょっときついな。」

「後はエンディングにもう少しなにかが欲しいかな?」

「どういう事?」

「このままだと、彼女は不法侵入でしょ?」

「確かにね。」と葵ちゃんは笑った。

「まぁ、この少女のイメージは葵ちゃんなんだけどね。」

「そうなのか?」

「うん。いつも窓から入ってくるから。」

「あぁ、そこか。って、ボクは犯罪者扱いなのか?」と突っ込みが入った。

「それより、話を戻そうよ。」

僕は言った。

「そ、そうだな。」

「で、エンディングはどうしたほうがいいと思う?」

僕は聞いた。

「う~ん、実は太陽って女の子は天使で学校のクラスメートっていうのはウソ。で、窓から少年を連れ出して外の世界を見せてあげるの。そして、その事を告白した天使は翌日、学校に来た主人公と転校生として再会みたいなエンディングはどうかな?」と言った。

「なるほど、それはいいな。ゆかちゃん、できそうか?」

「うん、やってみるね。」

「ファーリングはどう思った?」と僕は聞いてみた。

「とてもいい話だと思います。一美さんの言ったエンディングを含めるともっと良くなりそうですね。」

「そっか、それはよかった。


学校にて。

授業はなく、作業だけになった学園。

「そうだ。この服を着てくれないか?」とギンが衣装を出して言った。

「これは?」と僕は聞いた。

「お前がヒロインの時の服。演劇部にあったやつじゃ使えなかったから会長に頼んで作ってもらったんだ。」

「なんだ?衣装か?ボクも着る所だ。」と葵ちゃんが言った。

「解った。着てみるよ。」

とりあえず制服の上から着てみた。

「ズボンが邪魔だから短パンに着替えてくれないか?」とギンが言った。

「あぁ、髪のセットなら私がやるよ。」と委員長が言った。僕はとりあえず短パンに着替えた。

「あ、こっちに来て。」と委員長が僕を椅子に座らせた。小さな鏡を見ながら委員長が髪をいじっていく。それ程長いわけではないのでフワフワになるようにスプレーを掛けていった。

「それからこの眼鏡を外すね。やっぱり、この方が可愛いな。」と委員長が言った。

「外されると前がぼやけるのですが。」

「まぁ、我慢して。」

僕は裸眼で0.001ぐらいしかない。だから外されたら何も見えないに等しいのだ。

「よし、完成。」と委員長は言った。

「あれ?その子、誰?」と買出しから帰ってきた女の子が言った。

「誰って、水樹だよ。」と男子が言った。

「え?だって、何処からどう見ても女の子じゃん。本当に水樹?」

「そうですよ。」

声を聞いてビックリした女子。

「本当に水樹なんだ。」

「そんなに、驚かなくても。」と弱弱しい声をだした。

「本当に声まで女の子みたいになってる。」

と誰かが言った。あぁ、どんどん僕は男としては落ちていく気がした。

「ボクはどうだ?」と葵ちゃんが聞いてきた。

その姿はまるで男の子。てか、男の子にしか見えないのは何故だろう?

「うわ、こっちは男の子だよ。」と女子が言った。

「その、なんというか、お前達ってすごいんだな。」とギンが言った。

「褒め言葉として受け取っておくよ。」と葵ちゃんが言った。

「それじゃあ、僕は皮肉と受け取っておくのさ。」と僕は言った。

「さぁ、衣装も決まった事だし後は道具だよな。」と男子が言った。作業が進んでいく。

「なぁ、せっかく衣装も来た事だし劇の練習をしていかないか?丁度、隣の学習室が開いているんだ。」と葵ちゃんが言った。

「うん、そうだね。」

僕らは隣の学習室へ向かった。

「それじゃあ、始めるよ。でも、台詞は解るの?」と僕は聞いた。台本は2人で読み合わせたけど、やはり心配だった。

「大丈夫、だと思う。まぁ、解らなかったらアドリブでもするよ。」

「了解。」

「それじゃあ、始めるね。」

「了解。舞台の袖はそこでいいよな。」

「うん。」

「あ、いた。練習するなら私も誘ってよね。私はナレータ役なんだから。」と委員長が入って来た。

「あぁ、ごめん。忙しそうだったから。」と僕は謝った。

「まぁ、忙しいのは事実だけどね。自分の仕事ぐらいはさせてよね。」

「うん、それじゃあお願い。」

これから起きる事に突っ込みは入れないでください。委員長はナレータを始めた。

“少女は言葉をなくし少年は光を無くしていた。そんな2人がであった。“

「ねえ、君はどうして泣いてるの?」

少年(葵ちゃん)が聞いた。

“少年の問いかけに少女は答えようとしたけれども言葉の喋れない少女は少年に訳を伝える術がない。”

