7話 ハイキング 一
校外学習の日になった。
見上げれば雲一つなく、澄み渡る青空がハイキングの気分を高揚させているようで、校庭に集まった生徒たちは、ワイワイと少し興奮気味だ。
点呼が終わると、クラスごとに観光バスに乗って目的地へと向かった。
私は春子と一緒の座席に座り、買ったお菓子をポリポリ食べながらバスに揺られていた。
幸いなことに、今日は春子の肩に、霊は乗っていなかった。
もし霊が乗ってきたら、なんとか説得してバスから出てもらおうと思っていた。
バスが目的地に着き、クラス点呼が終わった後、ハイキングが始まった。
私は春子と二人で歩く。
ちょうど昼食時間の頃に、大きな広場に到着予定になっていて、そこで各自昼食をとった後、クラスの親睦を兼ねて皆で遊ぶことになっている。
クラスの女子のリーダーが、バレーボールを持ってきていて、円形バレーが始まった。
春子は大はしゃぎで参加していたが、私は少し気分が悪かったので木陰で休むことにした。
どうも、この広場の空気が重い。
爽やかな青空とは対照的に、重くて暗い空気。
私は円形バレーでワイワイはしゃいでいる皆を、ぼーっとした目で見ていた。
「わあーー、ごめん!」
春子の運動神経は残念なもののようで、彼女がレシーブしたバレーボールが思わぬ方向へ、しかも、ずいぶん遠くへ飛んで行った。
その場所がたまたま斜面になっていたから、ボールがコロコロと転がって見えなくなってしまった。
「私取って来るね。」
責任を感じた春子が走り出す。
ボールはすぐに見つかって、春子は戻って来たのだが、若い男の霊が春子の肩にしがみつき、背中にへばりついていた。
男は頭から血を流し、苦しそうな顔をしている。
「ボール拾ってきたけど・・・、なんだか急に気分が悪くなって・・・ごめん、私も休憩するわ。」
春子はボールをリーダーに渡して、私の隣に座った。
「春子、大丈夫?」
「なんか・・・、大丈夫じゃないみたい・・・。」
いつも元気な春子が、弱音を吐いている。
背中にへばりついている男の霊は、何かを訴えているようなんだけど、それが何かはわからなかった。
「気分が悪いなら、眠った方がいいわよ。私もまだ気分が悪いから、ちょっと眠るわ。」
私は目を閉じた。
そして魂を飛ばすことにした。
魂となった私は、男の霊と対面する。
「どうしてあなたは、この子に憑いているのですか?」
「この子に伝えたいことがあるんだけど、伝わらない・・・。」
「私が聞くから、話してください。」
「じゃあ、ついてきてくれ。」
男の霊は、春子から離れてふわふわと移動を始めた。




