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53歳 一人暮らしオジさんの マジメな独り言  作者: 合高なな央


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未来と集団と、僕らの奇妙なダンス



 ああ、人生ってやつは、まるで雨の日の交差点みたいだ。誰もが急いでいるのに、信号はいつ変わるかわからない。だから、僕らは未来を予測するって遊びをやめられないんだ。


 たとえば、僕らが今、この交差点で右に曲がるべきか、それともまっすぐ行くべきかを決めるとして。将来、この道が渋滞する(リスク)と知っていれば、曲がって裏道を探すだろう。逆に、この先に新しいカフェができる(チャンス)とわかっていれば、まっすぐ進んで一番乗りを狙う。


 つまり、未来を予測するってのは、「傘を持っていくか」「新しい靴を買うか」といった、僕らの日々の行動をちょっと賢くするための、地味だけどとてつもなく重要な作業なんだ。無駄な動きを減らし、大事なときにキチンとした方向に導くための、ポケットに入れた古びたコンパスのようなものだ。



 予測できない群衆という名の巨大な生き物


 だけどさ、僕らの目の前にあるのは、僕一人じゃない。大勢の人が作る集団ってやつは、とてつもなく気まぐれな生き物なんだ。


 一人の人間は、結構まともな判断をする。でも、それが十人、百人と集まると、急に妙な行動を始める。会議室に集まると、なぜかみんなの意見が極端な方向に突っ走ったり、誰もが「違うだろう」と思っているのに、誰一人として「待てよ」と言い出せなくなったりする。これって、まるで集団の魔法だ。非合理で、論理なんて聞いちゃくれない。


 この巨大な生き物(集団)が次にどこへ向かうかなんて、神様でも難しいだろう。だから、数学者やコンピューターの天才たちが、シミュレーションという名の箱庭で「もしも」を試している。「この人たちが、こういう状況で、次にどう動くか」って、パターンを必死で探しているんだ。



 パニックの波と、個人で立てる小さな壁


 さて、もし君が、この予測不能な集団パニックの波に遭遇したらどうする?


 駅前で突然、大きな音がして、みんなが同じ方向に逃げ始めたとする。もし、それが本当に命に関わる火事や事故なら、文句を言っている暇はない。波に逆らおうとすれば、押し倒されて怪我をするだけだ。この時だけは、群衆の流れに身を任せるのが、自分の身を守る一番まともな手段になる。


 ところが、これが「トイレットペーパーがなくなるらしい」というデマだったり、「あの株が上がる!」という根拠のない熱狂だったりしたら話は別だ。もし、君がそのデマに飛び乗って、在庫を抱えすぎたとしたら?熱狂に乗って、高値で株を買ったとしたら?波が引いたとき、君だけがガラクタを抱えて途方に暮れることになる。


 だから、経済や社会的な判断の場面では、「冷静になること」が、君だけの小さな壁になる。



 買い占めはパニックか、それとも賢い備えか


 じゃあ、あの「集団買い占め」って現象はどうだろう。あれもただのパニックに見えるけど、ちょっと深読みしてみよう。


 君はまず、供給側の情報を探す。「この商品の工場は地震で止まったのか?」「トラックは動けない状態が続くのか?」ってね。もし、冷静な分析の結果、「これは回復に時間がかかる」とわかったとする。


 そこで、君が自分の生活に必要な最低限の量だけ、しかも長く保存できるものに絞って確保する。これは、パニックに流されているんじゃない。むしろ、「どうせ、この人たちはパニックになるだろう」という集団心理のパターンを先読みして、その結果起こるであろう品薄や値上がりから、自分を守る予防策なんだ。


 これは、雨が降るとわかって、傘をそっと開くのと同じ、賢明なリスクヘッジと言える。


 僕らは、未来を予測し、非合理な集団心理の波を読み解き、その中で自分だけの合理性を見つけ出すという、ちょっと奇妙で、だけど面白くてやめられないダンスを踊り続けているんだ。



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