僕は口をパクパクさせて喋ろうとするけれど声が出せなかった。

“少女はどうにかして思いを伝えようと、地面に文字を書いた。だけれども、文字は少年には映らない。少年は視力を無くしているからだった。”

「・・・。」

“処女は少年の手を掴んで文字を書いた。少年は、最初は驚いたものの少女が何をしようとしているのかを理解して文字を読み取ったのだった。”

「そっか。君は喋れないんだね。だから、周りのみんなと違うから悲しいんだ。」

“少女は再び文字を書く。”

「ボクは目が見えないんだ。だから、君の顔も見えない。ただ、なんとなく、泣いているのが解るんだ。」

「・・・。」

「え?僕の名前かい?僕の名前はコート。目が見えない暗闇の少年だよ。」

“少女は目を開くように書いた。しかし、少年は首を横に振った。”

「無駄なんだよ。目を開いても真っ暗なんだよ。全部、真っ暗なんだ。」

僕はシュンとした顔をする。

「そんなに悲しい顔をしないで。」

僕は驚いたように顔を見上げた。

「あ、今度は驚いたね?」

僕は首を縦に降った。

「頷いてる。僕には解るんだ。君の息遣いや物音とかで。」

僕は更にビックリした顔をした。

「でも、君がどんな感情をあらわしてるかは判っても、君がどんな顔をしているかはわからないんだ。」

“少女は悩んだ。どうすれば少年に自分を見せる事ができるのか。と。”

僕は一端袖に消えてからまたやって来た。小道具がないから演技しか出来ないけど。鏡を置く音の代わりに足でドンと床をならした。

「これは?」

「・・・。」

僕は手を掴んで文字を書いた。

「あぁ、鏡だね。でも、僕には見えないんだよ。目を開いても僕には見えないんだ。」と少年は目を開いて言った。

「ほら、真っ暗なんだ。」

そして、鏡を持っていく演技をしながらまた袖に消えていく。そして、今度は伊達眼鏡を持ってきて渡した。

「これは、眼鏡だね。でも僕はこれを掛けても見る事はできないんだ。ごめんね。」

そしてまた袖に消える。今度は虫眼鏡を持ってきた。

「今度は虫眼鏡かい?でも、僕には見えないんだよ。」

「・・・。」

“少年はなんどやっても見えないと言うだけだった。少女は疲れて地面にへたりこんでしまった。”

「ありがと、色々してくれて。でも、僕には見えないんだ。でも、見えなくても判るんだよ。感じれるんだ。」

「・・・。」

僕は言葉を出そうとするけれど言葉が出せない。少年は僕の頭を撫でた。

「無理はしなくていいんだ。できる事をやればそれだけで十分なんだよ。あ、そうだ、君の名前を教えてくれないかな?」

僕は少年の手を握って文字を書いた。

「シャートっていうんだ。可愛い名前だね。名前は大事だよ。最初に自分に与えられた一生の贈り物だからね。」

頷いてからまた文字を書いた。

「此処で会ったのも何かの縁だわ。一緒に遊びましょう。っか。」

うん。と頷いた。

「いいよ。」

“少年と少女は楽しく遊んだ。そして、次の日、少女はまた泣いていた。”

「ねえ、どうしてシャートは泣いてるの?」

“少女は言葉の他にも無くしてるモノがあった。記憶である。少女の記憶は十二歳の時から消えていった。事故で脳に異常をきたした為、それ以降の記憶が殆ど保たないのだ。”

僕は文字を書いた。それだけは憶えていたから。

「昨日の事が思い出せないの。なんで、貴方は私の名前を知ってるの?っか。君の名前を知っているのは昨日、教えてもらったからだよ。」

僕は少年を見てから首を傾げた。

“少女はおぼろげながらに憶えている記憶の糸を辿りながら少年に行き着く。そして、思い出したのか嬉しそうな表情を浮かべて抱きついた。目の見えない少年は驚きたじろいだのだった。”

