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旅路

作者: 桜樹 春斗

「人生」とは旅路である。 途方もなく、当てもない旅路だ。 幾つもの分岐路があり、目の前には、見渡す限り無数に広がる道がある。 振り向けば、一本道だ。一歩踏み出す毎に道を選択しなければならない。 そして、待ってくれる時間もない。 人は、歩み続けなければならない。 立ち止まる事など許されない。 一寸先は闇の中。躊躇なく踏み入れなければならない。 怖い。辛い。苦しい。 そんな感情を押し殺して大地を踏みしめる。 苦行だ。 神という者が存在するなら問いただしたいところだが、神は、答えはしないだろう。 その答えを見つけるのもまた「人生」だ。 自分が、何故産まれたのか。 何故生きているのか、そして、何故生き続けるのか。そんなもの、今生きている者が知る由もない。 既に亡くなった者も分からないだろう。 無意識のうちに「死にたくない」「生きていたい」という生存本能が働く為だ。 だからこそ、人間は仲間を作り、村を作り街を作る。 そして、いくつかの街が共存し、やがて国となる。 国毎のルールに従い、幾つもの国との共通のルールを作り、社会という枠組みを作る。 人間は、その枠組みの中で、勉学に励み、仕事に精を尽くす。少しでも、自分達の生活を楽にするため。 分からないものだ。 働きたくないそう思い、そう口に出しながらも月曜日が来れば、日の出ぬうちに家を出て会社へ向かい、日も落ち、夜も深まった頃に帰宅する。 金曜日になれば、それまでの日々の疲れを吹き飛ばすかのように、酒を飲み、美味しいご飯を食べる。 まぁ、人にもよるだろうが。 そして、土曜、日曜で疲れを癒やす為に家でゴロゴロとする者もいれば、外に繰り出して遊び倒す。 日曜も終わりに近づけば、また、「働きたくない」という感情に埋め尽くされる。 時間は無情にも過ぎて行き、月曜の朝が来る。 社会人とは、生きる為に働き続けなければならない社会という枠組みに閉じ込められた奴隷と似たナニカだろう。 だが、そこから抜け出すことは出来ない。 中には、不労所得を得て生活しているが、それでも、そこまでいくのに何かしらの努力をしてその結果を得ている。 才能もあるだろう。運もあったのかもしれない。 人は、限られた時間やお金で生を謳歌し、家庭を持ち、子を儲ける。 そうして、綿々と続いてきた。 「生きる」とは、辛いものだ。苦しいものだ。逃げ出したい。 でも…生きていたい。生きたい、楽しみたい。 そんな感情が綯い交ぜになって必死にもがいて生きている。 どれだ苦しくても、どれだけ辛くても、家族や友人と楽しくやっていきたい。 そんな、僅かな楽しみを胸に行き続けている。 世の中には、沢山の職がある。 物をツクル者。そのモノを売る者。 人の命をタスケル者。 人を楽しませる者。 国中の情報を発信する者。 そうした、職に就くのもまた、自分で選択しなければならない。 家庭を持とうが、仲間を作ろうが、結局のところ、自分の人生の選択は、自分でしなければならない。 だが、これだけは言っておきたい。 誰かの敷いたレールが、成功者と同じ選択をしたところで、自分が成功するとは限らない。 それで、成功してるのだろう? なら、自分も必ず成功する。なーんて考えているとドツボにはまるだろう。 ただ、選択するだけでは駄目だ。 成功者が、何故、その選択をしたのか。何故、そういう考えに至ったのか、そこまで、再現してようやくその人の()()()()()()()()()()()()。 では、「成功」とは、なんだろう? 今、成功していると思われている事は、本当に成功なのだろうか? それを考え出すと時間だけが無為に過ぎることになるから程々に。  どんな、選択をしようと時間を巻き戻す事は出来ないし、選択し直す事も出来ない。 ありとあらゆる(しがらみ)や制限の中で楽しみを見つけなさい。 自分の「生きたい」と思える様な糧を見つけなさい。 今、どんなに辛くても、どんなに苦しくても、しっかりと明日を目指し今を楽しみなさい。 死にたくなったら、どんなことでも良い。 楽しかった日々の思い出や思い出に残る景色や自然を思い浮かべなさい。 死んでしまえば、それらを見ることも出来ない。 生きていればいずれ…なんて言えない。 でも、生きてさえいれば、再起のチャンスがやって来る、かもしれない。 未来の事だ。誰にも分かりはしない。 それでも、僅かな希望でも持っていてほしい。 選択した道が、茨の道だったとしても、ずっとそれが続くとは限らない。 茨の道を脱し、茂みを越えた先に小高い丘があったとしよう。その上から見る景色は、格別だろう。  立ち止まる事は出来ない。だけど、少しくらい休憩しても、バチは当たらない。 疲れたのなら、休憩すれば良い。 そして、疲れが取れたなら、再び立ち上がって、また、足を踏み出せば良い。  


      いきなさい。



  あなた方の人生に幸多からんことを。 

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