ここで、抱きつかないといけないわけなのだが。やはり抵抗がある。

「どうした?抱きつく所だぞ。」と葵ちゃんが小さな声で言った。僕は顔を真っ赤にしながら抱きついた。

「シャート!?どうしんだい急に。」

僕は文字を書く。

「そっか、嬉しかったんだね。それじゃあ、今日も遊ぼうか?」

僕は頷いた。

“こんな日が何日も続いた。いつしか、連続する事で思い出となり、少女の記憶に刻まれるのでした。”

僕は文字を書く。

コート、また来てくれたのね。と。

「僕の名前、覚えてくれたんだね。嬉しいな。」

少年は微笑んだ。

手を握ってまた文字を書く。

うん。コート、貴方の名前はコート。と。

「うん、僕の名前はコート。でも、なんで僕の名前を覚えたの?」

“少女ははまた文字を書く。コートと居ると、どの時間の私もすごく、楽しかった。だから、私はきっと嬉しかったんだと思う。だから、言わせて。私は、コートのことが好き。だから、これからも、ずっと側に居て欲しい。と。少年は頷いた。でも、少年は解っていた。自分の記憶が消える事を。僕が覚えているのは紙に書いているからだ。でも、その紙も一瞬にして消え去った。なぜならば少年の家が火事になって全てが燃えたからだ。全てが消えた。少年の記憶も。”

コート、なんで泣いているの?と手を握って描こうとした。でも、その手を引っ込めた。

「君は、だあれ?」と少年は言った。

僕は自分の名前を言おうとしたけれど言えなかった。

“突然、眩い光が2人を包み込みました。”

光に目が眩んだ仕草をした。

“2人の前に神が現れたのです。神は数日の少年少女を見て深く心打たれたのでした。そして、2人に奇跡を起こしました。”

「コート。」と僕は喋った。

「なんで、僕の名前を知ってるの?」

「コート、私が解らないの?シャートよ。」

「シャート?」

“少年はその名前を覚えていませんでした。でも、何故だか涙が流れてきたのです。”

「あれ?なんで?なんで、僕泣いてるんだろう?涙で滲んでシャートの顔が見えない。」

そして、少年ははっとした表情を浮かべて言った。

「なんで、僕は君の事を知ってるの?あれ?シャートの顔が見えるよ。シャートの笑った顔が見えるよ。」

「コート。目が見えるようになったのね。」

「シャートも、声が出せるようになったんだね。」

僕は少年に抱きついた。

“2人は嬉しくなって泣きました。そして、泣き止んだ頃には2人は互いの名前を読んでいました。二人は、こうして互いに互いを支えて生きていくのでした。”


「終った。」

色々な意味でつかれたんですが。

「お疲れ様。」と委員長が言った。

「あぁ、みんなお疲れ様だ。」と葵ちゃんが言った。

「それにしても、2人とも結構役に入り込んでいたね。」と委員長が言った。

「そうだったか?まぁ、本番もこの調子で行きたいな。途中台詞に不安があったがな。後で、読み返しておくとしよう。」

「まぁ、今日はこれで劇の練習はお終いね。いつまでもやっても疲れちゃうだろうし。もしよれば休むか他の場所を手伝ってあげてくれないしら?」

「うん。」

「任せてくれ。」

「その前に、僕の眼鏡を返してくれないか?あれが無いと前が見えなくて。何処に何があるのかわからなくて。」

「あぁ、はいこれ。乱視用ってこんなに度がきつい物なのね。」

「あぁ、そうだろうね。」

僕らは学習室を後にした。廊下では生徒が色々な作業をしていた。

「あ、会長。」と僕は言った。

「あれ?貴女は誰かしら?神上学園にこんな可愛い女の子、いたかしら?それに、こちらの男の子も。」

「会長、わかってて言ってますか?」

「あ、ばれちゃったかしら?縁君に葵ちゃんでしょ?」

「そうです。会長は見回りですか?」

「えぇ、文化祭で危険な物が無いかチェックをしているのよ。後は、生徒会企画の材料の調達とかね。」

「結構、大変そうですね。」と葵ちゃんが言った。

「まぁね。でもこれがお仕事だから。」

そう言ってどこかに行ってしまった。

「それにしても、かなり文化祭らしくなってきたな。」と葵ちゃんが言った。

「うんそうだね。僕らも含めて色々な格好をした人がいっぱいだね。」

文化祭が近づくに連れて学校の内装も外装も変わり始めた。今では廊下でコスプレしている人も珍しくない。しかし、搭乗員の姿ならわかるが、MSのコスプレってのはどうなんだろう?赤い機体で誰のかわかるけど、でも目が一つだからかなり見にくいのでは?

「すっかり、文化祭一色だね。」と一美ちゃんが言った。

「あ、一美ちゃん。その格好は店員さんなのか?」と葵ちゃんが聞いた。

「うん、似合ってる?」

「いいと思うよ。」と僕は言った。

「えへへ、ありがと。暇になったから様子を実にきちゃった。いや、最初は誰かと思ったけど、声がお兄ちゃんの声だったから。」

「やっぱり、間違えそう?」

「うん、喋らなかったら完全に可愛い女の子だもの。」と一美ちゃんは言った。

「それは、男としてはどうなんだろう?」

「まぁ、いいじゃないか。ある意味では特をしているわけなんだから。」と葵ちゃんが言った。僕は少しため息をもらした。


ギン視点。

「あ、ガムテープ切れた。買ってこよ。」と俺は言った。

「あ、ならついでにマジック買ってきて。流石にポスター書いてるとインクが。」と男子が言う。

「まあ、仕方ないか。」

「あ、じゃあ、MMも。」と誰かが言った。

「あ、NTも。」と声がした。

「ビニールテープもお願い。」

「なんか、色々と必要なさそうなものまで頼まれた気が。てか、お前らそんなに暇ならさっさと作業しろよ!てか、暇なら買いに行けよ!」と俺は突っ込みを入れた。

「うぅ。」とひるむ作業をしてない人達。

「ほいほい。それじゃあ、みんな、必要な物をメモに買い手渡してくれ。俺が買いに行くから。」

「ただし、必要ない雑誌などの類は買わないからね。」と帰ってきた委員長が言った。廊下に出ると交喙先輩が居た。

「あら?ギン君。どうしたの?」

「これから、コンビニに買出しに行く所なんです。色々となくなっちゃって。」

「あら、そうなの?じゃあ、私も一緒に行くわ。私も、買い物しに行く所だったから丁度いいわ。」

俺達は教室をでて、近くのコンビニに買いに行った。

「ねえ、ギン君。」

「ん?なんですか?」

「文化祭、一緒に周りましょうね。」

「あぁ、勿論ですとも。」

「それじゃあ、楽しい文化祭にする為に努力しましょう。」

交喙さんは、俺の手を引っ張った。今のこの関係がすごく嬉しい。でも、たまに不安になる。壊れちゃうんじゃないかって。俺の勝手な妄想だけど、すごく怖い。だから、この一瞬一瞬を大切にしたい。俺と交喙さんで築いていくこの関係を。

『ただ、もう少しだけ普通の生活をしてみたい。一般人とまでは行かなくてもいいけど水樹ぐらいにまでは出来るようになって欲しいな。あいつもかなり奇抜な生活をしているからな。』と俺は笑った

「どうしたの?」

「いえ、なんでもないです。」

俺は笑顔で返した。

ファーリング視点。

『マスターは今頃、何をしているのでしょうか?』

私は窓の外を眺めながら思った。なんだかマスター達は楽しそうでした。私も学校に行けたらいいのですが。でも、私はマスターの側に居て何がしたいのだろうか?時々、ふと思ってしまう。一緒に居る意味を。私はマスターと一緒に居たい。この気持ちは偽りではない。でも、一緒に居て何がしたいのだろう?この感情の意味がいつも私の思考回路を悩ませる。機械でもわからない事はある。

『私の人生ってつまらないのかな?』

機械だから機械生?そんなくだらない事を考えてしまった。

「とりあえず、今はマスターと一緒に文化祭を回りたいな。」

それが私の願望だった。機械が何かを望むのは変化も知れないけれど、私は天使だから。

『それが、今の私の望み。』

なんだか、僕に帰ってくるまでかなり時間が掛かったきがする。まあいいや。さて、何処まで話したかな?あぁ、文化祭の準備が着々と進んでるところまででしたね。

「水樹君。話があるんだけどいいかな?」と委員長が言ってきた。

「え?いいですけど。あ、もしかして、文化祭の裏方の事ですか?」

「うん。」

「これ、文化祭の裏舞台の道具配置なんだけどいいかな?」とノートを見せてくれた。

「うん。大丈夫だと思うよ。あ、でも此処の所は別の書割を置いたほうが効率あがると思うよ。順番的には使うが早いはずだから。」

「そうだね。うん、そうするよ。」と言って委員長はペンで紙に訂正箇所を書き入れた。

「ありがと。それじゃあね。」

委員長は去って行った。

「話は終わったのか?」

「あ、葵ちゃん。終ったよ。」

「そうか。それと、よかったら文化祭を一緒に周らないか?」

「そうだね。一緒に一美ちゃんのクラス企画も行く予定だしね。」

「そ、そうだな。」

「それじゃあ、楽しみにしてるね。」と笑顔で言った。


そして、文化祭がはじまった。

「ふう、ギリギリだけど、何とか完成したわね。」

委員長がクラスの風景を見て言った。そして一般入場が始まった。

「それじゃあ、営業開始ね。」

でも、もう劇の事は書いたのでそろそろ飽きましたよね?だから、文化祭の風景(劇以外の)をお送りしたいと思います。

「さぁ、ボクらの出番はもうしばらくないようだから、一緒にいくとするか。」と葵ちゃんが僕の手をひいいて教室を飛び出した。

「まずは、何処に行こうか?」

「そうだな、色々汗もかいたから喫茶店でも行こうかな?確か、3―Cが喫茶店をやっていははずだからな。」

「3―Cって言うと会長のクラスだよね?」

「あぁ、だが、会長は生徒会企画に出てるはずだから居ないと思うが。」

「そっか、それじゃあ、行こう。」

「あぁ。」

そして、行くと何故か会長が居た。服装が何処から借りてきたのかファミレスの店員の服だった。

「あら?仲良し2人組みじゃない。いらっしゃい。エンジェルへようこそ。」

「何故、会長が此処に?」

「何故といわれてもクラス企画に参加してるだけよ。」

「生徒会企画はどうしたんですか?」と僕は聞いた。

「あぁ、今日は副会長がやってるの。」

「副会長が?」

「うん。明日は私、なんだけどね。」

「そうなんですか。」

「それにしてもすごいに人気ですね。」

「まぁね。可愛い子とイケメンだけを表にだしてるからね。それ以外は裏方をやってもらってるわ。勿論、自己申告によるものだから私の偏見ではないわよ。」と微笑む会長。不気味だ。

「でも、おかげでちょっと人手が足りないのよね。」

「はい、食べ終わったお客様はとっととお帰りください。」とウエイトレスが言った。

「大変そうですね。」と葵ちゃんが言った。

「そうだ、貴方達少し、手伝ってくれないかしら?勿論、お給料ははずむわ。」

「どのぐらいの時間ですか?」

「そうね。今はお昼時だからこんでるんだと思うの。だから、一時くらいまで手伝えるかしら?」

「どうする?」と僕は葵ちゃんに聞いた。

「困ってる人を見捨てるほどボクは薄情な人間ではないぞ。」

「つまりは、手伝うって事だね。」

「それはよかったわ。それじゃあ、お願いするわ。衣装はそっちにあるからね。」

僕らは着替えた。

「会長、ウエイトレスならまだこの格好は理解できるのですが。なんで男の僕が、ウエイトレスの服を着なきゃいけないんですか?」

「ごめんね。予備の衣装がそれしかなくて。でも、髪の毛の状態から判断すると女役をやっていたんじゃないの?」

「うぅ、実はそうなんですが。」

「なら、問題ないわ。その延長だもの。」「コーヒー3つに紅茶3つ、あとチーズケーキ8。」

「了解。さぁ、運んであげて。」

「解りました。」

「さぁ、ゆかちゃん、行こう。」

「8番テーブル開きました!」

「4名様ご案内!」

どうやら整理券を配ったほうがよさそうだ。しかし、そんな配る余裕も無いわけですが。

「後、ケーキ三つ追加。」

「はい。」

そして、一山を越えたわけです。お客さんはくるけれど先ほどよりも数が減っている。

「ありがと。おかげで助かったわ。はい、これはお礼よ。」

「ありがとうございます。」

「それじゃあ、デートを楽しんできてね。」と会長が手を振った。僕は苦笑いをした。葵ちゃんは顔を赤くした。

「それじゃあ、ゆかちゃん。行こう。」

「うん。」

「そういえば、ファーリングさんは?」

「あぁ、ファーリングなら文化祭を見て周るとは言っていたけど実際、何処に居るかは知らないんだ。」

「そうなんだ。」

「だから、回ってればいずれは会えると思うよ。」

「そうだな。」

「最初は何処周ろうか?」

「そうだ、とりあえず占いの館にでもいこうか?」

「確か、そっちでやってたよ。」と僕はパンフレットを見ながら言った。学生がやっているインチキ占いだから当たるわけもないのですが。でも、楽しむには十分だと思います。

「えっと、どんな占いがあるんですか?」と僕は聞いた。店員の子がいくつかあげてくれた。

「トランプ・タロット・水晶・おみくじとかですね。」

「どれにしようか?」と葵ちゃんは言った。

「そうだな。僕はトランプがいいな。」

「そうか。それじゃあ、ボクはタロットにして見ましょう。」

「お互いどんな結果が出るか楽しみ。」

「あぁ。」

僕はあんなされた席についた。

「えっと、それでは、このカードの中から好きなカードを3枚お選びください。そして、この星の頂点に置いてください。」

僕はカードを置いた。占い師の子はカードをひっくり返した。

「この結果から判断すると“事を叶えるのにはかなりの努力が必要みたいですね。もしかして、片思いとかしてますか?」

「ど、どうなんでしょう?」

そこに、葵ちゃんが入って来た。

「結果はどうだった?ボクは“あなたは全てが人を思いやっています。また、周りも貴方を思いやっています。しかし、それが裏目に出ることもあるので優しくしすぎには注意しましょう。だってさ。」

「そっか、僕は夢をかなえるのには努力が必要だってさ。」

「それは、どの事に関しても必要な事だとおもうのだが。」

「そうだね。」

「それじゃあ、次行くとしよ。」

僕達は色々遊んだ。たこ焼き食べたりおばけ屋敷に行ったり。

「次は、一美ちゃんの所に言ってみよう。」「そうだな。」

一美ちゃんは活き活きとした表情でアクセサリーを売っていた。

「あ、お兄ちゃん。それに、葵お姉ちゃんも。いらっしゃいませ。」

「あ、ファーリング。」と僕は言った。ファーリングが店内に居たのだ。

「うん、ファーリングさんも来てくれたんだよ。」と一美ちゃんは嬉しそうに言った。

「マスター。ようやく発見できました。」

「そうだね。文化祭は楽しめてる?」

「これが、楽しいという感情ならば私は楽しいのだと思います。」

「そっか。」

「そうだ、お兄ちゃん、これ見て。あたしが作ったんだ。すごいでしょ。」

それは雪の結晶のようにビーズが組み込まれた腕輪だった。

「すごいね。随分と細かいんだね。」

「うん、作るの大変だったんだ。だから、これはお兄ちゃんにあげるよ。」

「いくらですか?」

「これはあたしの気持ちだからタダであげちゃうよ。はい。」と僕に腕輪を渡した。

「それに、ファーリングさんと葵お姉ちゃんにはこっちの星の腕輪をあげる。全部あたしが作ったものだかrあ大丈夫だよ。」

「ありがとう。」

「ありがとうござます。」

2人とも腕輪を身につけた。

「ごめんね。お店が忙しくてまだお兄ちゃん達の劇を見れてないんだ。」

「次にボク達が出るのは二時からよ。」

「そっか、なら平気だね。その時間は、あたしは休憩だから。」

「そっか、それじゃあ楽しみにまってる。」

「うん。」

そして、文化祭は終了の合図を迎えた。二日目は書かないですよ。書いていたらページがまた増えてしまうので。ですから、文化祭のお話はここでお終いです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